父は空 母は大地―インディアンからの手紙
「父は空 母は大地」―インディアンからの手紙
寮 美千子 (編・訳) 篠崎 正喜 (画) 1995/03 パロル舎 単行本: 36p
Vol.3 No.0294 ★★★★★
1)「神戸の震災の後、「父は空 母は大地」 http://amzn.to/saettle が被災で多く読まれ, 現地で復興支援のためのTシャツも作られました。「生きる勇気をもらえた」との声がうれしかった。アメリカ先住民の言葉を絵本にしたものです。」
2)被災後の近況を伝えるために、細かく報告していたツイッターが、思わず友人知人たち以外にもフォローされていた。上は、その中の寮美千子さんがいくつかのリフォローしてくれる中、みずからの作品についてツイートしてくれたものだ。
3)その日は3月29日だったが、なぜかその日は私の誕生日。思いがけないプレゼントとなった。しかし、そこの頃はまだまだライフラインが復活しておらず。ガスが来ず、ガソリンも手に入りにくかった。ましてや壊滅した図書館は復興の目途など立っていなかった。
4)図書館ネットワークが復活したら読みますと約束したままだったが、このたび、ようやく図書館が復旧し始めた。さっそくリクエストして読んでみた。
5)獣たちが いなかったら
人間は いったい何なんだろう?
獣たちが すべて消えてしまったら
深い魂のさみしさから 人間も死んでしまうだろう。
大地は わたしたちに属しているのではない。
わたしたちが 大地に属しているのだ。p26
6)Father Sky, Mother Earth。原題をそのままだと、「父なる空 母なる大地」としたくなるところだが、本書では「父は空 母は大地」となっている。翻訳全体が女性らしく目配りされている。篠崎正喜のイラストも素晴らしい。このイラストがあってこその一冊と言える。
7)しかし、ふと思う。これは必ずしも、純粋な意味での「インディアンからの手紙」ではない。「リトル・トリ―」ほどには脚色されていないだろうが、純粋な「手紙」としてではなく、「物語」として読まれるべき一冊なのだ。
8)「パパラギ」のように、よくできた文明批評でもあるようだし、岡倉天心の「茶の本」のような比較文化論でもあるようでもある。短く、インスピレーションに富んだ本ではあるが、ややもすると理想化されすぎたネイティブ・ピーポーの姿が戯画化されてしまうことさえ懸念する。
9)あらゆるものが つながっている。
わたしたちが この命の織り物を織ったのではない。
わたしたちは そのなかの 一本の糸にすぎないのだ。p34
10)こまかいことは、もうどうでもいい。これは、母の胸にだかれた幼子が、母親が語るおとぎ話に誘われて、そっと夢の世界に入るように、静かに、静かに、読むに限る。そして、再び、篠崎正喜の絵の世界が、終わりのない深い夢の中へと誘う。
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