宇宙飛行士が撮った「母なる地球」
宇宙飛行士が撮った「母なる地球」
野口 聡一 (著), 宇宙航空研究開発機構(JAXA) 2010/12 中央公論新社 単行本: 120p
Vol.3 No.0234 ★★★★★
クラーク&キューブリックの「2001年 宇宙の旅」や、立花隆の「宇宙からの帰還」、エドガー・ミッチェルの「月面上の思索」、などを読んだあとに、身近にこのような本があると、実に宇宙の旅が、21世紀においてはごくごく当たり前になってきているのだな、と実感する。
この本は、2009年12月21日から2010年6月1日までに野口聡一宇宙飛行士が国際宇宙ステーションに滞在した際に、インターネットのツイッターを通じて送り続けたという画像が中心になった写真集である。
いままでも、宇宙から見た地球の画集というのはいくつか見てきたが、実際に宇宙飛行士が撮影して、しかも、同時にツイッターで配信されていた、ということだから、ようやく2010年後半になってツイッターを登録した私は、完全にその同時性を失ったことになる。
しかしながら、この本はその宇宙滞在のちょうど1年後に発行されており、同時代人としては、その感動を十分共有することができる。流れ上、どうしても、立花隆からエドガー・ミッチェル、そして2001年宇宙の旅に見られるような、意識の進化、などに興味を持ってしまうが、この本は、いたって冷静に、かつ多弁に、地球人としての視点を語りかける。
詳しくは知らないが、この人はアメリカのスペースシャトルにも搭乗し、ロシアのソユーズ宇宙船にも乗り、宇宙においては両国や日本をはじめ他の国家も参加した国際宇宙ステーションに長期に渡って滞在したということだから、思えば、これは実に大変な現実なのだ、とあらためて驚いた。
以前、当ブログに「テラ・フォーミング 宇宙コロニーの実現」というDVDについてメモしておいた。たまたまの空き時間に訪問した天文台のあと、図書館でこのDVDを見つけて借りてきたのだ。冷やかし半分のメモだったのだが、この記事に対するアクセスは、当時かなり多かった。何でこんなに、と思うほど、人々の関心は高い。
彼のツイッターは、Astro_Soichiで今でもみることができるようだ。地球上においては、さまざまな紛争が起きている。見るに堪えない、と、ついつい目を伏せがちになってしまう。そういう時代背景がありながら、なお、宇宙に対する冒険心や、地球人としての自覚が、次第次第に、多くの人々に共有されつづけているのだ、とあらためて実感した。
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