グーグル時代の情報整理術
「グーグル時代の情報整理術」
ダグラス・C.メリル/ジェイムズ・A.マーティン 2009/12 早川書房 新書 366p
Vol.3 No.0191 ☆☆☆☆☆
私の机の上は、まるで潮の満ち引きに、さも似ている。ある時は、さっぱりしていて、購入したばかりのような状態であってみたり、時には、まるで、台風が通過した翌日の海岸のような、ありとあらゆるものが散在したりする。
よくよく考えてみると、確かに潮の満ち引きにさえ関連しているかもしれない。仕事はカレンダーに連動しているし、カレンダー、とくに陰暦などは海の満ち引きに連動しているのは確実なのだ。
机のまわりについては、以前、リズ・ダベンポートの「気がつくと机がぐちゃぐちゃになっているあなたへ」が多いに役立った。今でも基本は彼女のコーチングが基本になっているが、当時、流行っていた「『捨てる!』技術」も後押しをしてくれた。
あの時、まずは捨てる、ということで、かなりスッキリした。今考えてみると、二、三、捨てなければよかったな、というものもないわけではないが、あれからの経緯を考えても、どうせ残しておいても、使わなかったし、役には立たなかっただろうと思う。
さて、「グーグル時代」である。グーグルの元・最高情報責任者である著者が、満を持しての登場、という感じではあるが、必ずしも、スッキリとまとまっているわけでもない。時代におけるIT、とくにクラウドと呼ばれるものの、最大限の活用法を展開している、というところだろう。
さまざまな企業の責任のある立場を渡り歩いてきた著者だけに、ひとつひとつのレポートはなかなか興味深いものがある。とくにグーグルの会議風景の描写など、なるほど、と思わせる。
整理術の原則
1)脳の負担がなるべく少なくなるように、生活を組み立てよう。
2)なるべく早く、頭の中から情報を追いだそう。
3)”ながら作業”は一般的に効率を低下させる。
4)物語を使って覚えよう。
5)いつもそうしているからといって、そうしなければならないわけではない。
6)知識は力ならず、知識の共有こそ力なり。
7)思い込みの制約ではなく、現実的な制約をくぐり抜ける術を身に付けよう。
8)自分を決め付けるのではなく、自分自身に心から正直になろう。
9)制約を無視すべきケースを知ろう。
10)エンジンをかける前に、どこに向かっているのか、どうやって向かうのかを明確にしよう。
11)目的の達成方法に幅を持たせよう。
12)情報を整理するのではなく、検索しよう。
13)本当に記憶の必要な物事だけを記憶しよう。
14)大きなかたまりを、小さなかたまりに分けよう。
15)週一回、重要な情報を見直す時間を設けよう。
16)完璧な整理術などない。
17)あとで検索しやすいように、デジタル情報には関連キーワードを追加しよう。
18)文脈の変化を見越して、メモを取っておこう。
19)文脈の似た仕事をまとめて行なおう。
20)仕事とプライベートのバランスを取るのではなく、融合させよう。p332
仕事や情報、と言っても、各人それぞれの立場持ち場で意味することが異なる。必ずしも、この整理術が必ず役立つとは言えないが、すくなくとも大きな仕事をまとめてきた人の体験からでた「てつがく」には耳を傾ける価値はある。
それから、もうひとつ、思い切ったアドバイスをしてみたい。iPhoneを購入しよう。あるいは、グーグル・アンドロイド携帯。画面が大きく、インターネット接続が高速で、ウェブ・ブラウザーの使用感がコンピューターに近い携帯電話なら、何でもいい。そして、文書、連絡先、予定、メールなど、重要な情報をなるべくクラウドに保存するようにしよう。
そうすれば、どこにいても、あなたにとって重要な膨大な情報にアクセスできる。必要になったら、検索すればいい。誰かと共同利用したいなら、共有すればいい。そうすれば、あわてることも、混乱することも、ストレスをためることもない。毎日の呼吸がすこしラクになるはずだ。p275「文書とウェブ・コンテンツの整理」
本書の重要ポイントのひとつはここにある。そして、本書と当ブログの接点もこのあたりに求めなければならない。とくにアンドロイド端末を使い始めた私としては、特に留意すべきところだ。スケジュール管理や共有などは、じつは、オンラインのPCの上では当たり前になっているのだが、これをモバイルの端末上で延長しよう、という環境は、当面は、かないそうにない。
ただ、「外圧」が高まれば、当然のごとく、そのような環境ができてくるはずだ。考えてみれば、以前、紙ベースが当たり前だった業界が、いまやネットありきの業界に様変わりしている。今後、スマートフォンがなければ仕事にならない、という時代は、実は、すぐ目の前にきている感じがする。
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