頭がいい人の10倍パソコン術 できる人は「たった3秒」を有効に使う
「頭がいい人の10倍パソコン術」 できる人は「たった3秒」を有効に使う
中山真敬 2009/11 三笠書房 単行本 237p
Vol.3 No.0168 ☆☆☆★★
最近やたらと自分の書く文字が下手になった。小学校に入った時以来、母親から、折れた釘のような字と非難されつづけた位だから、別に突然下手になったわけではないのだが、最近特にひどくなった。どうかすると、自分が書いた文字を自分で判読できない時がある。時には奥さんに手伝ってもらって「解読」しようとするのだが、奥さんだって、分かるわけがない。
母親も、学校時代の成績はともかく、文字は綺麗だったし、父親も、地域で看板などが必要な時にはよく頼まれた、というほど、実にお手本のような字を書く人だった。兄弟も割と普通の字を書く。あ~、それなのに、それなのに。
「あなたは筋がいいのだから、ゆっくり書けばいいのよ。曲げる処は曲げる。伸ばすところは伸ばしすぎない。止めるところは止める。落ち着いて、ゆっくり書きなさい」。そう言われ続けて幾星霜、結局、私は、母親の希望通りの字を書くことはできなかった。
基本のところはともかくとして、最近とみに字を書くのが面倒臭く感じるようになったのは、明らかにキーボードでワープロを打つようになったからだ。速度的には、明らかにペンで書いているより早い。マインドの動きと同じほどの速度、とまでは言わないが、タッチタイピング速打ちソフトなどを使って、かなりのスピードで打てるようになった。だから、いつも頭の中でできた文章を文字化するには、タッチタイピングの速度が必要になるのである。
しかるに、ペンでの文字書きは、なんともまどろっこしい。頭の中ではどんどん文章ができてしまっているのに、それを書き写す手の動きがついてこない。どうかすると、もんどり返って、ひっくり返ることになる。これではいけない、と反省はしてみるのだが、とにかく書き文字が下手になっていっているのは確実だ。
だから、ホントウのことを言うと、もうこれ以上、入力速度が速くなることを期待してはいない。もう充分なのだ。しかるに、この本は、もっと速度をあげろ、という。なるほど、ひとつひとつのワザを工夫すると、さらに行けそうだな、と確信する。ワザの中心は、マウスで操作しているようなGUIでのポインティングを、ショートカットなどのキーボードから入力する方法がほとんどだ。
なるほど悪くない。ひとつひとつは、智慧あるワザだ。しかし、本気になって習得しようとは思わない。これ以上早くするために、これだけの習慣を直すモチベーションがないのだ。むしろ、このパソコン入力というインターフェイスについて、考え込んでしまいそうになる。
コマンド入力や、キーボードからの入力をさらに簡素化するために編み出されたのが、マウスだった。GUIのもっとも中心にあって、いまやパソコンライフには欠かせない存在となっている。しかしながら、パソコンの主流がノートパソコンになりつつあり、モバイル・コンピューティングも当たり前になってくると、このマウスという奴が、やたらとうっとしいう感じに思えてくる。
たとえば最近のiPadなどではマウスは使わない。ソファーに寝っ転がってインターネットする、なんていう環境ではマウスは使えない。マウスを使わないことが、いまやトレンドとさえなっている感じがする。
この本でのご教授は、マウスを挟んで、過去へと戻るような所業なのではないか。むしろ、時代は、ポスト・マウス、ポスト・キーボードという方向で、前に進んでいる。「早い」だけが問題なのではない。「簡単」なのが、むしろトレンドなのである。10倍速くなくていい。いまのままでいいから、もっと簡単に、もっとシンプルに、という流れなのではないのか。
最近、台替えしたスマフォ風ガラケーには、フルキーボードがついている。数字キーも上に横一列並んでいる。もともとメインで使っているノートパソコンには数字テンキーがついていないので、同じような配列で普段は使っている。ガラケーでも割と早く打てるようである。
ただ、親指二本ではタッチタイピングはできないので、いちいち文字盤を見るので速度は遅い。計測したことはないが、一部のレポートによれば、パソコンのキーボードで文字を入力するより、ケータイのフルキーボードで入力するのは4~5倍の時間がかかるようだ。しかし、それでも、私にとってはケータイのテンキーから日本語を入力するよりも数倍早く、そもそもストレスがたまらない。
もとはジャーナリスト打ちなんて言って、人差し指二本でかなりの速度を出していた人々がいた。結局は、慣れなんじゃぁないだろうか。ケータイのテンキーだって、最初からこういうものだと思って使っている人々は、そうとうな早さで打っているように見える。
この本は必ずしも入力の方法ばかりではなく、ソフトや環境の整え方にまで言及しているわけだが、今後のパソコンのありかたはどういうもののか。ヒューマン---マシン---インターフェイスはどのようにあるべきなのかを再考するに当たって、基本的な足下を確認させるような一冊と言える。
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コメント
GPS機能。これも大きな進歩だ。自分が徘徊老人になったら、これですぐ発見してもらいたい。ぜひケータイは身につけておきたい。
ツイッターなどでも位置情報をアップすることができるようだけど、私は、あんまり生データをオープンするのは気がすすまない。
でも先日、ひとりの青年が、自分のケータイで、近くの業種リストを検索して、一番リストの上にあったという私の事務所を訪ねて来た時にはびっくりした。
彼は偶然近くを通りかかっただけなんだ。
wiiのゲームのように、ケータイのGPSをあちこちに向けて入力する、という方法は確かにあり得る話ではある。
投稿: Bhavesh | 2010/10/10 22:41
重力センサーとコンパス、GPSで、そんなことしてます。
gmapのストリート・ビュウとか、スカイ・マップとか、携帯持って右みたり上見たり。
投稿: setu | 2010/10/10 20:21
文字の入力だけでなく、右、左、とか、上、下、あっち向いてホイ、とかで、ポインティングが反応したら便利かな(・∀・)イイ!
投稿: Bhavesh | 2010/10/10 17:01
グーグルさんは、音声入力に力を入れてますね。これはすぐに実用レベルに思ってたらしくて、最初からアンドロイドに載っていて、徐々に良くなってきてる。でも、「キーボード(他の入力方式?)も良くします」ってことでした。 3.0 で登場するノかな?
アンドロイドケイタイの音声入力は、日本語はないと思う。ひらがなレベルでいいので、音声入力が欲しいな。発音=ひらがなで書いたとおりなので、簡単じゃないのかな?
投稿: setu | 2010/10/10 14:41
結局はウェアブル・コンピュータのように、目でウインクしたり、声で入力したり、鼻をクチュクチュしたりするインターフェースができてくるのではなかろうか
投稿: Bhavesh | 2010/10/07 22:51
ごろんと横になっても、両手でタッチタイピングが出来るような仕組みを作るには手が何本必要かな?自分の手はキーを打つのに日本使っちゃうので。画面を固定したり、キーボードを固定する手が必要。なんとかならないのかな?
アイフォン発売のころ、アイフォンを持つための腰に固定する「もう一本の手」というのが冗談のように売り出されているのを見たよ。
投稿: setu | 2010/10/07 20:03