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2011/06/07

生き方の原則 ヘンリ-・デイヴィッド・ソロ-

【送料無料】生き方の原則
「生き方の原則」 
ヘンリ-・デイヴィッド・ソロ-/山口晃 2007/12 文遊社 単行本 96p
Vol.3 No.0293 ★★★☆☆

1)ソロー関連の中では新刊に属する一冊。小さな一冊に仕上がっている。読もうと思えば簡単に読み切ってしまう。そういう面からか、少し読みだして、すぐ、カリール・ジブランの「プロフェット」を思い出した。

2)そう思ってしまうと、ソローが何を言っているか、という細かいディティールより、ソローからジブランに連なる系譜、というあたりが気になり始めた。エマソン → ソロー → ニーチェ → ジブラン、と並べてみると、ここにある西洋近代思想のひとつの底流を見る思いがする。

3)正直言って、「森の生活」というカテゴリに立ってみれば、スナイダーあたりが、2011年の今日的に一番感情移入しやすいわけだが、それでも、スナイダーのZENあたりでさえ、いまひとつ、煮え切れていない感じがする。

4)「森の生活」とスナイダーZENをつないでも、なお、埋められていないスキマがある。敢えて「東洋的」と言わないまでも、今日的な「地球的」ZENとは何か。

5)一週間、毎日、新聞を一紙読むというのは、読みすぎではないでしょうか。最近、私はそれを試してみましたが、その一週間というもの、自分が生まれた故郷に暮らしているような気がしませんでした。太陽、雲、雪、それに樹木が、これまでのように私に語りかけてくれないのです。二人の主人に使えることはできません。一日がもたらす富を知り、我がものとするには、一日だけではだめです。もっと長い時間をそれにかけねばなりません。p38

6)もとよりこの4年ほど、日刊新聞は購読しなくなってしまっていたが、読書であろうと、ツイッターであろうと、ブログであろうと、そこにはまった後に、抜け出してみると、そこにぽっかりと空間があいていることがよくある。

7)この本のタイトルは「Life without Principle」。白洲次郎が当時の日本を「プリンシパルのない国家」と牛耳ったが、白洲は自らの生き方にプリンシパルを貫き通そうとし、ソローはそのプリンシパルを除いた生き方を望んでいたのか。

8)白洲にせよソローにせよ、パッと見には、所詮やんちゃな小難しいおっさんにすぎないのだが、プリンシパル、という単語を持ちだしながら、人間なんて、結局は原理原則では生きられないのだ、という真理を垣間見せることになる。

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