The Long Tail ロングテール 「売れない商品」を宝の山に変える新戦略
「ロングテール」 「売れない商品」を宝の山に変える新戦略
クリス アンダーソン Chris Anderson (原著), 篠森 ゆりこ (翻訳)2006/09早川書房 単行本: 302p
Vol.3 No.0133★★★★★
この本、気にはなっていたのだが、いつのまにか当たり前のようになっていて、すっかり追っかけてみるチャンスを失っていた。いつもは行かない別のコーナーにこの本があって、なんだ、あるじゃないか、と慌てて手にとった。すでに4年前の本だが、決して内容は古くない。しかし、youtubeもtwitterも話題になる前のことであり、先端の事象がブログあたりになっているので、訂正すべき点があったのか、すでに2009/07にアップデイト版がでている。そっちも急いで読まなくちゃ。
80対20の法則は、長きにわたって3つの理由で間違ったリ理解のされ方をしてきた。第一に、正確には80対20にならない場合がほとんどだ。僕が研究しているような在庫が巨大な市場は、たいてい80対10未満だ(商品のわずか10パーセントが売上の80パーセントを占める)。
80と10を足しても100にならないから納得がいかない、と言うあなたは鋭い。これが第二の理由であって、この法則の難しいところでもある。80と20はそれぞれ商品数と売上という別のものの割合なので、合わせて100になる必要はない。しかも、80と20の関係をどうあらわすか、あるいはどちらを一定にしておくか、これといった基準もない。ある市場が80対10なら、95対20(商品の20パーセントが売上の95パーセントを占める)だってありえるわけだ。
三つ目の理由は、この法則がさまざまな現象に対して使われることだ。そもそも商品と売上についての話なのに、商品と利益の関係にも同じように使かわれることがある。
もっともよくない誤解は、80対20の法則が、売れる20パーセントの商品しか置かないようにすすめる法則だと思ってしまうことだ。この思いこみは、基本的にどの商品を置くかよく見極めていい商売をするためにある法則だ、という考え方から来る。p168
当ブログでも、何度か概略的に引用してきたパレートの法則だが、今後はこの点に留意していかなくてはならない。ただ、この図式化された法則が、割と広く引用されたということは、あらゆる階層で似たような現象があったということが言えるだろう。その場、その場で比率は変えられてしかるべきだが、実感として、多くの立場の共感を得ることができた。
べき法則の特徴の一つはフラクタルだということだ。つまりどれだけ接近して細部を見ても、同じようなべき法則になっている。数学者は多重スケールにおける自己相似性という言い方をするが、これはロングテールが、小さな世界を持つたくさんのミニ・テールの集まりになっているという意味だ。p178「ロングテールのミニ・テール」
ここもなかなか興味深い。このフラクタルの中には、出口王仁三郎などが言及した「国魂学」が関連する部分がある。つまり日本地図は世界地図の縮小版だ、というやつだが、ここでは、論旨が飛んでしまうので、脇道にそれるのはやめよう。
情報科学では、何をどこに置くかという難しい問いのことを「オントロジー」問題という。オントロジーという言葉の意味は分野によって異なるが、図書館とIT業界の人たち(それと自覚はないかもしれないが店長たち)にとっては、物事を体系化して整理する方法のことを指す。p200「図書館の本の並べ方」
ここも興味深い。漫然と分野別に図書や情報を整理するのではなく、独自の関連のなかで整理する必要もある。「松岡正剛のの書棚 松丸本舗の挑戦」などは、そのいい例だあろう。あるいは、一部の量販店の「ジャングル積み」なども、ここに繋がってくるだろう。
ロングテールの法則
1)在庫は外注かデジタルに
2)顧客に仕事をしてもらう
3)流通経路を広げる
4)消費形態を増やす
5)価格を変動させる
6)情報を公開する
7)どんな商品も切り捨てない
8)市場を観察する
9)無料提供をおこなう p276~p285
ひとつひとつが興味深い。このあたり、2009/07にでた「アップデイト版」ではどのように表現されているか、比較しながら読み進めるのも面白そうだ。
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