« ダダ漏れ民主主義 メディア強者になる!<2> | トップページ | 行列のできる保険ショップがはじめて書いた 世界一やさしい保険の本 あなたにピッタリ!保険選びの決定版 »

2010/10/11

貴重書デジタルアーカイブの実践技法 HUMIプロジェクトの実例に学ぶ

貴重書デジタルアーカイブの実践技法
「貴重書デジタルアーカイブの実践技法」 HUMIプロジェクトの実例に学ぶ
樫村雅章 2010/04 慶応義塾大学出版会 単行本 272p
Vol.3 No.0174 ☆☆☆☆★

 出版されたばかりの新刊本をギロチンにかけてバラバラにして30分ほどでスキャナで読ませて電子書籍化するというのもデジタルアーカイブの一つだろうが、こちらは「貴重書」の冠がつく。この本で中心になるのは、世界に48冊しかないとされるグーテンベルグ聖書の1冊。

1987年10月22日
クリスティー(Christie's)の競売で、日本の丸善が落札。落札価格は490万ドル。手数料を含めると539万ドル(7億8,000万円に相当)で、印刷本の落札価格としては当時の世界最高記録を更新した。

1996年春 
慶應義塾大学が丸善より購入。
某ページより借用

 本自体には値段が書かれていなかったが、相当に高値であることは間違いない。丸善が落札した時は、日本はバブル経済の真っただ中にあった。さらに丸善から慶大に転売された時はどの程度の価格がついていたのだろうか。

 いずれにせよ、これだけの「貴重本」をデジタルアーカイブ化するというのだから、いっぺんにギロチンにかけて、スキャナーで読み込ませてキンドルで読む、というお手軽コースは取れない。自炊できないのである。だが一体、どこのコックさんに頼めばいいのか。

 この本では、プロジェクトを立ち上げ、アーカイブ化するに当たっての検討と、使われた機器類が、豊富な画像で紹介されている。国会図書館のアーカイブも数年前からマイクロフィルムなどからデジタル化されているということだ。

 小さなレベルでいえば、当ブログなどもミニマムなデジタルアーカイブであると言えないこともない。ほとんどの書籍の画像はネット上で流通しているが、95年以前の本だと表紙の画像がないものが多い。そのような時は、自前のスキャナーを使ったり、デジカメで撮影したりして、アップしているものも相当数ある。

 例えば「西蔵仏教宗義研究」なども貴重だと思うが、ネット上では画像情報はなかった。「如是経 一名 光炎菩薩大獅子吼経 序品 つあらとうすとら」も貴重な存在ではあろう。私の処に来た時でさえ、背表紙などが朽ちかけていた。図書館ネットワークで私のところにやってきてはくれたが、本来、所蔵館で門外不出としてデジタルアーカイブ公開すべき一冊に属しているのではないだろうか。

 ある意味では「曼荼羅グラフィックス」なども、「貴重書」デジタルアーカイブスの一種であろう。その他、このようなプロジェクトの意義は今後ますます高まるであろうが、さらにこれらのアーカイブスがどのように公開されていくのかを、一般読者である私たちは注意深くおっかけていく必要がありそうだ。

 書物のデジタル化をとりまく環境も、変化を加速させていった。質より量の傾向がさらに強くなり、Googleブック検索のようなとてつもない規模のデジタル化が実現されるようになった。国会図書館でも、蔵書の大規模デジタル化に100億円以上の予算が充てられている。またAmazon社のKindle2の売れ行きが示すように、電子書籍も身近なものとなり、別の意味での本のデジタル化も加速しているようだ。p259「あとがき」

 7億円とか100億円とか、景気がいいのか悪いのか分からないような単位のお話も飛び出してくるが、無料ブログサービスに、地域公共図書館利用、を徹底している当ブログとしては、そもそもフリーなアーカイブスを目指そうとすると、どうしても「質より量」と揶揄されることになる。

 しかし、そもそも、書籍は、月を指し示す指であったとするならば、どんなに黄金の指を作ったところで、月を見逃すこともあるのだ、と反論しておくことにする。大事なのは、「貴重書」なのか。そこに指し示された「真理」なのか。量より質、と言った場合、「貴重書」は高品質である、と断言できるのか。

 真理は100億円積まれても、見逃される可能性もあるのだ、と、ちょっと突っ張っておく。

|

« ダダ漏れ民主主義 メディア強者になる!<2> | トップページ | 行列のできる保険ショップがはじめて書いた 世界一やさしい保険の本 あなたにピッタリ!保険選びの決定版 »

40)No Books No Blogs」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 貴重書デジタルアーカイブの実践技法 HUMIプロジェクトの実例に学ぶ:

« ダダ漏れ民主主義 メディア強者になる!<2> | トップページ | 行列のできる保険ショップがはじめて書いた 世界一やさしい保険の本 あなたにピッタリ!保険選びの決定版 »