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2010/09/27

最近どうもついていけないという人のためのIT入門

最近どうもついていけないという人のためのIT入門
「最近どうもついていけないという人のためのIT入門」
牧野武文 2010/08 毎日コミュニケーションズ 新書 207p
Vol.3 No.0151 ☆☆☆☆★

 この本の程度の内容ならなんとかついていけそうだ。ここに掲げられた百数十のキーワードのうち、だいたい9割はなんとか理解できる。1割は分からない。分からなかったが、なるほど、このように説明されれば、ほぼ、その意味が分かる。

 さて、その内容を、例えば、わが家の奥さんに私が説明しようとすると、はて、どの程度伝えることができるだろう。自分では理解しているつもりになっているのと、他人に伝えることができるほどに理解している、ということにはかなりの違いがある。

 この本に書かれているキーワードも、分かっているつもりだったが、実は、このように易しく解説されてこそ、そうそう、そうだったよね、と再確認していることが多い。本当はよくわかっていない。最終的には、自分の目的にあった風にITが使えていれば、それでいいじゃないか、ということにはなる。だが、激変の中で、将来的に、どの方向に、どの選択肢を選んでいくか、となると、やはり将来を見据えた全体的なざっくりとした理解は進めておかなくてはならない。

 孫氏の主張の中心は、従来のアナログ電話回線を廃止してしまうことにあります。現在の電話回線の維持費は年間3900億円かかっており、今後10年で光ファイバーだけにしてしまえば、電話回線の3.9兆円の維持費に対して、光ファイバーでは2.5兆円ですむという考えです。p28

 わが家でも、最近完全に光に切り替えた。この10年ほどは、光とISDNが並列的に存在してきたので、無駄なロードがかかっていた。接続機器やサービス内容の進展にともなって、ようやく完全光化が完了したので、通信経費は半分となった。

 海外ではSIMフリーというのは一般的であるものの、アイフォーンのような高機能で人気のある機種では、事実上のSIMロックが行われるようになっています。海外においても高機能ケータイを購入するには、かなりの負担が必要になるので、日本が今まで行っていた「本体を0円で、通話料で回収する」というビジネスが採用されはじめているのです。p33

 ガラパゴスと揶揄されがちな国内ケータイではあるが、へぇ、なるほど、海外でもそういう動きがあるのか、と驚く。ITジャーナリストの今年8月発行の本であるから、そう間違ってもいまい。

 フェイスブックにアクセスするだけで、あなたの友人の近況が一覧できるのです。ミクシーとツイッターの両方を使っている人であれば、「ミクシーとツイッターのいいとこ取りをしている」と言えばピンとくるでしょう。p42

 ピンとはくるが、それらを峻別して活用できるかどうかは、そのサービスの向こうにどれだけの「友人」が存在しているかによる。ミクシーもツイッターも、ましてやフェイスブックも使っていない、わが家の奥さんなどに説明することはほぼ不可能であり、そもそも説明することが無駄である(かも・・・)。

 中には「どうもデジタル機器には才能がないようだ」と自分を責めている人もいらっしゃるかもしれません。でも、それはあなたが悪いのではなく、インターフェースが悪いのです。p94

 いまやキーボードとマウスがないければ、パソコンの仕事ができない状態だが、そもそもタッチタイピングも相当努力して習得した技術であった。いまだにタッチパネルはうまく使いこなせない私などは、マウスがなければ仕事にならない。だが、しかし、よく考えてみれば、マウスでできることはキーボードから操作できるのであった。慣れてしまった環境は当たり前と思ってしまっている自分が恐ろしい。

 たしかに、パソコンからマウスとキーボードを削除してディスプレイ画面からだけ入力するというスタイルは「新しすぎる」のだろうか。「先進」と思っていたが、むしろ、それが当たり前だったりするのかもしれない。最近、代替えしたわがガラケーも、パネルからタッチする作業が多いのだが、これはあまり慣れていない。そのために、わざわざ、フルキーボード付きのスタイルを選らんでいる。

 スマートフォンはインターネットにアクセスするのに携帯電話通信網を使ってパケット通信を行います。この通信量があまりに多くなりすぎて、世界中の携帯電話会社で頭の痛い問題になっているのです。設備を拡充しないで放置したら通信の遅延が起こったり、最悪の場合は通話もできなくなったりという事態になりかねません。p194

 一般ユーザーとして単純に感じていることは、実際には専門家の間においても大問題だったりするわけだ。「インターネットは誰のものか」に通じる大問題ではある。

 本来はSMSとMMSを使えば、携帯電話のメールは実に便利に使えます。ところが、日本ではインターネットメールが使えるiモードが早くから普及したために、SMSとMMSは携帯電話についているオマケ機能程度にしか利用されなくなってしまいました。p198

 技術は進歩しているようで、単純に直線的に進歩していないところが、悩ましいところだ。進化の過程で、ここが最先端、と安心していると、実は枝葉の端っこに追いやられていて、実は本流はまったく別なところに流れていた、なんてことが頻発する。

 国内ケータイがガラケーと揶揄される所以ではあるが、力関係が逆転していれば、ガラケーこそがグローバルIT進化の本流であった、なんてことは当然ありうる。まったくグローバル経済に対する日本経済の低迷がうらめしく思える。

 WiMAXは現在考えられている規格では、一つの基地局の電波が最大50kmまで届く可能性があります。すると、半径50km以内の人はアンテナを立てるだけでインターネットが使えるようになるので、一軒づつ回線を引くよりも安上がりです。p202

 この辺あたりはもう、「最近どうもついていけない」という一般ユーザーが考えるような内容ではないが、進化は進化として、そのような方向にあるのだ、というニュアンスだけはデリケートに感じていたい。

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