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2010/09/10

触発する図書館<2>空間が創造力を育てる

<1>よりつづく

触発する図書館―空間が創造力を育てる
「触発する図書館」 <2> 空間が創造力を育てる
大串 夏身 (著), 高野 洋平 (著), 高木 万貴子 (著), 鳴海 雅人 (著) 2010/04 青弓社 単行本: 141p
☆☆☆☆☆

 この本なんとなく気になって、また手に取ってしまった。アップルiPhoneやiPadなどのスマートフォンの進化、アマゾンKindleなどの電子書籍の台頭、Googleブックスの更なる野望、そして、ツイッターをはじめとするインターネット上の情報の在り方の変化。これらの動きのまで、旧態の図書館は、まるで風前の灯か、とさえ思える。

 しかし、普段から地域の公共図書館には多大な恩恵を受けている当ブログとしては、はて、本当にそうなのか、と疑問符を打ってみる。たしかに、自分がいままで持っていた図書館のイメージというものは、決してアップデイトなものではなかった。まさに旧態依然としたものだった。

 しかしながら、21世紀になって以来、あるいは、当ブログが自らを読書ブログなのだ、と自己規定して以来のこの4~5年の間に、よ~く目を開いて見てみると、いわゆる公共図書館は、ものすごい変貌を遂げつつある。蔵書ネット検索、取り寄せサービス、返却システムの合理化やコンファレンス・サービスの向上。現在の私の生活は図書館なくしては成り立たないほど、便利に活用させてもらっている。

 このような変貌は、決して偶然や漠然とした事態がもたらしたものではない。そのように変えようとしてワークを続けてきた人々がいるのである。意欲的に、意識的に、図書館は変わりつつある。

 この低成長の時代にあって、地域の超近代的建築物はパチンコ屋と葬儀会館だけかと思っていたら、なんと、よくよく見えば、地域の図書館もなかなか素敵だぞ。これは国内ばかりか、世界にさえ誇れるすごい建築物であったりする。

 蔵書はいままでのものに順次追加されているのだろうが、ディスプレーの仕方や紹介の仕方、あるいは組み合わせの在り方などで、こちらの知的渇望を、じわりじわりと刺激してくる。「本」の進化より、「図書館」の進化のほうが風雲急を告げていて、これがなかなか目を離せない。

 この本、タイトルで損をしているのではないか。「図書館」という単語自体が、旧態依然とした雰囲気を持っている。「空間が創造力を育てる」というサブタイトルも決して上手とは言えない。なにかもっと、流行りの言葉を入れて、もっともっと刺激的なセールス・プロモーションをすべきだ。すくなくとも、まさに内容はそのようなものなのだから。

 図書館員が図書館のなかだけにとどまっているのではなく、街の利用者のもとへ出かけていくことも必要です。p085「利用者のもとへ、街に飛び出せ」

 この本は一般向けでもあるが、意識的に図書館員向けにも書かれている。図書館の司書やスタッフが、さらにこの本のような意識変革を遂げたら、そして、ネットと連動し始めたら、これは、本当に大変なことになる。世界のかくめいは図書館から発火する、と言っても過言ではない。

 本棚と呼ばれる書架が並んでいる図書館の姿はもう見られなくなります。p099「情報メディアの進化に追随する空間」

 悪く言えば、情報社会の変化に対応する図書館側から見れば、現在の状況は断末魔の悲鳴を挙げている状況にさえ近い。保守層から見れば、このような変化は受け入れがたいものとさえ思えるだろう。しかし、図書館は、もっともっと進化する。進化せざるをえない。そして、その時、「図書館」というネーミングさえ、変わってしまうだろう。たとえば、公共コンテンツ・センター、などという風に。

 たとえ閉架にある本でも、利用者との出会いが生まれるような仕組みが必要です。p108「地下で眠る財産」

 当ブログは、一般開架棚にある本を中心に読み進めているが、時にはやっぱり深追いしたくなるテーマがある。その場合、図書館蔵書ネット検索は実に便利だ。なんだ、こんな本が、こんなに前から、しかも手短にあったではないか、と、大助かりだったことが再々ある。閉架も、これからどんどん活用したい。

 図書館にも、さまざまな指標で評価し、トータルな格付けがあっていいと考えます。p128「地球のことを真剣に考えはじめた図書館」

 これは本当だ。地域の図書館が使いにくかったのは、駐車場の問題だった。都市の中心部にあるために、地下の駐車場が、立体駐車場になっており、常にスタッフが2~3人いるのは有難いが、車の出し入れに、どうかすると10分もかかったりする場合がある。本の出し入れだけで、わずか数十秒で済む作業のために、この有料駐車場を使う必要があることには大いにためらいがあった。最近は、自転車やウォーキングでいくことにしているが、利用する私(たち)も、真剣に考えなければならないことがたくさんある。

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