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2010/09/03

Kindle解体新書 驚異の携帯端末活用法のすべて 

Kindle解体新書
「Kindle解体新書」 驚異の携帯端末活用法のすべて
スティーブン・ウィンドウォーカー/倉骨彰 日経BP社/日経BPマーケティン 2010/05 単行本 236p
Vol.3 No.0135☆☆☆☆★

 ツイッターのタイムラインを追っかけてみると、実に雑多なつぶやきが続いている。ひとつひとつを追っかけてみると、なかなか意味あるページやブログにつながったりする。フォローする人の選び方によって千差万別の顔を見せるツイッターではあるが、決して140文字では表現しつくされていないヴォリュームある文字列に遭遇したりする。

 キンドルは、アマゾン社が提供する電子書籍のハード&ソフトを含めた総称。日本語環境は整備されていないし、アップル社のiPadがでて、すこし影が薄くなった。それでも、さまざまな点で注目すべき点もある。電子書籍全般が注目されているが、アツモノに懲りてナマスを吹くタイプの当ブログとしては、はて、どうなのかな・・・?と疑心暗鬼。

 メモリー容量は、単純な書籍コンテンツだけなら過剰といえるほどあります。電子書籍の平均的なファイルサイズは1MB前後ですから、今のKindleでも軽く1000冊は入ります。iPadの容量をフルに使えば数万冊の本を溜め込める計算になります。また、無線LANによるネットワーク接続があれば、数百MB~数GBのファイルのダウンロードや、軽快なブラウズが可能です。p189「ユーザーフレンドリーなKindleの特徴」

 まず、1000冊の本を持ち歩く必要のある人間など、どれだけいるだろう。年間に一桁の冊数しか読まない人だっているだろうし、少なくとも一日に1000冊の本を必要とする人はまずいないだろう。はからずながら、当ブログは、過去4年ちょっとで読んだ本は二千冊超。これでも平均すれば、一日一冊以上は読んできた計算になる。決して超人的な多さではないが、平均値よりは多いと思われる。

 それに、私の場合は、すでに読書ブログとしてネットに書き続けてきたから、もし、あの本をもう一度読みたいと思ったら、外出先でもどこでも、ネットから自分の書きこみを読むことができる。気になるところはページ数を明記して転記しているし(誤字脱字がはなはだしいが)、その時読んだ時のストレートな感想がすでに書いてある。

 新刊本や未読のものがあれば、まず、近くの公共図書館のネットを検索する。超人気本以外はすぐに予約が取れるので、ネットでリクエストしておく。その図書館にない本は図書館ネットワークから取り寄せてくれる。入庫になれば、オンラインでわかるので、10分ほどかけて図書館に出向き、カウンターで受け取る。最大予約10冊までできる。

 最寄りの図書館にない時は、近隣の公共図書館、大学や学校(私の場合、2桁の学校図書館が利用可能)、そして最後は国会図書館の利用という手もある(これも取り寄せてくれる)。日本語でこの数十年内に出版されているものであるなら、ほとんど読むことができる。もちろん、無料で。

 青空文庫のお友達「青空キンドル」で日本文学も読み放題

 

 日本語のハイブリッドメインのコンテンツとしては「青空文庫」がよく知られています。プロジェクトグーテンベルクと同様、ボランティアの有志が著作権の切れた作品、あるいは著作権の放棄された作品をテキスト化して、データベースに収録し、Webサイトで公開しています。

 

 夏目漱石、芥川龍之介など、明治・大正・昭和初期の文豪の作品等が提供されています。テキストにはルビ(読み仮名)も埋め込まれています。もちろん無料でダウンロードできます。p50

 当ブログではまだ「青空文庫」に本格的にお世話にはなっていないが、もし、万が一、図書館が使えなくなったり、思い立ってネット完結のライフスタイルをしよう、なんて思い立った場合、私なら「青空文庫」だけで、数週間は持つ、と思う。(数か月は無理かもなぁ・・・)。こうしてみると、アマゾンのキンドルにしても、iPadにしても、電子書籍という可能性はあることは分かったが、まだまだ実用ではないのではないか。

 誰でもアマゾン社のKindle Storeで自分の本を商用販売できます。これは、個人、法人を問いません。誰でも、自分の著作物をAmazon.comのサーバーにアップロードし、希望小売価格を設定し、出版ビジネスを展開することができるのです。p201「個人出版に革命をもたらしたKindleのWeb環境」

 巨大掲示板が衰退傾向にあり、SNSが爛熟期を迎え、また新興のツイッターなどのコミュニケーションサービスが跋扈している今、ブログ人口は数十万人の積極的書き手となって、安定化傾向にあるようだ。この人々のなかには、出版願望の強い人たちも多いに違いない。キンドルで提供されている条件がどれだけ実際的なものかは分からないが、すくなくとも、詐欺まがいの「個人出版」ビジネスに引っ掛かり、数百万円の損失を抱えるよりは、夢のある話ではある。

 総じて思うこと。IT環境のなかでいかに「本」が重要な位置を占めているか、ということと、「本」が置かれている状況をITに置き換えることがいかに大変か、ということである。翻って考えてみると、現在の図書館ネットワークは実によく整備されていて、むしろ、現在、私達の利用に供されているこの環境があることに、大いに心から感謝しなければならない、ということである。図書館、そして司書やスタッフのみなさん、いつもありがとう。

 KindleやiPad、あるいは一連の電子書籍が、これから切り開いていく未来はあるだろうが、まだまだ未知の領域が多すぎるようだ。

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