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2011/02/25

山で暮らす愉しみと基本の技術

【送料無料】山で暮らす愉しみと基本の技術
「山で暮らす愉しみと基本の技術」
大内正伸 2009/06 農山漁村文化協会 単行本 143p
Vol.3 No.0269 ★★★★★

 この本はわが家の人気本。イラストを見ただけで奥さんがすぐ手を出してきた。実際に山で暮らそうとしたら、次の瞬間から役立つような実際の技術と知恵がイラストつきで分かりやすく紹介されている。しかもそれは著者の体験から書かれている。

 片刃の刃物は一方向の連続した動作に向く。両刃は左右から同じように切り込める。上はナタとカマが合体したようなナタガマと、突起付きのナタ。地面にぶつけても刃が欠けない。ツル切りにも便利で、山村向きの道具 p16「木を伐り、草を刈る道具たち」

 山の椒エコビレッジの4m道路も、実際はかなり自然化しており、車で走行しようとすると、両側から伸びているツル類が行く手を阻む。まずは、自分が使うべき道は、ナタを使って整備する必要があるようだ。

 毎日のようにナタ・カマを使う山暮らしでは、刃物の研ぎはとても大切だ。研ぎには砥石を固定して刃物を動かす場合と、刃物を固定して砥石を動かす場合の二通りがある。砥石よりも研ぐ本体が大きいカマやナタは、後者でやる場合がほとんどだ。砥石を一定の角度で動かすことが重要で、ブレると丸っ刃)切れ刃の断面が局面状態)になって切れない。p18「刃の研ぎ方、メンテナンス」

 まず、道具の扱い方、ひとつひとつから学ぶ必要がある。

 現代人の感覚では「ちょろちょろと流れる沢水」ではとても水源になるまい、と思うだろうが、昔は「指一本分、鉛筆一本分の太さ」の流れがあれば、一戸が暮らせる、といわれていそうだ。水をムダ使いする現代感覚では無理かもしれないけれど、たとえ流量が少なくとも中継タンクの容量を大きくして水を溜めることができれば、水源になりうる。重要なのは量よりも質である。質とは安全な水であること、そして水源が一年中枯れないこと、である。p77「水源と取水法」

 山の椒エコビレッジでは、すでに大きな水源が活用されているし、住民が多数になった場合でもすぐ対応できるように、井戸の設備があり、対応方法はさまざまある。しかしながら、実際に彼の地に自らの住まいを設定する場合、「指一本分、鉛筆一本分」の流れを探して探索するのは楽しそうだ。しかも一年中枯れないこと、を確認するには、なんども土地をあるいてみる必要がある。

 単なる砂と礫の層を通過するだけで水がきれいになり、細菌さえも除去されてしまうという「緩速ろ過(生物浄化)方式」は、私たちに鮮やかな視点を与えてくれる。つねにゆっくり水が流れるこの砂ろ過層の中で、さまざまな微生物が水を浄化しながら暮らしている。p76「山水と水質と生物浄化」

 この辺はすぐにでも実験してみたいところだ。

 スギ・ヒノキの間伐材丸太で、納屋、道具置き場、軽トラの駐車場にもなる「掘っ建て小屋」をつくってみよう。「掘っ建て」とは、土穴に丸太柱を立てるものだ。小屋づくりの中で、木を学び、生かすコツが見えてくる。丸太の構造力学、雨仕舞、皮むき、はつり、釘打ち・釘抜き、シノによる番線しばりなど、木を使う具体的な技術も身につけられる。木と土と石を使う古民家の維持・再生のヒントも見つかるはずだ。p93「小屋をつくる 建てることで木を学ぶ」

 一年中暮らすをことを考えるとなかなか腰が重くなる。雪の中で、女性陣もあたたかく暮らせるように、なんて理想はさておいて、まずは、まずは掘っ建て小屋から始めるか。これも学習の始まりだ。

 汲み取りや自家処理がイヤなら、オガクズを使うドライトイレという選択もある。オガクズに、し尿を混ぜ、ヒーターで温めながらスクリュー撹拌すると、好気性微生物によって分解され乾燥も進む、というもので、最後はサラサラのパウダー状になって土に還すことができる。水や配管がいらないので、オガクズ入手が容易な山村では向いているかもしれない。p91「「トイレの処理を考える」

 これは実際的な課題だ。すぐに取り組まなくてはならない。

 この本には他に「火を使う」として、囲炉裏や石窯、かまどの作り方なども書いてあり、この一冊だけあれば、結構な山暮らし通になれる。

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