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2010/08/20

いまさらはじめる60歳からのインターネット生活 シニア世代、「デ実家」への挑戦

いまさらはじめる60歳からのインターネット生活
「いまさらはじめる60歳からのインターネット生活」 シニア世代、「デ実家」への挑戦
「デ実家」普及委員会 NTT出版 ・発行年月: 2010/03 単行本 103p
Vol.3 No.0106☆☆★★★

 デ実家とは、煎じつめれば、30年前にアルビン・トフラーが「第三の波」で「エレクトロニクス・コテッジ」と喝破したもの。職住一致とかプロシューマーという概念からは外れるけれど、30年前の夢は、21世紀の現実のものとなっている。

 本書では、インターネットでポジティブな人生を謳歌するシニア世代のあり方を、「デ実家」と呼びます。すでに独立した子供世代の家庭とホットラインを形成し、さらに地域から広い社会へとアクセスしていく21世紀型の「実家」として・・・・。ICTによってパワーアップした、新たなシニア世代の生き方を提案いたします。p3 

 ICTとは情報通信技術の意味で、「デ実家」とは、デジタル化した「実家」を意味する造語。

 この本、NTT出版から出たものだが、そもそも出版社から全国各地の図書館に贈呈されたもの。めずらしくこの本にはNTT出版の営業本部長ST名義のそのレターが挟まりこんでいた。司書がはずすのを忘れたのだろう。贈呈本の中には司書も扱い方が困る本も多く、時には、図書館の玄関に「自由にお持ち帰りください」となって、平積みされていることがある。たまに掘り出しものがあることもある。

 さて、この贈呈本、めでたく蔵書となるか、お持ち帰り本となるか、微妙なところではあるが、総ページ総天然色で、実に金のかかった作りである。この本、通常なら800円では作れない。ましてや、全国に多分何千とある図書館に無料で送付されたのだと考えると、なんとNTTの贅沢なことよ、とため息がでる。

 この本、早い話しが「デ実家」プロジェクトが推進すれば、NTTの基盤がより盤石になるわけであり、シニア世代を応援しているようでもあり、また自社の活動領域を広げているようでもあり、まぁ、痛いところをついている、とも言える。

 ただ内容は実に貧弱。すくなくとも、当ブログの読者なら、この本で開眼することはなにもない。当たり前の内容だ。むしろ、家電店のカタログをかき集めて、実に分かりやすく作った入門用パンフレットの位置づけとなろう。

 私なら、この内容でNTTドコモのケータイ(あるいはスマートフォン)の入門本が欲しい。我が「デ実家」はすでにだいぶ前から光ファイバーでブロードバンド化しているし、PC端末も家族一人当たり一台以上、という状況が出来上がっている。無線LANも当たり前のことだが、最近はむしろ有線をありがたがっている。

 現在はむしろ、ケータイやスマートフォンで、デジタル個人(つまり「デ個人」)化しているのではないだろうか。そういう意味においては、私個人はデ個人化は遅れていると思う。だいたいにおいて、あのケータイ文化になじめなかった。その理由を考えてみた。

1)そもそも通信料金が高すぎる。

2)画面が小さすぎる。

3)キーボードが小さすぎる。

4)出来る作業が限られている。

5)パソコン本体があれば、そちら優先でしてしまう。

6)接続速度は、トンボがとまるほど遅い。

7)端末の商品生命のサイクルが短すぎる。

8)あのケータイショップの在り方を見ると、無駄にもうけすぎていると思う。

9)音楽やワンセグやアプリなどは、本当に必要か、悩む。

10)子供マーケットにおけるドサクサも気になる。

 この数日は、当ブログも「No Book No Blog」の掛け声のもと、デ個人化プロジェクトを推進しようと、ケータイショップ通いを続けている。だが、なかなか、いままでのイメージは変わらない。

1)いずれにせよ、ポケットにインターネットを入れようとすると、月々プラス6000円はプラスになる。つまり、デ実家で光ファイバーを入れるのと同等の値段である。その割には、スマートフォンで得ることのできるメリットは少ない。

2)画面はかなり大きくなってきているとは言うものの、そもそも手のひらの上のことであるから、大きなパソコン画面をそのまま見るというのはまず苦痛が伴う。慣れるということはない。むしろスマートフォン専用の画面を拾ってみていく、ということになるだろう。

3)QWERTY入力キーボードを小さくしました、というだけでは、やはりタッチタイピングはできない。すくなくとも入力速度は10分の1に落ちる。ここはテンキーで親指入力を使いこなした方がストレスが少ないかも。

4)少なくとも、ケータイやスマートフォンで仕事は完結はしない。入力用とか情報入手用とかに特化するにしても、路上や出先でその要に迫られるシーンはどれほどあるだろう。

5)デ実家にいるなら、ケータイは使わない方が妥当性がある。

6)光ファイバーでブロードバンドが常識化してしまっている今、10数年前の電話回線接続を思い出す速度では、ストレスがたまる一方である。

7)10年前のXP機でも、メモリーさえ増量すれば、まだ使える。6年前のムーバ機でもまだ使えるが、時代からは大きく取り残されている。一時のパソコンの機種替えのサイクルにも似ている。もうすぐすれば落ち着くのだろうか。

8)まぁ、儲けに妥当性があれば、利益を上げるのは当然だが、猫だまし商法だけはやめてほしい。

9)卵が先か鶏が先か、ということになるが、なければないで過ごせるサービスやアプリが多すぎる。

10)ケータイ文化の爛熟で、さまざまな弊害が喧伝されていることも忘れることはできない。

 今後は、ケータイしか出来ないこと、スマートフォンしか出来ないことをもっと見つけ出しては、そちらに移行していくことを試みようと思う。すくなくとも、路上で通話するにはケータイは必要だ。そして、パソコンもまた「デ実家」としては絶対に必要なもの。つまり、パソコンとスマートフォンの連携と使い分けが、どのようにすみやかに進行するかが、今後の課題である。

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