自宅につくる震災対処PCシステム<1> 節電・停電対策から安否確認まで
「自宅につくる震災対処PCシステム」 <1>節電・停電対策から安否確認まで
日経BPパソコンベストムック 2011/05 日経BP社 ムックその他 129p
Vol.3 No.0371 ★★★★★
1)この本は面白い。本当に役だつのかどうか、費用対効果でメリットがあるのか、自分に取って本当に必要かどうかは、よく見極めなくてはならない。しかし、今ある問題点についての解決策の糸口を提示していることに変わりはない。
2)PCサーバーを稼働させるソーラーバッテリーシステムを自作します。目的に合わせて自作すれば低予算でシステムを構築できます。p15「太陽電池とバッテリで動かす 太陽光発電パーツを選定する」
3)いくらサーバーが動いていたとしても、ファイバーであろうと無線であろうと、ネット回線がつながっていなければどうにもならない。逆に、電気と回線がつながっていれば、このシステム自体が不要ということになる。
4)しかし、こういう至近な例から、ソーラーバッテリシステムを自作することによって、電力や情報回線の確保の大切さを学ぶことは、大事なことだ。
5)バッテリーは、ディープサイクルバッテリーで115Ahのものを購入しました。このディープサイクルバッテリーの時間率容量は20時間率です。20wのサーバーなら約2日間バッテリーのみで稼働できる容量があります。p21「太陽光発電システムを組み立てる」
6)60w(実測79w)多結晶ソーラーパネルが2万2800円。ディープサイクルバッテリー115Ahが1万7640円。その他、ソーラーチャージコントローラー3500円、ラバーカーインバーター3580円。そのたパーツ代を込めると、しめて5万9350円。これが高いや安いかは、ユーザーの判断による。
7)現在の私なら、同じ5万円があるなら、ガイガーカウンターのほうが必要に思う。しかし、このようなシステムなのだ、ということを図解入りで、しかも実験済みで説明されることに、快感を感じる。
8)2011年3月に発生した東日本大震災は、放射性物質の流出という原子力事故を招いた。人体への影響が懸念される中、秋葉原では「ガイガーカウンター」が売れているという。p44「放射線量測定器『ガイガーカウンター』」
9)先日、南相馬市に住んでいた姪が子供と共に遊びに来た。彼女が購入したのは通販で3万9800円だったという。この本では3万9800円~5万9800円の6種類が紹介されている。性能は大差なさそうだが、形状に多少の違いがある。
10)近所のホームセンターで入荷のポスターが貼ってあったのは4万9800円。購入すべきかどうか思案中。計測したところ、わが家は公共発表の0.07シーベルトより高めで0.11シーベルト前後。誤差20~30%ということだから、今すぐ危険、というほどの高い数値は見られていない。しかしホットスポットの問題もある。小まめにチェックする必要があるだろう。
11)停電時でもパソコンを使いたい場合があります。しかし停電時には、ブロードバンドルーターの電源がないためにインターネット接続ができません。この場合、Andoroidスマートフォンを介してネットに接続できます。p52「ANdoroidでテザリング通信 USB接続で古い機種でも利用可能」
12)テザリングは比較的新しい流行だが、ケータイ(スマートフォン)とモバイルWi-Fiなどの合体と考えれば、今後の大きなトレンドになる可能性は十分ある。私としても、次のケータイ(スマートフォン)の買い替えは、間違いなくテザリング機能を重視する。
13)ただ、現在のところ、通信料金がまだまだ高い。本当に必要なのかどうか。テザリングを活用することによって、他の回線をカットできるのかどうかなど、周辺環境とのにらみ合いが続く。
14)外出中に震災が発生すると、自宅の中がどういった状況になっているのか気になることでしょう。けれども、震災直後は交通機関が混乱して簡単には帰宅できません。そこで役だつのが、部屋の様子をインターネット経由でライブ中継できる「監視システム」です。p79「外出先から自宅の被害状況を把握」
15)このアイディアもいまいちこなれていない。そもそも、マグニチュード8.0において、家の中はめちゃくちゃ、カメラやコードはぶった切られる可能性が高い。津波で流出した場合には、何の役にも立たない。もし、この監視システムが稼働しているとすれば、被害などは大したことない、という逆証明になってしまう。
16)ただ、震災時に限らなければ、この監視システムは普段から効果的な使い方ができるかもしれない。また、どうしても監視しなければならない場所などでは役だつだろう。それも、回線がつながっていれば、という限定つきであるが。
17)その他、衛星電話や災害情報発信サイトなど、この本には、いろいろ興味深いアイディアが満載されている。なるほどとは思うが、実際に、今回の震災で役だっているのは、ごく一部だろう。今後もこれらのシステムがおおいに普及するとは考えにくい。
18)しかし、それでも、こういう可能性があるのだ、ということがわかる。これらのシステムが、一部のマニアだったとしても稼働させていれば、一命を取り留めたり、地域の助けになる、ということは有り得るだろう。工作心をくすぐる一冊である。
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