「脳の本」数千冊の結論 森健
「脳にいい本だけを読みなさい!」 「脳の本」数千冊の結論
森健 2010/02 光文社 単行本 255p
Vol.3 No.0138 ☆☆☆★★
当ブログはある時点から、書く記事にタイトルをつけることをやめ、本のタイトルをそのま自分のブログのタイトルとしてきた。自分の創造性が不足しているせいもあるが、あとから検索するのに、自分で自分をググッてみる必要がでてきたあたりから、それはもう当たり前のこととなってきた。しかし・・・・・
この本のタイトルをそのまま自分のブログの記事のタイトルにするのは、きわめて憚かられる。本のタイトルを単に転記しているだけだ、と多くの人は理解してくれるだろうが、それでも、こんな本を読んでいて、なお、ひょっとすると、少しは共感しているのではないか、と思われるのが、ちょっと恥ずかしい。
いや、この「本」自体には共感するところが多い。むしろ、こういう視点で、よくも、こうして「脳の本」に切り込んでくれた、とすこしは感謝する。
脳ブームで脚光を浴びた著者は複数いるが、現役の研究者であり、多くのヒット本を生みだしたことで世の中に少なからぬ影響を与えたといえば、次の3人を措いて語ることはできない。
東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二准教授、東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授、そしてソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャーの茂木健一郎氏。この3人が登場してから、「脳の本」は急速な広がりを見せることになった。078p
池谷については、「進化しすぎた脳」や「単純な脳、複雑な『私』」が面白かった。茂木については、ひととおり追っかけてみたが、「意識と何か」など、ごく一部を除いてはまったく面白くない。川島教授に至っては、まったく関心がない(食わず嫌いか?)し、今後の読書リストにも載っていない。その他、本書においては、T・H(特に名を秘す)についても触れている。
自己啓発を主体とする「脳の本」を多数書いていることについては、そこは確信犯と言い切った。
「実際、ビジネス啓発という分野の書籍は、読者にとって実用的に役に立ってなんぼのものなのね。だから、そこはビジネスとしての確信犯で書いている。僕の読者もそれはわかってくれていうrと思う」
つまり、ビジネス啓発という分野の書籍だからこそ脳の働きの説明より、その働きから得られる効果のほうだけにフォーカスしているとのこと。それはビジネスだと。そうT・H氏は語っていた。p118
脳の本とか、いわゆるビジネス書、と一般に日本で言われている書籍群は、そのかなたに「意識=コンシャス」論をおくと、理解が早い本がたくさんある。あるいは、欧米のハード本などは、もろに「コンシャス」を扱っているのに、日本においては販売マーケッティング上の必要から「ビジネス」や「脳」などの、筋違いな形容の元で「売られている」本がたくさんある。
日本の読者は、もうすこし「書き手」達を育てなければならないのではないか。いまのままでは、あまりにも読者が馬鹿にされている。そういった意味では本書の森健などは、今後の経緯によっては、大化けするサイエンスライターであると、私は期待している。
「脳」はたやすく、新興宗教にも、スピリチュアルにも、オカルトにもなる。p190
ああ、この辺までくると、ホントに微妙。目をそむけていたくなる。
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