ゆっくりやさしく社会を変える NPOで輝く女たち
「ゆっくりやさしく社会を変える」 NPOで輝く女たち
秋山訓子 2010/10 講談社 単行本 187p
Vol.3 No.0273 ★★★★☆
「NPO」繋がりで、こんな本も手にとってみた。この本、最近でた本。「ゆっくりやさしく社会を変える」というフレーズには、男も女も関係ない。ゆっくりやさしく社会とともに自分も変わっていきたい、といつも願っている。しかしながら、「NPOで輝く女たち」とくれば、なるほど、この本のタイトルの重みも違ってくる。
この本には、NPOを軸とした事業や生活を展開する4人の女性が紹介されている。ひょっとするとだが、このような活動を仮に「男性」がしていたとしても、あまり大きな話題にはならず、どうかすると当たり前のようにとられがちであろう。
ところが、女性には、結婚、出産、育児、家事、介護、などの「仕事」があり、女性ならざるわが身としては、本当の意味で、女性の視点から人生や世界を見ることはできていないように思う。いっぱしのフェミニストのつもりではいるのだが、頭の中はともかくとして、実際に、わが家の奥さんなどから見たら、私なぞは、まったくいいかげんな存在に映っているのかもしれない。
NPOの先駆けとして、組織を率いて14年。リーダーとして大事なことは、「逃げないこと」だという。
「最初の頃は、逃げることが時にあった。でも、逃げると余計にしんどいね。逃げても何も解決しない。何が問題なのか、相手と向き合って話すことが解決につながる。その時はしんどいし、すぐには解決しないこともあるけれど、話しあうことで気持ちが和解するというか、たとえ考えが違っても、お互いがお互いのありようを認めて一致点が見いだせる」
中村さんの活動に一貫しているのは、傍観者ではなく、当事者になって自ら行動することだ。p58「他人の為に、自分の時間を差し出せる世界に」
ボランティアらしき活動を始めて25年近くなった。その時々の自分にできる範囲のささやかなものではあったが、なにかひとつボランティアといえるようなものを持ちたいと思ってきた。それは、そうしなければならないものではなかったし、やりたくないことでもなかった。どっちでもいいのだが、やってみよう、と思えたのは、他人のため、というより、やはり自分のため、という方が大きかっただろう。
何かと出会える、何かが身につく、何かが生かされる。そう、自分が生かされてこそのボランティア活動であった。他の人たちと生きていくことこそ、自分が生かされているのだ、という実感だった。このボランタリティー精神がNPOに繋がっていく。もちろん、NPOとなれば、責任は重くなり、逃げることは難しくなる。バランスをとる必要がある。
妙に肩肘張っているわけでも気負っているわけでもなく、ごく自然で、しかも楽しそう。きれいごとばかりではない世界で、地を這うようにして活動しているのです。でも、信念を持って続けていれば応援する人は必ず現れる。そして、ほんの少しずつではあるけれども、着実に地殻変動を起こしている。まさに「変化は辺境から」を実感しました。p183著者「あとがき」
最近は、けっして小さくない「地殻変動」が世界各地で起き始めているようだが、変動ばかりでは命は育たない。定まる時も必要だし、静かに動き出す時も必要だ。ひとつひとつの場面で、ほどよいバランスが必要となる。そんな時、この本に書かれているような「女性」の感覚が、大きく生かされてくる。
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