仕事ができる人はなぜレッツノートを使っているのか?
「仕事ができる人はなぜレッツノートを使っているのか?」
山田祥平 2009/01 朝日新聞出版 単行本 214p
No.0166 ☆☆☆☆★
ちょっと気恥しくなるようなタイトルの本だが、中味はまぁまぁ真面目。レッツノートを長いこと使っている著者が、自らを「仕事ができる人」と表現するわけだから、自画自賛的な厚顔ぶりが多少は露呈している。
もちろん「仕事ができる」という場合の仕事の内容によるが、著者みたいにIT関連のニュースを記事にして生計を立てている立場なら、なるほどレッツノートは適していると思う。実際に、外回りの営業が多く、時には長期出張の可能性もあり、という人々がレッツノートを持っているのをよく見かける。
ノートパソコンを買い替える時期にくると、かならずレッツノートはその候補の一つに挙がる。前回この機種にしなかったのは、そもそもノートでバーチャルゲーム・セカンドライフ(SL)をしたい、というのがコンセプトだったから。レッツノートでSLはちょっと似合わないと思ったし、機能面で他の機種に譲るところがあった。
ノートパソコンとケータイが、ほぼ確実にその存在意義を固め、その間に入らんとするのが、ネットブックや、iPadやスマートPCなどのモバイルパネル。この本は2年前の本なので、その状況の変化をうまくとらえていないが、それでもたしかにパナソニックのレッツノートは、そのキャラクターから、決して無視はできない。
レッツノートのよいところは、コンパクトでCDDなどをうまく収容していること。バッテリーの持ちがよく、筺体の強度がいいので、モバイル性に優れていること。デザインもアートしていないので、ビジネスシーンでもよく似合う、ということ。パナソニック、というブランドが、よくも悪くも、うまくかみ合わされている。
逆にデメリットは、メリットの裏返しということにはなるが、すこし趣味性に欠けているところ。パナソニック、というイメージがどこまでも続くこと。出先で誰かのレッツノートとかぶると、なんだか気まずい事。それに、すこし値段がお高い。
なんでも見切りは必要なので、自らがPCを使う目的がはっきりしているなら、ここはズバリとレッツノート、と決めてしまうことは可能であろう。もっとも、いろいろなシリーズがあるので、大きいものから小さなものまで、自分のライフスタイル、というよりビジネスシーンにあった機種を選べばいい。
現在の個人のライフスタイルで言えば、パソコンとケータイの間に、もうひとつのガジェットを入れることはあまり賛成ではない。出来ればパソコンとケータイが合体してくれないか、とさえ思っているくらいだ。だから、そういう意味でいうと、iPadやkindleは必要なくて、スマートフォンがもっと機能化してくるとか、レッツノートがもっとモバイル性にあふれて、なお通話さえできるようになる、というのが本当は期待したいところ。
もともとモバイル派の私は、デスクトップ型のパソコンは好みではなく、最初からノート派なのだが、最近は、セキュリティの面から、パソコンを持ち歩くことは推奨されなくなった。業務はかなりの場合、クラウド化しており、出先でもあまりパソコンを多用しないようになったのだ。
現在手元には何台かのノート機があるが、一台最近ヘンな音がするようになった。ファンになにかゴミでも詰まったのだろうか、と思うが、HDDあたりの回転部分がなにかの変調をきたしている可能性もある。あるかもしれないサドンデスに控えて、次なる機種の選定もしておきたい。
iPadやkindleでは私の仕事はできないが、かと言ってネットブックのように見切りをつけるのも、ちょっと怖すぎる。ここはレッツノートも強力な候補としてツバをつけておきたい。万が一、レッツノートを使おうとするなら、この本は再読の価値あり。
この本に展開されているモバイル・コンピューティングはどのノートにも活用できる。たまたま著者がレッツノートの愛用者だった、というニュアンスが強いのだが、それでもやっぱり、ビジネスシーンでモバイル・コンピューティング、となれば、結局この本のような結論になる可能性は高い。
著者の最近の心境も知りたいところだが、どうやらこの本が、単行本としては彼の最新刊のようである。
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