現代建築家による“地球(ガイア)”建築<2>
「現代建築家による“地球(ガイア)”建築」<2>
乙須敏紀 2008/11 ガイアブックス/産調出版 単行本 287p
前回この本についてコメントしたのは、東日本大震災が起こる3週間前のことだった。ガラスでできたせんだいメディアテークの図書棚から借りてきたこの本は、他の建築物の本に比べ、どこか深く胸に留まった。
震災で、メディアテークを初めとして、地域の図書館機能は壊滅し、長くそのネットワークが使えずにいた。当ブログはもともと、あと十数冊にコメントを加えたら、「読書ブログ」というスタイルを終了しよう、としていたところだったので、タイミングとしては合致していた。
本にたよらない暮らし。図書館がない暮らし。そんな物に憧れ始めたのは、逆に、この5年ほど、図書館依存の暮らしを続けてきたからかもしれない。もうそろそろ図書館暮らしを卒業したかった。
だから、図書館ネットワークが機能しないことを、むしろ私は歓迎できた。なければないでなんとかなる。震災後のライフラインの復活しない中では、読書しようにもままならないものがあった。手持ちでも結構面白い本が残っている。
されど、やはり1ヶ月が過ぎ、2ヶ月が過ぎると、本に対する禁断症状のようなものが現れた。こりゃ、どうやら、ブックアディプトとでも名付けるべき体質を私は持っているようなのだ。あれこれ、読みたくなる。読み返したくなる。
その頭によぎってくる本の中で、今、どうしても読みたいと思った本の中の一冊がこれだ。
現代建築家によるGAIA”地球”建築
石、大理石、テラコッタ、粘土といった地球素材を組み合わせる
これは建築が人間と一体化する、最も自然なやり方である 表紙
山の中のくらし、というと、すぐに切り出した丸太で作ったログハウスを連想するが、私などもそれ以上の想像力がつづかない。だが、「現代建築家」にかかると、更なるイメージが展開される。しかも、それはブループリントではなく、現実にすでに存在するものなのだ。
この本でまず惹かれたのは、決して整地されたわけではない自然の中に、いきなり建築物があることだ。雪原であったり、原生林であったり、荒地であったりする。その中にあって、窓が多用され、そこから切り取られた風景が、一枚の絵画になっていることだ。
実に憧れる写真が、この本の中には何枚かある。ああ、このような建築物であったらいいのに、と思う。ただ、これは専門の建築家たちが、基準に則して作った「作品」群だ。それなりの建築費がかかっている。富裕層のお遊び的な面がないではない。
それに反して、当エコビレッジに設営しようという「ハウス」には、それほどの予算はない。ほとんど、大きめなテントを購入する程度の感覚だ。今回の被災地で「全壊」してしまった建築物の廃材を一部利用し、セルフビルドで、2×4材と、簡易な屋根材で作るつもりだ。
この本、震災前の前日にアップしておいたロイドカーンの「シェルター」と対をなすような、ある意味、対極に位置する一冊である。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント