オバマ大統領がヒロシマに献花する日<2>相互献花外交が歴史和解の道をひらく
「オバマ大統領がヒロシマに献花する日」 相互献花外交が歴史和解の道をひらく <2>
松尾文夫 2009/08 小学館 新書 220p
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65年前にヒロシマに原爆が投下された今日8月6日、駐日ルース米国大使が、平和式典に参加することになった。わずか一年前には、ひとつの理想論として語られていたこの本の表題が次第に現実のものになってきた。
今回は、国連議長や駐日米大使というレベルであるが、いずれはアメリカ大統領が「すべての原爆」の犯罪を認めざるをえなくなるだろう。その方向にむけて、現実の政治の舵が切られているのであれば、大いに喜ぶべきことだ。
米国そのものの軍事費も大きく削減されることになっている。これも大いに喜ぶべきことだが、いくつかのパラドックスが隠されている。米国本国の軍事費が削減されるために、海外に駐在している米軍に対する依存度が高まっているというのだ。
例えば、オキナワに駐在している米軍に対する経費は、おもいやり予算も含め、日本政府がかなりの額面を負担しているので、むしろ、オキナワの機能を減らすことができないというのだ。つまり、米国が軍縮するために、オキナワの基地は維持しなくてはならない、ということだ。
当ブログは正直言って、昨年はオバマ大統領の登場と、日本の民主党政権の成立で、多いに期待感が盛り上がった。もうこうなったら、当ブログの主テーマはここだ、とばかり、大きく方針を変更しようとさえ思っていたほどだ。
だが、しかし、その後の民主党の体たらくを見ていて、ああ、この話題はもう触れたくない、とばかり、すっかり逃げ腰になってしまった。なんなんだ一体! もともと、それほど穏健でもない当ブログだが、このテーマにだけはモンスター化する。徹底的に文句を言いたい。
オキナワの基地問題はどうなったのだ。おいおい、民主党のマニフェストとやらはどうなっているんだ。高速無料化については大目に見よう。脱ダム問題も、まぁまぁ、両論併記で、よく話を聞こうじゃないか。年金問題はたしかに大問題だし、消費税問題も、まぁまぁ、何でも反対、という姿勢は取らないよ。
だけど、オキナワ問題はどうしても納得ができない。極めて現実的な問題なのに、解決策をみつけることができなかった、鳩山「友愛」政治とはなんだったのか。市民運動から立ち上がった管直人新首相にも期待したいところだが、ひとり誰かに期待するというより、日本に住む地球人たち、地球市民たちは、今後どう動くのだろう。
ルース大統領がヒロシマに献花する、というニュースは素晴らしいことだ。バン国連議長がナガサキに献花する、という勇気にも、たいへん感動するところがある。しかし、なにか忘れていないか。
「オバマ大統領がヒロシマに献花する日」のサブタイトルは「相互献花外交が歴史和解の道をひらく」となっている。日本において、鳩山元首相が「真珠湾に献花する」という話題がニュースになったことがあるだろうか。それを期待している日本に住む人々はどれほどいるだろうか。今年の12月8日、管直人・新首相はパールハーバーに献花できるだろうか。それだけのガッツがあるだろうか。
被害者意識ばかりが強くて、自らがモンスター化しているのを知らないでいることがある。それをアスペルガーと言うかどうか知らないが、よもや、そうなってはいないだろうなぁ。隣国の状態を見ると、国際外交とはまさに互いがアスペルガー化しているかに見えるが、とにかく、上手につきあっていくしかない。
「戦争をとめた喫茶店」のところにも書いたけれど、ヒロシマの平和公園には18歳の時、38年前に一回しか行ったことがない。だけど、かの地の意識の思い出は忘れることができない。8月6日だけがヒロシマではない。8月9日だけがナガサキではないのだ。
所詮、部屋を閉め切って、ソファに寝っ転がり、エアコンをカラカラ鳴らせながら本をめくっているだけの当ブログであるが、今日はやっぱり、すこし背筋を伸ばして、かの問題について想いを巡らしたい。
合掌
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コメント
ルース駐日アメリカ大使はヒロシマの平和式典には参加したが、ナガサキの式典には出席しなかった。当然、米国本国での反響もさまざまなものがあったし、ナガサキに行かなかったことより、ヒロシマに行ったことを評価すべきであろう。
さて、本日の菅首相談話で、韓国に対するコメントはいろいろな国内外の反響がでているが、、率直に言って、私は前向きに評価したい。外交的にどういう反応があるのか、などは細かには分からないが、「相互献花外交が歴史和解の道をひらく」という言葉があるとすれば、菅首相の今回の行動は、まさにそれに当たるのではないか、と思った。
投稿: Bhavesh | 2010/08/10 21:34