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2010/07/04

GOOGLED:The End of The World as We Know It.

グーグル秘録
「グーグル秘録」 完全なる破壊
ケン・オーレッタ (著), 土方 奈美 (翻訳) 2010/5 文藝春秋 単行本 552p
Vol.3 No.0066☆☆☆☆★

 これまでもGoogl=グーグルについての本は結構な数を読んできた。ひとつひとつ面白いのだが、同じことを何回も読まされている気分も残る。これは、アメリカのハードカバー本の作り方によるところが大きいようだ。日本なら、分量もこの5分の1位の新書本で終わってしまうようなネタも、アメリカなら、超豪華版のハードカバーになってしまう。

 この本の邦訳は2010年の5月にでているが、原書も2009年。本来であれば、ごく最近の状況さえ読めればいいのだが、なぜか、グーグルの誕生秘話から書き起こされる。1999年当時のことなんか、もうどうでもいいではないか、とさえ思う。なぜなら、ドッグイアーならぬ、グーグルイアーでは、もう10年前のことなんか、雲泥の差でお話にならないことばかりなのだから。

 この本を手にしてドギッとするのは、このタイトルだろう。「GOOGLED」。過去形だ。世界がグーグル化されてしまった。完全完了だ。日本語タイトルの「グーグル秘録」では迫力がないが、サブタイトルの「完全なる破壊」とまで言いきってしまうところに、並みいるグーグル本の中でも、この本が際立っている特徴点である。

 当ブログは、ネット上のオープンな空間におかれているので、さまざまな来訪者がある。友人たちだけにオープンするというようなSNSではない。だから、どちら様も大歓迎(スパムは駄目!)ではあるが、事実だけ言えば、当ブログの最大のお客様はグーグルボッドだ。彼は毎日毎日当ブログを訪れては情報をスキャンしていく。その数も半端ではない。オーナーの私より、回数やページ数では上回るだろう。

 もっとも、個人的な業務上のネット空間は、かなりセキュリティが高く、部外者はほとんどその存在も知らず、入り込むことはほぼ不可能なので、逆に、へそ曲がりな私などは、窮屈でたまらないのだが、こちらのブログ環境などでは、どんどんオープンな繋がりを期待してしまうのである。もっとも、オープンであればあるほど、公開すべき個人情報は限定しなくてはならないので、ここは反比例の法則を働かせざるを得ない。

 民主的な精神や”群衆の叡智”への信念はそれとして、グーグルでは、エンジニアこそその群衆の上に立つキングだ。p302

 創立以来、驚異的なスピードで成長を遂げてきたグーグルは、まさにグーグル的、と表現する以外にできない現象をたくさん産んできたが、長い人類史の中ですべて証明されてきているように、すべては生者必衰の理りがある。いずれはグーグルも衰える。だから現在は猫だましのように目くらましをされているところがあるが、よくよくたまにはチェックしていかなくてはならない。

 上記の「民主的な精神」や「群衆の叡智」は、まさにマルチチュードなどとの整合性を高く歌われるところだが、その「群衆」の上にたつ、という表現はいただけない。本音であったとしたら、これはこれとして、早めにそのことに気づいておく必要がある。

 そして、グーグルにおけるキングがもし「エンジニア」だとするならば、それは当ブログでいうところの3C論の、まさに「コンテナ」の部分に位置するのだ、ということを強く確認しておかなくてはならない。

 この「GOOGLED」という本が、「ニューヨーカー」の記者によって書かれているように、アメリカのハードカバー本は、敢えてコンテンツとしての質を高めるかのように、さまざまな付加価値をつけて表現されている。コンテナについては、アート部門のコンテンツ部門のリードが必要だ。

 しかし、もし本当に「群衆」の上に位置する「キング」が必要だとするならば、それは、コンテナ部門のエンジニア達の技術でもなければ、コンテンツ部門のアーティストやジャーナリストたち表現者たちではないだろう。本来、キングの位置に登場すべきは、コンシャスネス領域の瞑想者であり、覚者だ。本当に必要な部分はここだ。

 ネット社会は十分成熟しきってはいない。それは人類がその可能性をすべてかなえていないのだから仕方ないとして、ただ、まだかなえられていないのだ、ということを強く認識して、さらにはそれはどの方向に導かれるべきなのかを、ひとりひとり、内なるものに問わなくてはならない。

 過去4カ月のアクセスログを見ると、検索サイトから当ブログへのアクセスのうち、88%がグーグルからだ。第二位のヤフーは6.4%にとどまっている。Bigloveやgooも総量としてはかなりの数字を稼いではいるのだが、パーセントを見れば、2.6%程度。それ以下の検索サイトにいたっては、ご苦労さまと頭を下げるしかない。ちなみに当ブログの提供サイトであるニフティの@niftyからの検索は0.1%だった。

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受信: 2010/07/25 06:04

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受信: 2010/07/25 13:04

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