「ニホンミツバチの飼育法と生態」吉田忠晴<1>
「ニホンミツバチの飼育法と生態」 <1>
吉田忠晴 2000/01 玉川大学出版部 単行本 135p
Vol.3 No.0283 ★★★☆☆
この本は、その出版元からも推測されるように、玉川大学の研究者たちによって編集されており、その研究は、自らの大学内で飼育しているニホンミツバチの観察がもとになっている。そもそも、セイヨウミツバチは生産的な養蜂を目的として明治以後輸入されたものであり、ニホンミツバチはセイヨウミツバチによって駆逐されてしまった、という印象もあるらしい。
しかしながら、両者には、生態に異なるところが多く、時間、空間を異にしながら共存しており、ニホンミツバチは絶滅危惧種にはなっていないという。そういえば、私も昨年、とあるところでニホンミツバチと遭遇した。いや、私にはそれがそうなのかどうかすら判断しかねる。ただ、いつもはセイヨウミツバチを見慣れているイチゴ農家の人が、そう判断したのだから、かなり信憑性はある。
ニホンミツバチを飼うには、すでに養蜂をしている人から譲ってもらうか、実際に野性のものを見つけるしかない。だが、私なら、あの場所にまだきっと生息しているに違いない、と察しをつけ、そのうち下見に行ってみようと思う。そして、もしまだ生息しているのなら、自然の状態と、山の椒の生態と、どのように違うか、比較観察してみるのも面白いと思う。
服装をととのえる
ニホンミツバチの性質は、一般に温和で刺針行動の頻度も低いため、セイヨウミツバチの内見時に必要な燻煙器は使用しなくてよい。ニホンミツバチの場合は燻煙するとかえって蜂群全体が煙に対して敏感に反応して大騒ぎとなる。顔を刺されないようにつばの広い帽子の上から面布をかぶり、長袖、長ズボン姿が望ましい。
蜜不足の時などは攻撃的になることがあるため、そのような場合にはゴム手袋などで手を保護するとよい。もし刺されたときは、刺針基部に付いている毒嚢部が収縮を繰り返し蜂毒が送り込まれているため、刺針を速やかに取り除くことが必要である。
残った刺針を指先で抜こうとすると、毒嚢部をつぶした状態になり、いっそう蜂毒が入ることになるためよくない。刺されたところを着ているものに強くこするようにして刺針を抜く。体質によってはかなり腫れ上がる人がいるが、2、3日で腫れが引く場合が多い。
しかし刺された後にじんましんが出たり、呼吸困難になったりする人は、蜂毒に対するアレルギーをもっているため、ミツバチの飼育は避けたほうがよいと思われる。p48「ニホンミツバチの飼育法と採蜜」
私はハチの類に刺されたことがないので、ハチは怖くない。だが、わが家の小さな庭にも毎年ハチ類が営巣するので、たまに除去するような時は、かなり慎重にゆっくりと作業をすることにしている。ハチさん、お友達になりましょう、という雰囲気でいると、たまに偵察隊が飛んできたりするが、簡単な威嚇で立ち去っていく。
だが、ハチを実際に飼っている人の話を聞いたり、本を読んだりすると、まず刺されたことのない人はいないようだ。1回目、2回目、3回目となると免疫もできるようだが、その間隔があいていると、免疫もなくなっているようでもある。いずれにせよ、大自然に向かい合う時は、真剣勝負の心構えが必要だ。
簡単にミツバチと言われ、しかもセイヨウとトウヨウと分けられているが、細くはいくつにも分けられているようだ。
セイヨウミツバチ
クロバチ
イタリアン
カーニオラン
コーカシアン
トウヨウミツバチ
オオミツバチ
コミツバチ
ヒマラヤオオミツバチ
クロコミツバチ
サバミツバチ
クロオミツバチ
キナバルヤマミツバチ
本州型ニホンミツバチ
対馬型ニホンミツバチ
中国亜種(セラーナ・セラーナ)
インド亜種(セラーナ・インディカ)
ヒマラヤ亜種(セラーナ・ヒマラヤ) p91「世界のミツバチ」より要約
セイヨウミツバチを飼育するには、養蜂振興法により都道府県知事に届けを出さなければならないようだが、趣味で養蜂する場合、しかもニホンミツバチを飼育する場合は提出の義務は不要とされている。
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