情報は集めるな! 情報の洪水に溺れない極意
「情報は集めるな!」 情報の洪水に溺れない極意
指南役 マガジンハウス 2010年03月 ・サイズ: 単行本 ・ページ数: 181p
Vol.3 No.0105☆☆★★★
この本の結句は「さあ、書を捨てよ、街に出よう!」(コレクターと考古学者以外の人たちへ)だ。この「情報は集めるな!」というタイトルでもあるし、結構期待したのだが、空振りの一冊であった。自宅の本棚やマガジンラックは捨てよ、という。そのご提案には大賛成だ。だが、その次がいけない。情報を求めるなら国会図書館と大宅壮一文庫に行けばいい、と来た。
たしかに国会図書館は最後の砦だし、最近でも当ブログに届いた「狂い者」などは国会図書館から転送されてきた。その他、英書や古書などを中心にだいぶお世話になっている。しかし、そんなに簡単に国会図書館ばかりに通い詰めることはできない。ましてや大宅壮一文庫は行ったことはないが、この分野については、近くの大型古書店がとても便利ではある。
しかしながら、「情報は集めるな!」という意味は、そういうことではないだろう。ましてや「情報の洪水に溺れない極意」を標榜するなら、それはちょと違う。辰巳渚「『捨てる!』技術」やリズ・ダベンポート「気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ」のほうがより実務的で、私にはより効果的であった。
そして、更に、著者がいうには、新聞を読めという。
そう、生まれた時から当たり前に新聞があるから、そのありがたみに気づいていないが、冷静に考えれば新聞はありえないくらい便利で、画期的な商品なのだ。
大きくプリントアウトされているから読みやすいし、見出しだけ斜め読みもできる。毎日、家まで届けてくれ、しかも1ヶ月たったの3千円程度である。携帯電話で支払う金額の実に3分の1だ。p47「ラクして情報」
わが家でも新聞を取らなくなって3年半になる。あっと言う間だ。この間カットできたのは、パソコン一台分に対応する購読料だけではない。毎日意味もなく一緒に織り込まれてくるチラシの山。これがすぐにいっぱいになりリビングを圧迫する。
なに、新聞の紙面自体が広告の山ではないか。たまに知人宅にいくと、癖で新聞に手がでるが、そのむさくるしさにすぐ蕁麻疹がでてきてしまう。ましてや、記事だって、ゴミの山だ。政治家がどうした、円が上がった下がった、あの俳優が離婚した、あの女優が自殺した。相撲取りが博打をしたの、ホリエモンが復活したの、ああ、もうゴミの山だ。
百歩譲って、ケータイをやめて新聞を取って、履歴書に「朝日新聞購読」と書いたとしても、就活は失敗する。電話連絡先は書かなくてはならない。友人からのメッセージは届かなくなるし、無駄に定期券を何枚も持たなければならなくなる。デジカメだって使えない。そもそもケータイと新聞を価格比較する事態、時代からセンスが大きくずれている。
著者は「指南役」というペンネームを使ったりして、おちょくっているつもりなのかもしれないが、受け狙いでこのような本を書いたとしても、魂がこもっていないんじゃぁないですかなぁ。少なくとも一貫性がない。
メモるページは、とにかく新しいページにどんどん書き込んだらいい。カレンダーなど気にすることはない。
メモはできる限り、詳しく書いたほうがいい。単語の羅列は、その時は理解できても、後で読み返すと理解できない。人間は忘れる動物である。p163「情報の天才」
この本、狙いは悪くないが、羊頭掲げて狗肉を売る、という典型の一冊。そもそも、こんな蓮っ葉な本から「情報を集めよう」としてはいけない。
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