M9大震災サバイバル術100問100答 知れば知るだけ生存率が高まる! 山村武彦
「M9大震災サバイバル術100問100答」 知れば知るだけ生存率が高まる!
山村武彦 2011/07 成美堂出版 単行本 111p
Vol.3 No.0376 ★★★☆☆
1)防災対策アドバイザーの肩書をもつ人の監修になる本だから、一通り目を通しておいて悪くない。少なくとも、震災は、どこでどのような環境で遭遇するか計り知れない。あらゆる可能性をインプットしておいても、なお、実際の被災状況は、さらに異なるだろう。
2)これまでは放射性物質に対する防災意識など、原発立地の周辺でしか教育されてこなかったが、今回の東日本大震災においては、逆にそれが裏目にでているようでもある。
3)放射線に関する単位
シーベルト(Sv)人が放射線を浴びることによる影響(その場所に1時間いた場合の実効線量)を表わす単位
グレイ(Gy)物質に吸収された放射線のエネルギーの大きさ(吸収線量)を表わす単位
ベクレル(Bq)放射性物質が放射線を出す能力が放射能で、その量の単位がベクレル
カウント・パー・ミニット(cpm)1分間当たりの放射線を示す単位。数値の大小と人体への影響は関係ない。 p90「原発事故に備えるための基礎知識」
4)ああ、こういうお勉強をしなければならなくなった、ということ自体に驚きと悲しさがともなう。
5)人が胸部エックスCT検査で1回浴びる放射線量は6.9ミリシーベルトですが、一度に100ミリシーベルトを超える高濃度の放射線を浴びるとがんになる恐れがあり、7000ミリシーベルトを浴びれば死に至ります。p90「同上」
6)1ミリシーベルトは1マイクロシーベルトの1000倍。日常生活では単位が大きすぎるのでマイクロを使用することが多い。p90「同上」
7)原発から90キロ圏内の私の生活空間は、ガイガーカウンターで検査してみると、平均0.1マイクロシーベルトだから、一日で2.4マイクロシーベルト。
8)この空間に一年間生活したとして浴びるのは876マイクロシーベルトだから、おおよそ1ミリシーベルトとなる。
9)胃のX線検診 0.6ミリ―シーベルト
胸のX線検診 0.05ミリシーベルト p90「同上」
10)ということは、胃の検診を年に2回、胸の検診なら20回の分を、ここに生活しているだけで浴びる、ということになる。半減期や、その濃度の上下もあるだろうから一言では言えないが、このような数値に留意しなければならない時代になったということだ。
11)体重の増減や、血圧の変化を数値化して見続けるのもメンドウなのに、また、あらたなるチェックポイントが増えてしまった、ということになる。
12)国際放射線防護委員会(ICRP)の防護基準とはなに?
万が一事故などにより大量の放射性物質がもれる事態が起こった場合には、緊急被爆状況として「重大な身体的傷害を防ぐ」ことに主眼をおき、一般人の場合で年間に20~100ミリシーベルトの間に放射線量を定めています。p91「同上」
13)つまり、ガイガーカウンターが2.0マイクロシーベルトを超えるようなことがあれば要注意、ということだろう。そこに1年間暮らすようであれば危ない、ということになる。
14)放射線と放射能はどう違う?
放射線とはエックス線やガンマ線、中性子線などの粒子線のこと、放射能とは放射線を出す能力を言います。
懐中電灯に例えると、懐中電灯は光を出す発光能力をもったものであり、懐中電灯は放射性物質、光は放射線、発光能力が放射能となります。放射能は時間とともに減少します。p91「同上」
15)この辺が一般人の私などが、よく理解できないでいる部分。つまり、空中に漂っているのは普通なら光(放射線)なのだが、今回の事故によって、空中に懐中電灯(放射性物質)が沢山放り投げられた、ということになるのだろう。
16)空中を漂った懐中電灯(放射性物質)が風に飛ばされ、雨に打ち落とされて、各地に「ホットスポット」なる汚染地帯を作ってしまった、ということになるのだろう。
17)原子力発電所から放射能もれによる事故が発生した場合、避難すべきかどうかの勧告や指示は国や行政機関が行います。p73「原発事故への対応」
18)そもそも、こういう決まりになっているのであれば、やはり「国」の責任は重い。国民ひとりひとりが、勝手に判断して行動できない限り、国は、キチンと、早め早めの指示を出すべきだ。ここが多くの人が指摘する、今回の国の対応の遅さだ。
19)インターネット上のウワサなどを絶対に信じてはいけません。常にテレビやラジオ、防災無線などで正しい情報を冷静に入手しながら、その間に持ちだす荷物をまとめる等の準備をしましょう。p73「同上」
20)今回の国の対応の遅さと相まって、インターネット上の情報が大いに役だった面もある。いまのところ、なにが「正しい情報」なのかは定かではない。原発や国の公式発表が「正しい情報」だと認識している国民は少ない。だから、ネット上の情報もこまかくチェックしておく必要がある。
21)言い換えるなら、国や原発の公式発表などを絶対に信じてはいけません。常にインターネットや風聞などに留意しながら、その間に持ちだす荷物をまとめる等の準備をしましょう、ということになるか。こう茶化したくなるほど、「正しい情報」が国民に伝わるまで時間がかかっている。
22)体内に取り込まれた放射性物質はどうなる?
放射性物質を口や鼻から吸い込むことを「内部被爆」といいます。とくに人体に影響が大きいのは、ヨウ素131とストロンチウム90です。ヨウ素131は甲状腺に集まりやすく甲状腺がんになる可能性があります。ストロンチウム90は血液を作る骨髄に集まるため、白血病などになる危険があります。
セシウム 全身に行き渡る性質があり、さまざまながんを誘引する要因に
放射性物質とがん 内部被爆をして体内にがん細胞がつくられてもすぐにがんは発症しない。発症するのは約20年後の場合が多い。p93
23)まったく、こまったもんだ。
| 固定リンク
「38)森の生活」カテゴリの記事
- 地球の家を保つには エコロジーと精神革命<3> ゲーリー・スナイダー(2011.08.04)
- わが家も太陽光発電 Asahi original(2011.08.04)
- よくわかる太陽電池 斎藤勝裕(2011.08.03)
- 自然エネルギーの可能性と限界 風力・太陽光発電の実力と現実解 石川 憲二(2011.08.03)
- プルトニウム発電の恐怖 プルサ-マルの危険なウソ 小林圭二他(2011.08.03)
コメント