第三の波 アルビン・トフラー
「第三の波」
アルビン・トフラー/著 徳山二郎/監修 鈴木健次・桜井元雄他/訳 1980/10 日本放送協会出版局 p642
Vol.3 No.0192 ☆☆☆☆☆
「読書マンダラ2006~10」の11冊の中では、当ブログとしては未読のままの最後の一冊。どのタイミングかで読み込みたいと思ってきた。一連の奥野卓司などを読んでみれば、定番のようにこの本がでてくるし、当ブログのスタート地点においても「富の未来」をめくったりはした。
トフラーの本は重厚な本が多いので、なかなか一気読みするということはできない。それでも、突いているポイントはハッキリしているので、その本が何をいおうとしているのかはすぐ分かる。当ブログのマンダラの中では「第三の波」→「それがぼくには楽しかったから」→「ウェブ進化論」とくるわけだし、その「ウェブ進化論」ですら陳腐化するほど、その後の動きはモーレツなものがある。
この流れの元祖として、トフラーの「第三の波」を据えておくことはとても重要なことだと思う。私はこの本を発売とほぼ同時に80年10月の死のベッドで読んだ。余命半年と宣言されていたことはずっと後になって知ったことだが、あの時、もっと生きていよう、という未来に希望を持てたのは、この本が指し示す未来に夢を持ったことも、大きな一つの要因だった。
エレクトロニック住宅とか、生産=消費者(プロシューマー)などが毎回取り上げられるので、見逃しがちだが、この本は「新しい精神体系」とか「人間性の未来」などを中心に据えている。当ブログでいえば、コンテナ→コンテンツ→コンシャスネスの動きを網羅した形で論が展開されているところに、秀抜な洞察力を感じる。
第三の波の文明を健全で、民主的なものにするには、新しいエネルギーの供給源を開発したり、新しい技術を実用化するだけでは不十分である。共同体を復活しさえすればよい、というものでもない。人生に、構造と意味を与えなければならない。p527「新しい精神体系」
そのために、やってみなければならないことがいくつかあり、それらはいずれも特に難しいことではない、とトフラーは言う。
もっとも簡単で、しかも緊急性が高いものとして、まず一連の中核となるべき人生相談の専門家と、その助手をつとめる人間の育成をはじめるべきではないだろうか。イドとか、エゴとか、心理学の専門用語ばかり飛び出してくるような、研究室のもぐらのような人びとは、実はあまり必要ではない。むしろ、人生のこまごまとしたことを、いっしょになって相談にのってくれる、実践的な人が必要なのである。p538「人生相談と結社の効用」
この本、あらためて再読する価値がある。決して時代遅れではない。マクルーハンとともに、いずれトフラーも再読するためのリストに載せておきたいと思う。
ネット上で偶然に過去のテレビ番組の映像があったので、貼り付けておく。あとでゆっくり見よう。
つづく
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