「パーマカルチャー菜園入門」 自然のしくみをいかす家庭菜園 設楽清和<1>
「パーマカルチャー菜園入門」 自然のしくみをいかす家庭菜園<1>
設楽清和 2010/08 家の光協会 単行本 159p
Vol.3 No.0274 ★★★★★
パーマカルチャーなんてハイカラな言葉で言われるとよそよそしいが、どこかで知っていたような内容である。それでもやっぱり、こうして整理されると、なるほど、とあらためて思うことが多い。
3つの心構え
1)地球に対する配慮
微生物、植物、動物といった生物、そして、土、水、空気といった生命を支えるすべてに対して心を配ります。そして、より豊かで持続可能な地球を築いていくために行動します。
2)人間に対する配慮
人間が地球に与えるインパクトの大きさを自覚し、環境を保全しながら人間の基本的要求を満たします。
3)余剰物の共有
自らの基本的要求を満たしたら、次は他者が同じ目的を達成できるように余り物や情報を差し延べます。p016
ポイントを押さえてもらうと、偏りをチェックすることもできるし、忘れていたことを補完することもできる。
10のキーワード
1)多様性 多様な植物が助け合うギルドをつくる
2)エッジ効果 資源が集まるエッジを増やし生産性を高める
3)多機能性 1つの要素が3つ以上の機能を果たす
4)重要機能のバックアップ 重要な機能は複数の方法で確保
5)小規模集約システム 時間と空間を余すところなく使いきる
6)効率的なエネルギープランニング 動植物や建物などを適切なエリアに配置
7)生物資源の活用 生物資源を用いて省エネ&作業軽減
8)つながりのよい配置 各々の要素が関係し合いながら働くために
9)エネルギー循環 エネルギーを蓄え、循環させる
10)自然遷移の加速 生態系の成長の流れを速めて安定した収穫を p016
なるほどなるほど。実際に、自分の中にイメージが湧いてくる。
菜園デザインの基本
0エリア 活動の中心となる家。保存庫や、道具小屋など。
第1エリア 家の周り。最もよく管理されて使われるエリア。物干し場、スパイラル菜園をはじめとする家庭菜園、苗床、温室、薪などの燃料置き場、コンポストなど。
第2エリア 世話が必要な動植物のエリア。果樹園、風よけの木、生け垣、つる棚、家畜小屋(ニワトリ、ウサギ他)など。
第3エリア 剪定やマルチのいらない果樹、肉用家畜(ウシ、ブタ他)、主作物の畑、風よけの木。
第4エリア ほとんど管理の必要のない半野生のエリア。牧場、木の実、木材及び燃料用の樹木。
第5エリア 自然のまま野生のエリア。基本的人間の生活エリア(0~第1エリア)から最も離れたところに設定するのが合理的ですが、野生動物が移動するコリドール(回廊)として、あるいは風などを避けるために生活エリアに一部設けることもあります。p028
もちろん、これらの概念は暫定的なもので、実際にはその土地や関わる人々によって、大きく変わってくる。
そうそう、この本にはミツバチについても記されている。山の椒エコビレッジではすでにミツバチの活用が始まっている。
ミツバチの利用
一般的にはハードルが高いと思われがちなミツバチの飼育も、小さな庭があれば可能です。ミツバチは、果物の受粉の媒介をし、ハチミツは食用に、巣から採れるミツロウはキャンドルや天然ワックスの材料になります。
ミツバチは、「多機能性」をもつコンパニオンアニマルの一種であり、「生物資源の活用」につながります。p100
この本、他に、「身近にある野草を様々に活用する、魔女講座」とか、「し尿を堆肥に変える、コンポストトイレ」とか、「自分野菜をつくる、種採り」など、ひとつひとつが興味深い記事で埋まっている。山の椒エコビレッジ・メンバー必読の書か。
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