神智学大要<4> コーザル体
「神智学大要」 第4巻 コーザル体 <4>
A・E・パウエル (編集), 仲里 誠桔 (翻訳) 1983/01 たま出版 単行本 373p
Vol.3 No.0069☆☆☆☆★
全5巻のうち第4巻までくると、だんだんと全体像が見えてくる。まるで精巧なプラモデルをつくっているようだ。精巧であればあるほど、初期的段階では、現在作っているパーツが、一体、完成した場合のどこの部分になるのか、と分からないこともある。完成してしまえば、隠れて見えないところでもある。
しかし、パーツ、パーツが出来上がり、次第にシャーシーとエンジン部分、そして大まかなボディ全体が出来上がってくると、最終的な完成体がおのずと想像できるようになる。全5巻のうち、第4巻までくると、まさに、イメージとしてはそんな感じがする。
以前はあまり登場しなかったブラバッキーからの引用も増え、大白色聖同胞団についての記述も多くなる。
弟子の位になると大師との繋がりはさらに密接になって、弟子の低位心だけでなく、コーザル体の中の魂も大師の中に包まれてしまい、大師としてはもはや弟子を遮断するヴェールを引く必要はなくなる。
このような段階は、候補者が偉大なる第一イニシエイションを備える上で当然非常に大きな助けになるが、実はイニシエイションとは何の関係もないのであって、イニシエイションは全く別の範疇に属するのである。試補受容、息子の資格は弟子とその大師との関係を示すものであり、イニシエイションはそれを受ける人の大白色聖同胞団とその首長とへの関係を表すものである。
故に厳密にいえば、大白色聖同胞団は大師とその弟子との関係とは何の係わりもないのであって、後者は全く大師御自身の個人的な考慮の問題である。弟子が第一イニシエイションにふさわしいと大師がお考えになればその事を弟子に知らせて聖同胞団に彼を紹介する。すると同胞団は、その弟子がイニシエイションを受ける用意が出来ているかどうかを聞くだけで、弟子と大師との関係を聞くのではない。p300「得度(イニシエイション)」
プラモデルはすこしづつ完成に近づく。実物により近い精巧なモデルであれば、もうそれだけで相当に魅力的ではあるが、やっぱり、それはプラモデルでしかないのだ。1/24であろうと、1/8スケールであろうと、あるいは1/1の実寸モデルであろうと、それはやっぱりプラモデルでしかない。
全5巻を読み切って(頁をめくっているだけの段階だが)しまわないと分からないが、この本が出された1928年という年代が、クリシュナムルティの「星の教団」解散宣言のごくごく直前であったことを考えると、クリシュナムルティは、ここに完成しつつあるプラモデルに乗ることを拒否した。拒否するということが、必ずしも否定ということではなく、それを止揚するための否定であった可能性もある。
1902年から1912年まで神智学協会ドイツ支部の指導者を務めたルドルフ・シュタイナーなども、ベースとしてはこの「神智学」の大要を学んでいることになる。のちに人智学として独自の道を歩んだとしても、これらの一連のあれやこれやを、どのように見ていたのか、ということも、この辺で当ブログなりに把握しておく必要があるだろう。
もちろん、1915年にG・I・グルジェフと出会い、それからの8年間をそのワークの中で過ごしたP・D・ウスペンスキーもまた、このような背景の中で、その人生を生きていたのである。当ブログの、あまり精巧とはいえないプラモデル(ともいえない木工モデル程度のものか、あるいはそこにも及ばないポンコツだが)のパーツも、すこしづつ、全体像を想像させる瞬間が増えてきている。
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