達磨二入四行論<2>
「禅家語録 1」世界古典文学全集 36A
西谷 啓治, 柳田 聖山 1972/12 : 筑摩書房 単行本 519p
「達磨二入四行論」<2>
前回この本をメモしてからすでに一年以上の時間が経過しているのか。あっと言う間に月日は過ぎ去る。グルっと回ってくるだけも、それなりの直径があるようだ。しかし、Oshoの「BODHIDHARMA The Greatest Zen Master」を再読したあととなってみれば、最初は菩提達磨のビックネームに圧倒されながら文字を追った段階とは打って違って、「達磨二入四行論」も、ぐっと身近なものになる。
しかし、あまりに身近に感じすぎるというのも良くない。仏教、大乗、菩薩、頓悟、という流れは、ある意味、今回、日本人として生を受けた身となれば、あまりに近すぎて、ごくごく当たり前のものとして受け取り、深く思索しないまま、神棚(この場合は仏壇か)にあげて、拝むばっかりになってしまう可能性がある。
まるで「お経 禅宗」みたいなもので、あまりにありふれた「お題目」になってしまうので、こういうものだ、もともとこうなんだ、と思ってしまうと、トンデモない勘違いになってしまうことがある。特に、これだけグローバル・スピリチュアリチュアリティが隣接している時代には、一つの「立場」はともすれば、偏狭なセクト主義に陥ってしまうことすらありうる。
賢禅師が言う、「眼が見ているものこそ、究極の場所だ。一切の存在は、すべてみな究極の場所だ。いったい、なにを探そうとするのだ。」p64
この「禅家語録」は、それぞれの経文が3つでできている。一つは漢文であり、二つ目は読み下し文であり、三つ目は意訳された現代文である。さらには各章ことごとく脚注がついているので、四つの階層でできている、と言ってもいいだろう。あるいはここから更に英文や他の言語に翻訳されてもいるのだろうし、また、この1000年間に幾度も写経されたことだろうから、そもそもテキスト自体がたくさん存在している。
ケン・ウィルバーのように、精力的な読書家が、自分の気にいった部分をアフォリズムとして切り取り、あちこちの流れをパッチワークしたところで、本当にそれはスピリチュアリティをインテグラルしたことになるのか。それは単に、自らの好みをつまみ食いしてトッピングしただけの飾りに終わってしまうのではないか。
当ブログへのアクセスワードの中に「二入四行論」がある。なにか大した意味がありそうでもあるし、ここにこそシークレット・ドクトリンが隠れていそうでもある。しかし、それはまやかしだ。言葉のマジックである。そもそも、この二入四行という言葉も暫定的なものに過ぎない。そしてそこで語られていることも、必ずしも確定的なものではないのだ。
コンテナに対応するコンテンツとして、それらの詩文を楽しみ、テキストを集めて比較統合することは、ひとつの遊戯としては面白かろう。しかし、扱っているテーマやそのネーミングがいかにもスピリチュアリティを匂おわせていたとしても、そこからコンシャスネスへとジャンプすることはない。
行間を読む、という言い方もあるが、まさに、テキストを見ながら、そこにコンテンツとしての面白さを感じるだけで終わるのか、それをジャンプ台としてコンシャスネスへと至るのかでは、大きな違いがある。
瞑想において助けになるであろうものが正しい。無用な形而上学や哲学は、あなた方の瞑想にとってはなんの助けにもならないし、いかなる役にも立たない。Osho「BODHIDHARMA The Greatest Zen Master」p693
「二入四行論」をいかに読むのか。ひとつの文化として、身近なごく違和感のない伝統としてその詩文を楽しむだけなら、きっと「瞑想にとってはなんの助けにならない」だろう。もし、ここから「瞑想において助けになる」ようにこの「二入四行論」を読もうとするなら、ひと工夫、ふた工夫が必要だ。
BIHL2における「菩提達摩の弟子たちの記録」において、1981年のOshoは概して寛容な態度で接している。しかし、それからアメリカへ渡り、世界ツアーからインドに戻った1987年のOshoは極めて徹底してこの「二入四行論」を叩く。その差は見事なほどだ。
それはひとり菩提達摩に対してだけではあるまい。例えば、カリール・ジブランに対する1981年のOshoと、1987年のOshoでは、際立った対応の違いがあるはずだ。そういう視点から、すこしづつ英文ではあるが「Messiah」を読み始める必要があろうだろう。なかなかBIHLをめぐる読書の旅も一筋縄では行かない。
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