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2010/08/02

新訳 共産党宣言-初版ブルクハルト版(1848年)

新訳 共産党宣言――初版ブルクハルト版(1848年)
「新訳 共産党宣言」 初版ブルクハルト版(1848年)
カール・マルクス (著), 的場 昭弘 (翻訳) 2010/6 作品社 単行本 480p
Vol.3 No.0082☆☆☆★★

 BIHL12-7。「共産党宣言」。しかも「新訳」。ほほう、と、ため息が出る。翻訳者の名前に記憶がある。当ブログとしては以前ネオ共産主義論」を読んだ。共産党、共産主義、コミュニズムという単語はまだ死語となっているわけではない。だが、すでに過去の遺物化しているのではないか、という思いはつよい。

 OshoがBIHLで言っているほど共産党や共産主義をマイナス評価はしないが、一定程度の関心を惹かれつつ、そこから前へ進めない膠着状態でずっと来ていることも事実である。世紀を越えてマルクス・エンゲルスが世界史に影響を与えてきたのは分かるが、次なる世界へと夢や希望を持たせてくれているか、というと、どうも違う。

 今から20年ほど前にソビエト連邦は崩壊し、地球上の社会主義政権の力が縮小した。共産主義的思想は次第にフェードアウトしていくものと思われていた。しかし、その後、中国共産党の跋扈や、ネグリ=ハートの一連のマルチチュードもので、なんらかの命脈を保っているかのようである。

 「英知の辞典」の中では、コミューン主義と共産主義を並べて、Oshoはこう語る。 

 内なる革命を経験しつつある多くの人々がともに暮らすとき、そこには必ず新たな質が生まれてくる。それは「社会主義(ソーシャリズム)」と呼んでもいいが、もっとよい名前は「コミューン」から来た「共産主義(コミュニズム)」だ。共産主義を実現できるのはコミューンだけだが、コミューンはごくまれにしか存在しなかった。Osho「英知の辞典」p228

1818年生れのマルクス、共産党宣言の初校は1848年(弘化5年・江戸時代)、30歳の時の作品だ。幸徳秋水や境利彦による日本語部分訳が「平民新聞」に掲載されたのは、1904(明治37)年のことである。

 この日本語に言う「宣言」とはマニフェスト。マニフェストを掲げて政権奪取を敢行した民主党が、混乱を見せたまま、わりとあっさりと現実路線に移行するのを見ていて、私は、ああ、やっぱり、政治や経済は、当ブログの主題ではないな、と、そそくさと、これらのテーマからは撤退した。

 Oshoの最後の講話は「ZENマニフェスト」。「禅宣言」。The Zen Manifesto; Freedom from Oneself。当然、このマニフェストという部分は、マルクス・エンゲルスの「宣言」になぞらえている。しかし、自由になるのは、資本やブルジョワジーの支配からではない。自分自身からの自由だ。

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