「ザ・メディテーション」 メンタル・アドベンチャー・マガジン 1977/10 - 1979/04 <1>
「ザ・メディテーション」 The Meditation メンタル・アドベンチャー・マガジン<1>
創刊1977/10 - 1979/04 全7冊 平河出版社 季刊雑誌 p150程度
Vol.3 No.0214~0220 ★★★★☆
「精神世界の本 メディテーション・カタログ」(1981)や荒俣宏編集「世界神秘学事典」(1981)などをめくりながら、70年代末に「ザ・メディテーション」という雑誌があったことを思い出した。77年秋に創刊。インド行きを準備していた自分は、この雑誌の創刊号を見て、いよいよ、この時代が来たな、と感無量だった。
しかし、実際には創刊号を見ただけでインドに行ってしまったので、2号以下はリアルタイムとしては読んでいない。季刊であったし、当時、類のない雑誌だったので、インドに旅行者が持ってきたものは読ませてもらったが、熟読できるような環境ではなかった。
それに、季刊とは言え、わずか7号で休刊したため、77年の秋から、79年の春までという短期間だったので、私のちょうど最初のインド旅行の期間に対応し、当時の雰囲気が色濃く残っているこの雑誌は、見るのもちょっとはばかれるが、それでもやっぱり見ずにはおれない魅力を持っている。
当時から30年以上も経過するのに、いくらか欠号があったが、今回、ネット検索してみて、あらためて7号で休刊したことを知り、全7冊をそろえておくことにした。こうして全部そろえてみれば、当時のいわゆる「精神世界」と言われたものが、色濃く反映しており、そのカオス、その混乱ぶりは半端ではない。
創刊号1977/10
この雑誌を店頭で発見した時の自分の驚きは大きかった。こういう時代が来たのだ、と思った。ひとりひとりの執筆陣についてはあまり細かく考えなかった。ただ、この雑誌に広告を出していた旅行会社が「横尾忠則と行くインド・プーナ」という企画を出しており、私はてっきり、彼といっしょにプーナに行くものだと思っていた。
プラブッダが「存在の詩」を紹介している。その他、玉石混交ではあるが、なにせ「メディテーション」という響きがよかった。出版社は気にいらなかったが、さりとて、他にどこから出ればよかったのだろうか。
創刊2号1978/01
前年の11月に日本を出発した私は、この本はリアルタイムでは、読んでいないことになる。山尾三省や松岡正剛、チョギャム・トゥルンパなど、実に多彩な人々が執筆陣に顔をそろえている。巻末の「精神世界の本ベスト100」などが、後の精神世界の本のルーツとなるか。
夢枕獏が見開きの短文を書いている。彼が70年代から書きだしたという「上弦の月を喰べる獅子」の構想は、この辺に根っこがあるだろう。
3号1978/04
「横尾忠則とともにインドへ翔ぶ」という企画が載っている。主催は「ザ・メディテーション」編集部だ。
メディテーション旅行団第1団!1978年8月7日発
「未知のものへの憧れを秘め、この夏に横尾忠則さんとインドへ翔んでみませんか。バグワン・シュリ・ラジネーシの「存在の詩」を生んだデカン高原の緑の都市プーナを訪れ、インドの悠久の刻の流れに浸りゆく。バラ色に輝やく朝の光のなかで・・・神秘の山々に沈む黄金の夕陽に染まれば目覚めへの歩みがはじまる」p22
私はプーナでこの雑誌のこの広告コピーを読んだ可能性がある。だが、結局は横尾は来なかった。高校を出てすぐ、彼のアトリエを訪問し、後に、彼に直接話したり、サインをもらったり、現在では、twitterで、リアルタイムでフォローしているが、彼は彼なりにこの当時、かなりアンテナを張っていたものと思われる。この時、彼がプーナを訪れたら、サニヤシンになっていただろうか。彼はこの年の3月にでた「究極の旅」の帯に推薦文を書いている。
4号1978/07
この号にも同じ旅行企画の広告がでている。むしろこの号で特筆すべきは吉福伸逸がプーナ訪問記を書いていることだろう。彼が訪れたのは3/08~3/17あたり。「OSHO講話タイトル:年代順」でいえば「The Book of Wisdom, Vol 2 」あたり。もっとも、この時期は、私はビザの関係で一カ月インドを離れ、スリランカ仏足山の藤井日達上人のもとで南無妙法蓮華経のお太鼓を叩いていたので、会うことはなかった。
5号1978/11
特集「瞑想の科学」の文字が躍る。巻頭の横尾の一連のイラストレーションが美しい。喜納昌吉も書いている。今となってみれば、「瞑想の科学---21世紀へのメタ・サイエンス」のコピーが美しい。でも、コピーではなく、本当に「メタ」サイエンスになっているかどうかは、未確認。「仏陀と物理学」でフリチョフ・カプラの文が吉福訳で紹介されている。
6号1979/01
もう、この辺にくるとネタ切れか。「精神世界の本ベスト800」、という企画で乗り切っている。曼荼羅ポスターなどの付録もついている。このポスターをトイレに張っていて、友人に叱られた頃が懐かしい。
7号1979/04
「総特集---カリフォルニア精神文化論」。この頃は、インドに行くか、カリフォルニアに行くか、どちらかだった。1970年の頃、ちょうど高校の修学旅行の時期だったが、大阪万博か、北海道コースのどちらかを選べた。あの時、私は北海道を選んだ。それと同じような選択が、1977年当時はあった。私はインドを選んだのであったが、少し傾向性が分かる気がする。
いずれにせよ、この号で、「ザ・メディテーション」は休刊となる。このあとは「瞑想」とか「アーガマ」などに引きつがれたようでもあるが、個人的には、すでに感情移入はできない。
一号、一号、いずれは玩味してメモする時がくるかも知れないが、なにはともあれ、77年~79年当時の時代性を見る上では欠くことできない雑誌シリーズだと、私には思える。
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