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2010/07/09

コンドームの歴史<3>

<2>よりつづく 

コンドームの歴史
「コンドームの歴史」 <3> 
アーニェ・コリア (著), 藤田 真利子 (翻訳) 2010/2 河出書房新社 単行本: 453p

 「あら、急にどうしたの?」と、奥さんが聞いてきた。まぁ、近々そう来ると睨んでいた。茶の間のソファーに寝っ転がって、家族にこんな本を読まれたら、他の家族は、何かひとこと言わなくては、むしろその場の雰囲気がおかしくなるだろう。

 ましてや、今回は、自分のカードがいっぱいなので、奥さんのカードでこの本を借りてきたから、パソコンからアクセスして図書館の本をリクエストしている彼女のページにもしっかり、彼女の読書記録としてこの本のタイトルがリストアップされている。

 うん、たしかに、急にどうしたのだろう。それは、私自身の問いでもある。いや、私自身の私自身に対する質問でもあるが、それは図書館の司書達の運営についての質問でもある。なにせ、ほんの1分ほどの休憩時間に飛び込んだ図書館の、新刊コーナーからさっと抜き取ってきたのがこの本である。あそこにこの本を置いたのは、まずは図書館の司書なのだ。

 と、そこまではそれほど深くない疑問として、あら、急にどうしたの?、と問うほど、この本は「急に」登場したのだろうか。どうも、違う。これは、ある意図で、深淵な計画のもとに出版された本なのではないか。翻訳者の他の訳本のタイトルからして、なにやら「シリーズ」化している。

 歴史的語彙
 歴史的に見ると、コンドームには数々の名前がつけられていた。例を挙げると、ボードリューシュ、コンダム、ウォンダム、コォンドン、イギリスのコート、ラバー、ナイトキャップ、鞘(シース)、鎧、コッドピース、小さな下着(プチ・ランジュ)、コントン、道具、正しい衣服、さえぎる盾、予防具、フレンチ・レター、レター、オーバー、コート、装置、汚れたスリッパ、仕掛け、カンダム、死んだ手紙、スキン、嚢、機械、予防袋、レインコート、帽子、キュテレイアの盾、女性の手袋、安全装置、神の皮膚、下着、安全帽、ペニスの皮膚の小さな袋。
p111「鎧に対する医学者からの主張と買い手危険負担」

 この道具、歴史的にはバースコントロールとして使われれるより先に、前回<2>で抜き書きした23種の名前を持つ業種に係わる女性たちとの交渉の中で、いわゆる自らの身を守るために工夫されて登場してきた、と言えそうだ。まず、この道具につけられた歴史的語彙を見れば、さらにその推測が間違っていないことがわかる。 

 世界最古のコンドーム
 現在まで残っているものとしてはおそらく最も古いコンドームは1640年にさかのぼり、再利用可能なものである。ブタの腸でできたこの道具はスウェーデン製で、ラテン語で書かれた使用説明書とともにみつかった。使用説明書に温めたミルクに浸せば病気を予防すると書かれている。
p84「鞘も袋も決して期待を裏切らないように・・・・」

 私自身はこの小さな道具に対する思い入れはそれほど大きくないので、歴史的最古の貴重な道具のその機能性を確かめる実験に参加したいとは思わないが、ミルクに浸せば云々という説明書にも、もちろん信頼感を持つこともはきない。

 中学校の思い出以来、この道具にまつわるエピソードとしては、1982年のオレゴン州で開催されたOshoコミューンのワールドセレブレーションでのことだろうか。世界から数万人集まってきた参加者たちに配られたのは、コミューン内だけで使えるキャッシュレス・カードや施設のマップなどとともに、ビニールでできた手袋と、ここで話題になっている道具のセットだった。

 当時、いわゆるAIDSが登場し、その危険性が大きく報道され始まっていた。Oshoはその事実を把握して、これからは恋人同士が接触する時でも、これらのAIDSフリー・キットを使用すべきであると忠告したのである。

 あのセットが、あのコミューンでどれほど活用されたのかは知らないが、少なくとも、もし、あの時、全世界がOshoの忠告に耳を傾けたら、現在3300万人いるといわれるHIV感染者の増加に歯止めがかかったかもしれない。この道具の存在自体、歴史的には、不道徳的であると宗教的倫理観から反対の意見もあるが、少なくとも、科学的に人間社会が存在していくには、今後も不可欠のものであるようである。

<4>につづく

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