心理学対決!フロイトvsユング (史上最強カラー図解)
心理学対決! 「フロイトvsユング」 (史上最強カラー図解)
山中 康裕 (著, 編集) 2010/3 ナツメ社 単行本(ソフトカバー): 224p
Vol.3 No.0078☆☆☆☆★
ふと気づいてみれば、BIHLの中に、いわゆる心理学の本は極めてすくない。 全168冊のうち、わずかに4冊。これではあまりにもすくなすぎるのではないかと思う。しかも登場するのは、いずっれも後半以降。申し訳程度に付記されている。
「心理学」編
BIHL12-04 「精神分析入門」ジークムント・フロイト
BIHL13-09 「精神分析と無意識」D・H・ロレンス
BIHL14-08 「サイコシンセシス」ロベルト・アサジョーリ
BIHL16-02 「きけ小人物よ!」W・ライヒ
フロイトの「精神分析入門」は、とりあえず心理学も触っておいたよ、という程度で、まるでマルクスの「資本論」と双璧をなすような、継子あつかい(まずい、これは放送禁止言語かも)。D・H・ロレンスは、文学者側からの心理学へのアプローチであり、必ずしも心理「学」とは言えず、アサジョーリに至っては、フロイトの「分析(アナリシス)」と合わせ鏡にでもするかのように、その「統合(シンセシス)」という言葉がありがたがられているだけだ。
ライヒは、当ブログ私家版「OSHOのお薦め本ベスト10」の、堂々のトップを飾る一冊ではあるが、オーソドックスな心理学の「学問領域」からは、大きくはずれたものとして無視されている。このことから考えても、Oshoがいわゆるフロイトに始まる心理学に極めて批判的であったことがわかる。ユングに至っては、一冊も取り上げられていない。
ただ、一連のOshoの講話録を読む限り、心理学の話しが出てこない本はないほど、実によく心理学を研究していることは周知の事実だ。「Beyond Psychology」とか「秘教の心理学」など、ズバリその語を借りてはいるが、否定されるべきもの、乗り越えられるものとして取り上げられている。
いわゆる論理として体系化されたものとしての「学問」への否定感覚もあるだろうが、また、作品や業績よりも、その人間そのものの在り方に関心を持ち続けたOshoであってみれば、フロイト自身、ユング自身の、「意識」そのものに、ほとんど興味を覚えなかったのではないだろうか。
この本、なにやらタイトルが仰々しい。なんだか、往年の西部劇「OK牧場の決闘」でも見ているようでまるでアナクロだ。ましてや、21世紀の現代においては、決闘など、法的に禁じられているのではないか、とジョークを飛ばしたくはなるが、この本自体は、極めて便利であると言える。すくなくとも北山修のお勧めにしたがって、「フロイト著作集」全何十巻を読む、などという難行苦行するよりも、お手軽であると言える。カラー図解というのが実にいい。
当ブログでは、108の記事をひとまとめにして、カテゴリ別に列挙しているのだが、そのなかに「ブッタ達の心理学」がある。なかななかまとまらずにVol.3まで行ってしまった。だが、それでもまとまらなかった。結局は諦めた、というのが本音のところ。「ブッタ達の心理学」はウスペンスキーの言うところの「人間に可能な進化の心理学」としてとらえなおされなければならないが、それであったとしても、日暮れて道遠し。
玉川信明の「和尚(ラジニーシ)の超宗教的世界」トランスパーソナル心理学との相対関係、などという仕事もあったが、玉川信明の取り組みも限界があったが、ウィルバーやグロフ達が開こうとしたトランスパーソナル「心理学」の世界も、それは一体何であったのか、ということもそろそろキチンと問われなければならないだろう。
さて、フロイトvsユングの「対決!」、一体どうなっているのだろう。晩年になって、洋の東西を問わず古代遺物を集め続けたフロイトの収集癖。晩年になってUFOや錬金術の心的過程を研究したユング。それぞれにユニークと言えばユニークだが、けっしてエンライトしたような存在ではなかったようである。どこまでも人間臭い存在だった。
この本においても「対決!」とは名ばかりで、決してガチンコ勝負ではない。所詮は観客を喜ばすパフォーマンスが勝ち過ぎているのではないか。ここまでくれば、あとはショーとして楽しめばいいのかもしれない。往年のジャイアント馬場と、ラッシャー木村の名場面を楽しむようなものだ。出来レースは出来レースなりに、面白いことは面白い。
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