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2010/08/29

つながり 社会的ネットワークの驚くべき力

「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」
「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」
ニコラス・A・クリスタキス (著), ジェイムズ・H・ファウラー (著), 鬼澤 忍 (翻訳) 2010/7 講談社 単行本: 408p
Vol.3 No.0129

 ある人の友人が5人しかいなくても、その5人にもそれぞれ5人ずつ友人がいれば、1人で25人に影響を与えられるし、その25人の友人125人にまで影響を及ぼせる可能性もある。たった1人の意思決定に影響を受ける人数が、あっというまに増えていくことがわかるだろう。1人あたりの家族と友人の合計数が平均10人だとすると、10人、100人、そして1000人に影響が及ぶことは容易に想像がつく。表紙見返し

 もう、ここだけ読んだだけで、私などは、この本は正しい、と独断的に即断してしまう。アメリカのハードカバー本だけに、例によって、いろいろな具体例やら歴史的背景などの説明がつくが、尾ひれ胸びれはいいとして、この本の意味するところは、それはそれでいいんじゃないか。

 六次の隔たりを経てあらゆる人とつながっているからといって、それらの人びとすべてに影響を及ぼせるわけではない。社会的な距離が問題となるのだ。私たち自身の研究から、社会的ネットワークにおける影響の広がりは、いわば「三次の影響のルール」に従うことがわかっている。

 私たちのあらゆる言動は、さざ波を立てるようにネットワークを進んでいき、友人(一次)、友人の友人(二次)、さらに友人の友人の友人(三次)にまで影響を及ぼすケースが多い。だが、その影響力は徐々に弱まり、三次の隔たりの位置に存在する社会的な限界を超えると、目立った効果はなくなってしまう。同じように、私たちは三次以内の関係にある友人から影響を受けるが、その先に連なる人びとからは影響を受けないのがふつうである。p43

 最近、ケータイを機種替えする際に、家族割サービス、というものに加入した。その内容は、3親等までの10人が「家族」として登録でき、そのグループ内では無料で話せるというものである。ちなみに配偶者関係は0親等となるので、結構範囲は広がる。ただ、ひとりの人間は、ひとつのグループにしか属することができなくて、その家族は単体として「独立」しているものとみなされるようだ。

 もしこのルールがなくなれば、この「家族」という概念は、どんどん膨れ上がっていって、かなり無料電話の範囲が広がるはずだ。もっともスカイプや光電話がある今、ケータイであっても無料電話はそれほどめずらしくもなくなった。

 この6次の隔たりと、80:20のパレートの法則をモデルとして、当ブログでは、自分の薄いネットワークを200人つくることを提唱している。そして、その中の20%、つまり40人程度の人々とやや深いつながりを持つことにする。そうすれば、地球の70億人とひろくゆったりとつながることができるはずだ、というイメージである。

 もちろん、これは成人の通常の平均値であり、子どもや職業、身心の健康の状態などによって、さまざまな違いはあるだろう。ツイッターでいえば、何百万人とつながる(フォローされている)人もあれば、まったく誰もフォローしていない人もある。これは、純粋に「ネットワーク」とは呼べない。すくなくとも、双方向の「つながり」ではない。

 たとえば、周囲の人々に「年賀状」を何枚に出すかを聞いてみると、40枚程度がかなりある。多い人で500枚ほど、出さない人はメールで済ましたりするので0枚。だいたいのところ、200枚程度が一家の平均値であると思うがどうだろう。

 ツイッターではまずは100人をフォローし、100人のフォロワーを獲得せよ、というアドバイスが多い。勝間和代なども、500人くらいまではなんとか読んだが、あとは増えるに任せて、あとはシャワーのように浴びている、というような発言があった。「ウェブ進化論」の梅田望夫なども、RSSリーダーに登録して読めるブログは数百程度、と言っていた。

 フォロワー数を「無形文化資産」のように言っていた勝間和代であるが、現在、ツイッターでは、約24000人をフォローしている。彼女が誠実な人で、24時間ツイッターに張り付いたとして、1時間に1000人のツイッターを読み続ける必要がある。一分間に17人程度、ひとり当たり3秒である。これはつながりとは言えない。

 逆に、彼女をフォローしているのは、42万人程度。当然、彼女は、誰にどんな形で自分がフォローされているか、なんてことは把握できていない。ただ、フォロワーを数量的に勘定しているだけなのである。それはパワートリップごっこならそれもあり得るのかもしれないが、すくなくとも双方向性のネットワークとは言えない。

 このような放射状の繋がりをもつことは必ずしもネットワーク理論から考えれば、正常な人間関係だとは思えない。そのようなライフスタイルを作っていることに、どこか無理があると思うし、そのような存在を必要とすることも、フォロワーとして、なにかが狂っていると思わざるを得ない。

 ケータイの電話帳に登録している電話番号は、みんな、どのくらい登録しているだろう。私は通常のビジネスパーソンとして普通だと思うが、約500。キャパシティーとしては1000名を登録できるが、ほとんど満杯になることはあるまい。

 もらった名刺も大事にして保存しているが、いつの間にか、単なるゴミになっている。やはり、現在生きている「人間関係」(ネットワーク)は数百、というところが本当だと思う。しかも、その中で、本当に活性化しているのは、その20%程度。

 しかし、この40~50人程度の広がりが、ひとりひとりの手をつないでいくことによって、地球全体に広がっていく、ということも本当なのだ。片手から流れていったエネルギーは、もう片手のほうに還ってくる。ひとりで、地球の裏側まで手の伸ばそうなんて、思わないほうがいい。もちろん、独りで籠ってしまっては、ネットワークは始まらないが。

 オンラインの社会的ネットワークに何百万人も友人がいると豪語する人がいる。人間の脳は巨大な社会的ネットワークに対応するようにできているとはいえ、友人の数にも許容限度がある。(中略)

 1993年に30人以上の科学者のコメントを付けて発表された有名な論文で、ダンパーはさまざまな霊長類の脳の大きさと集団の大きさの関係を検証し、人間の大きな脳に見合う社会的集団の規模を150人程度と推定した。この数字はダンパー数として知られるようになった。p308「友人を何人持てるか?」

 当ブログでは、実生活の経験上から、それを200人程度と予測してきたが、ここでいうところのダンバー数(150)と大きな違いはない。すくなくとも、全うな人間として生きていくのに、社会的なつながりを、万やそれ以上の単位で求めたところで、それは通常の誠意ある人間としての「つながり」ではない、と断言しても過言ではない。

 携帯メール、ツイッター、eメール、ブログ、インスタント・メッセージ、グーグル、ユーチューブ、フェイスブック。ほんの数年前には存在しなかったこうしたテクノロジーを、私たちは使っているのだ。とはいえ、テクノロジーによっては変わらないものもある。p318「仮想社会の現実的行動」

 テクノロジーが進化しても変わり得ない、人間としての根源的な基本というものがあるはうである。

 SNSの利用者の多くは、友人のリストに何百人からときには何千人もの名を連ねているが、フェイスブックの一般的な利用者がサイト内に持つ数はおよそ110人である。親しい友人がそのうちごく一部なのは言うまでもない。(中略)親しい友人は平均するとわずかに6.6人しかいないことがわかった。p340「友人が多すぎる?」

 これも妥当なところであろう。社会的な繋がりが約200人、そのうちのやや強いつながりの友人が20%の40人。そして、その中でも、ごく親しい友人は、ほんの数人、一桁、というのが、普通の人間社会の姿なのだ。仮想社会のネットワークの中で、過剰に人間関係を拡大することは、どこかで破綻することになるし、そもそも、そのような方向性に向かうこと自体、なにかが狂っていると思える。

 人間がつくりだすネットワークは、それ自体、生命を持っている。成長し、変化し、再生し、生き延び、そして死ぬ。さまざまなものがそのなかを流れ、移動している。社会的ネットワークは、いわば人間のつくる超個体であり、独自の解剖学的形態と整理---構造と機能---を持っている。p357「全体は偉大なり」

 全体がひとつの生命体であることに気づくとともに、自分が無へと向かう一つの生命であることも事実である。ほんの一桁のごくごく親しい友人なかの20%たるべきひとり、つまり自分自身こそが、ネットワークの基本であり、それが無限につながっていくのは、自分がひとりとして無だからなのである。

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