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2010/10/05

生保・損保特集 2010 東洋経済

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「生保・損保特集 2010年」
東洋経済新報社 2010/10 A4変
No.0164 ☆☆☆☆★

 当ブログにおけるホケン追っかけはどこまで行くだろうか。「保険完全ガイド―保険辛口ランキング50」 などを見ると、いろいろと新しい商品やニーズやらが登場しているようでもある。「見直し以前の『いる保険』『いらない保険』の常識」 あたりを読むと、基本的にホケンに求められているものは何にも変わっていないし、機能そのものは全く同じなのだ。だが、多くの顧客のライフスタイルが大きく変わっているのも事実である。

 前書二書が、会社側からの紐付きでない立場での意見だとすると、こちらの「生保・損保特集」は、売り手側からの見かたであり、毎年この時期に出る定番の一冊と言える。毎年のルーティン・ブックになっているので、毎年見ている立場にとっては新鮮味がないとも言えるし、小さな違いがむしろ新鮮に感じられるとも言える。

 今年の特集で、敢えて目新しいと言えば、ネット販売としてライフネット生命とイーデザイン損保のヘッドが対談しているあたりだろうか。イーデザイン損保は損保TN社が、NTTあたりと組んで立ち上げ、ネット販売に特化したもの。実態としてのシェアは0.1%にも満たないだろうが、大手損保には手をこまねいてネットを見ているだけではダメだ、という反省がある。

 生保のお得意だった職域という販売スタイルが、最近の職場のセキュリティの高さが災いして、なかなか若い世代のところに入っていけなくなったという。そして、若い層の所得が低下し、ホケンに支払う金額が減っている。その結果、ホケン難民という状態が生まれつつあるという。

 現代人であってみれば、0歳から100歳まで、ホケンと無縁で生きていくわけにはいかない。意識的に避けるにせよ、積極的に活用するにせよ、よくその内容を知らないといけない部分が多くある。ホケンのニーズが高い世代は40歳の家庭人をピークとして裾野を広げているが、もちろん、意識的にホケンを排除していくことも可能ではない。

 例えば、自衛隊や大手の運送会社などは任意の自動車ホケンには入っていない。もともと事故があったとしても、自分で支払う能力があれば、ホケンなどに入る必要はない。だから、財務が潤沢であればなにもホケンになど頼る必要がないのである。そもそも、生命と財産を守るとされているホケンではあるが、「守る」のは財務の面だけであって、顧客がイメージしているような「安全&安心」とはかなりズレている。

 生命保険なども、無縁社会を闊歩するおひとり様などは、死亡後に残すべき財産など考える必要がなければ、死亡保険金は入る必要がない。葬式費用ぐらいを現金で準備しておけば、煩わしい生保に入って、彼らに儲けられる必要などないのだ。

 ただ、それ以外の人々がそれらの人々につられてホケンに無頓着でいると大変なことになる。ごく最近の身の回りに起きたことだが、44歳の男性がなくなった。残されたのは36歳の奥さんと6歳の子供。男性は生命保険1000万に入っていたが、受取人は男性の両親になっていたという。どのような人間関係だったかは知らないが、両親は、妻と孫にその保険金を渡す気配はないという。

 これは、結婚した当時、あるいは適当な時期に受取人を妻にしておくべきだったのだが、意識的だったのでなかったのあれば、これは男性と妻の大失敗ということになる。払っているホケンの内容をよく調べていなかった。そこが悔やまれる。

 もっとも、残された家族にとって1000万では不足する可能性がある。妻が年金年齢になるまでの30年間、子供が成人する16年間の、生活費や学費を考えると、200*30+100*16という計算結果、数千万円が大きく不足するだろう。これはもうあとのまつりである。手持ちの財産を処分するか、公的支援をフル活用するしかない。

 こんな当たり前のことも、販売員や代理店が小まめにチェックしてあげていれば、決して起きない問題であったが、一般の顧客は、ほとんど気がつくことなく何年も何十年も過ごしてしまうことになる。信頼すべきコンサルタントやFPがもっと活躍すべきなのだ。

 ネット完結型のホケンが保険料のダウンを成功できたとして、きちんとしたコンサルができているのだろうか。一般のユーザーが理解できるほどに、キチンとした商品になっているだろうか。そもそも、経費を削減すれば50%に削減できるという保険料は、もともとそんなにいい加減なほど高額なものを取っているのだろうか。

 スマートフォンやiPadからホケンの契約をしたからと言って、ホケンが素晴らしい商品になっているとは限らない。それはたんに販売の店先が変わっただけであり、商品そのものはまた別な空間で作られている。しかし、本や食品や衣料にしても、販売方法が違っただけで、商品そのものにも変化が及んでいる。ネット販売になっただけで、ホケンは本当に中味を大きく変えるのか。

 単なる一生活人の読書ブログである当ブログにしてみれば、商品やマーケットについて深く言及する力などない。敢えて、本のレベルで、人々はホケンというキーワードで、どんな世界をめぐっているのかの、大雑把なアウトラインをなぞることができれば、まずは当ブログにおいては、まずまずは成果があったということになるだろう。 

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コメント

とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます。

投稿: 生命保険の選び方 | 2010/10/05 14:15

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