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2010/09/05

グーグル・アマゾン化する社会<5>

<4>からつづく

グーグル・アマゾン化する社会
「グーグル・アマゾン化する社会」 <5>
森 健  2006/09 光文社 新書 253p
☆☆☆★★

 「クラウド化する世界」(2008/10)を再読しながら、そう言えば「フラット化する世界」(2006/05)とか、こちらの「グーグル・アマゾン化する社会」なんて本があったな、ということを思い出し、みたび読み直してみることになった。読み直してみればすでに4年前の本であり、それなりに時代背景を反映しているが、情報は古びている。

 しかし、一番注目していたのは、この「サイエンスライター」としての森の書きっぷりが必ずしも、梅田望夫的オプティミズムに陥らずに、一歩、視線を引いたところからインターネットやウェブを見つめている点だった。その姿勢は前著「インターネットは「僕ら」を幸せにしたか?」(2005/09)という本のタイトルに如実に現れている。

 そして、その後、共著「サイバージャーナリズム論」(2007/07)の中でも、彼らしいスタンスを維持していたので、はて、この人は、この2010年において、どんな本を書いているのだろう、とググッてみた。その結果、最近刊は脳にいい本だけを読みなさい!― 『脳の本』千冊の結論」(2010/02)であることがわかった。なるほど、脳ですか。この本、アマゾンでなか見!検索できる。ちらちらと印象をつかんだので、あとは図書館から借りだして読んでみよう。

 当ブログでも、それこそ茂木健一郎池谷裕二をペラペラめくりながら、人並みに「脳」を追っかけてみようとした。しかし、その試みは必ずしも全うされていないし、達成感はまるでない。この分野に足を踏み入れていくと、ずぶずぶと腰まで浸かってしまいそうだ。幸い森健はこの「脳の本」数千冊の「結論」を出しているようだから、それに期待することにしよう。

 「クラウド化する世界」(2008/10)のニコラス・G・カーは、近刊「ネット・バカ」(2010/07)に「インターネットがわたしたちの脳にしていること」というサブタイトル(日本語版)をつけている。なるほど、時代は、インターネット→脳(あるいは意識)へと、次第にトレンドを強めつつあるかもしれない、と期待し始めた。そういった意味では、もうすこしカーの近著も慎重に再読しなくてはなるまい。

 コンテナ→コンテンツ→コンシャス(ネス)の中で、このコンシャスという言葉は、特に日本語としてどのように使われているだろう、と、ツイッターで検索してみた。すると、大体は、ボディ・コンシャスとアース・コンシャスという使われ方が多いようだ。ボディコンはすでに流行語化しており、ファッションや美容関係で、特に女性(あるいは女性マーケット)に好まれて使われているようだ。

 一方、アース・コンシャスは、なかなかいい感じの言葉づかいなので、広がりがあるかな、と思ったが、どこかの大手石油メーカーの環境ボランティア活動のキャンペーン名として使われているために、一般的な意味で、言葉の広がりはない。余談だが、このアース・コンシャス活動、近々、近くの海岸清掃活動を行うようだから、参加してみようかな。

 さて、他の使い方としては、なんにでもコンシャスをつける傾向もある。美顔コンシャス、恋愛コンシャス、アート・コンシャスや、そして足元コンシャスや、時には喉仏コンシャス、なんて言葉使いもでてくる。なんでもかんでもありで、フェチシズムの、足首フェチとか巨乳フェチなどのように、日本語化して使われてもいるのであろうか。当ブログとしては、「スピリチュアル・コンシャス」なんて言葉使いはどうなのだろう、と思ってみる。

 さて、最後は主題に戻ってみると、当ブログは、このところすっかり「グーグール・アマゾン化」したガラパゴス・ブログとなっていたのではないだろうか、と反省する。当ブログへのアクセスは、一部のSNS経由の身内を除けば、ほとんどがグーグル経由である。他の検索サイト経由もないではないが、グーグル経由が90%を占める。そして、読書ブログとして読んだ本にアマゾンへのリンクを張っておしまい、としておけば、なるほど、森健が指摘するグーグル・アマゾン化の「弊害」に当ブログも知らずして堕ちてしまっている可能性大である。

 幸いにして、最近は、他のサイトからの訪問者も多くなってきた。自分たちのブログやHPに当ブログへのリンクを貼り付けてくれている人も増えてきて、そこからのアクセスは常連化する可能性も高い。感謝に堪えない。とにかく当ブログは現在、10番目のカテゴリとして「No Books No Blog」を走らせている。なにか新しいステップアップが必要なのである。

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