勝間さん、努力で幸せになれますか カツマー VS カヤマー
「勝間さん、努力で幸せになれますか」
勝間 和代 (著), 香山 リカ (著) 2010/1 朝日新聞出版 単行本: 192p
Vol.3 No.0116☆☆☆☆★
申し訳ないが、香山リカの本はまったく読めない。当ブログが、自らを読書ブログであると認識した当時、数年前のことだが、すでに図書館は彼女の本でいっぱいだった。ひとつまとめて読んでやろうと、一時は努力したのだが、だめだった。おかげで彼女の本は、「当ブログが読んだワースト本ベスト10」のトップを飾っている。
かたや、勝間和代においても、数年前にたまたま読んだ「東洋経済」で彼女が紹介されており、その推薦本「本を読む本」とやらを読んだのが最初だが、その後、店頭でよく見かけるこの方の本を手にとってはみるのだが、数ページで指から頁をめくる力がなくなる。どうしてだろう。
勝間和代さんと対談することになったと告げると、口の悪い私の弟は、「日経VS東スポ、って感じだな」とつぶやきました。p182香山
言い得て妙。少なくとも、お二人より、この弟のセンスに私は近い。日経はまぁ雑誌類ではいろいろとお世話にはなっているが、その限界もわかる。東スポは、床屋の待ち時間に、珍しいのでめくってみる程度。なるほどね、かなりベクトルが違う。この二人を土俵に挙げて、行司役を務めたのは、朝日新聞。まぁまぁ、いい役どころだな。
勝間 同じことがツイッターでも話題になっていました。ツイッターは、発言を読むために自分のページを登録してくれている「フォロワー」の数がわかるんです。その人に10人のフォロワーがいるのか、300人のフォロワーがいるのか、1万人なのか10万人なのかというのが、誰にでもわかるようになっています。フォロワーの数は、その人のページがいかに人気で読む価値があるかを示す、いわゆる無形文化資産です。
インターネットによって、それまで持っていても目に見えなかった無形資産が、数値化され、万人に公開されてしまうがゆえに、自分より恵まれている人がいることがわかり、不幸感を加速させてしまいます。p53
こういう論理はまずいだろうな。ヤフオフだってミクシーだって、それは数量化されている。しかし、多ければいいなんて論理はどこにもない。そして、それはいくらでも偽造できるし、また、それが虚構なものである、と見抜いている人はたくさんいる。そもそも、独立した個人なら、それを見抜かなくてはならない。
香山 ただ、そのフォロワーというのが多いほうが幸せかどうかはわからないですよね。フォロワーが10万人いても、家に帰ったときには誰もいなくて寂しい、という人もいるんじゃないですか。診察に来る人の中には、有名人や経営者でお金もたくさん持っている人もいるけど、でも自分では独りだとか、友達がいない、集まってくる人はみんな金目当てと嘆いている人もいて、「あなたが望んでいまのポジションを目ざしたんじゃないの?」と突っ込みたくなることもある。p54
香山という人も、よくわかっていない。外でツイッターをやって帰ってきて、家で独り、なんてことはない。家に帰っても独りだから、家でツイッターをやってフォロワーのタイムラインを読むのじゃ。ボケとる。そもそも、独立した個人なら、そこそこで足りているはずだ。足りているなら、誰も精神科など頼りはしない。病人ばかり見ているうちに、ごく全うな人間がみえなくなっているのでは、ありゃぁせんか・・?
勝間 いわゆる2対8の働きアリの法則ですよ。これはモデルを組むとわかりますけれども、全員のアリが働くとハイパー競争になってしまって、アリたちがくたびれてしまうんですね。なので、2割のアリが一生懸命に働いて、残りの8割が適度にサボるぐらいで、実は社会の最適配分になるという理論があるんですよ。p99
勝間という人も強引である。これは「百匹目のサル」と同じように、ひとつの思いつきによる喩え話であって、それを人間社会にすぐ当てはめるのは無理じゃ。アリだの、サルだのと、根本的に、人間は違う。女王アリもいなければ、サル山のボスもいない。
百歩譲って、パレートの法則、80対20の理論という仮説があったとして、なんでもこれに当てはめようとしてはいけない。これは現代の都市伝説であり、いわゆる迷信の類である。
香山 だとしたら、さきほどの「無駄」だってOKじゃないですか。自分は8割派だと思って、職場でもお茶をすするなり、同僚の悩み相談やグチを聞くなりしながらずいぶんに適当にやってよいことにはなりはしませんか。p99
精神科医という職業も、科学者の一種だと思うのだが、ここでも香山はまんまと勝間の迷信に踊らされてしまう。全体が見えていない。100あるからこその20であり、80なのである。地球の20%は大陸で、80%は海だとしたら、私は海だけでいい、と言ってもそうはならない。体の中の個体は20%は個体で、あとの80%は水分だとして、私は水分だけあればいい、というわけにはいかないのである。
働いてばかりいるのもおかしいし、サボってばかりいるのもおかしい。全体が見えているなら、こんな発想はでてこないはずなのだが・・・・・。
勝間 私がツイッターで、「こういうことが知りたい」「これってどうなるの?」とつぶやくと、誰も何の得にもならないのに、みんなすごく書きこんでくれます。私がそれを読まないかもしれないし、読んでも「ありがとう」とは言わないかもしれない。それでも書いてくれるのは、やっぱり人の役に立ちたいという気持ちがみんな共通にあって、知っていることは人に教えてあげたくてしょうがいないからですよね。p153
この人、本当にそう思っているのなら、そうとうの確信犯だ。それこそアスペルガー症候群の可能性がある。であるからこそ、精神科医としての香山が、職業的に放っておけなくて、過剰に反応してしまうのだろう。
勝間はたしか津田大介「Twitter社会論」の中で、津田と数十ページに渡って対談していた。ツイッターに参加している人たちは、「誰も何の得にもならないのに、すごく書き込んで」くれているのだろうか。ビジネスの潮流を変えると言われているツイッターなのである。虎視眈眈と利益をどこから生み出そうか、と、魑魅魍魎が跋扈していることを忘れてはならない。すくなくとも勝間は公認会計士を名乗る人物である。ケツの毛を抜くビジネスのプロだ。
香山 でもツイッター的な姿勢が現実社会で普遍的に浸透しているかというと、そうでもないですよね。OSのLinuxが出てきたときも、同じようなことを言われましたよね。しかし、それはネットの中だけ、ある程度の知的な階層のあいだだけ、情報弱者じゃない人たちだけ、にとどまっているような印象を受けますが。そういう限られた人たちの利他的な行動が、現実に食べるにも困っているような人たちにまで浸透していくための突破口はあるのでしょうか。p153
もうここまでくれば、なんでもありの女子プロレス並みの華やかさである。お互い髪を振り乱しながらのタイツ姿の取っ組みあいが似合いそうだ。せめて、リナックスを語るなら、ストールマンの「フリーソフトウェアと自由な社会」や、トーバルスの「それが僕には楽しかったから」、レイモンド「伽藍とバザール」などを読み直し、いかにこの20年以上のあいだ、フリーソフトウェアやオープンソースが、地球社会の隅々まで恩恵を行き渡らしたか確認したうえで、発言してほしい。
少なくとも、「職場でもお茶をすするなり、同僚の悩み相談やグチを聞くなり」しているだけでは、リナックスは出来上がらない。それとも「現実に食べるにも困っているような人たち」も一緒になってフリーソフトウェアや、オープンソース活動に参加してくれるのだろうか。「ある程度の知的な階層」の「情報弱者じゃない人たち」が地道に活動してくれているからこそ、私たちはその恩恵を受けているのだし、一つの新しい地球人のクラウドソーシングの理想をそこに見るのである。
ところで、お二人とも社会的にはそうとうな発言力や立場を与えられている人たちではあるが、それを支持したり、ネットワークでつながっている人が多ければ多いほど、正しくてよいことだ、と私は思わない。ある適度な生活圏を確保する、ある適度なネットワークが機動しておれば、十分だと思う。少なくとも、マイミクやフォロワーの数や、ヤフオクの評価ポイントの数だけで全人格を判断するような一面的独断性は、ご免こうむりたい。
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コメント
1時間ほど前に新しいフォロワーが来た。かわいい少女のプロフィールなので、つい、リフォローしてしまった。その時点で、ツイート数はわずかに2つ。ただ、盛んにフォロー数を増やしており、だんだんそれにつられて、リフォロー数が増えていった。
ちょっと気になったので、見にいったら、さっき50だった、リフォロー数が、現在100まで増えている。このままいけば、今夜中に数百から数千に達するだろう。そしてその気なら、数日のうちに万を優に超えていくだろう。
この類のものを勝間和代は、「無形文化資産」と呼ぶ。そもそも、あのIDがなりすましである可能性も相当に高い。プロフィールの写真だけかわいい少女にしたネカマ(古い~)かもしれないのだ。あんな、詐欺的行為は、ネット社会では誰でもできることを、もう、誰でも知っている。(私もかつてSNSで実験済み)。
投稿: Bhavesh | 2010/08/23 20:55