鉄は魔法つかい 命と地球をはぐくむ「鉄」 畠山重篤/著
「鉄は魔法つかい」 命と地球をはぐくむ「鉄」
畠山重篤/著 スギヤマカナヨ/絵 2011/06 小学館 児童書 232p
Vol.3 No.0355★★★★☆
1)「森は海の恋人」著者の最新の消息。震災前にほとんどの校正が終わっていたが、出版されたのは震災後。
2)2月末、本書の原稿を書きあげ、出版の日どりも決まって、ほっとしていた3月11日、三陸沿岸は大津波に襲われてしまいました。三陸だけではありません。この400年間大きな津波被害のなかった、福島から仙台湾にかけての平坦な海岸線も襲われたのです。(中略)
海面から10数メートルを超す濁流に蹂躙された海から、生きものの姿が消えていました。60年も続けてきた、養殖業もこれで終わりかと思うと、絶望感だけが漂っていました。
1ヶ月ほどして、すこしづつ水が澄んできました。なにか動いています。目を近づけると、ハゼのような小魚です。日を追うごとに、その数がふえてきています。
大津波によて海が壊れたわけではないのです。生きものを育む海はそのままなのです。森・川・海のつながりがしっかりしていて、鉄が供給されれば、カキの養殖は再開できる。そう思ったとき、勇気が湧いてきました。p3「東北再生への希望」
2)図書館をあてにした読書ブログは、どうしても情報としては遅くなる。今回の大震災の被害についても、リアルタイムにはおっかけ切れない。もうすでに震災から4ヵ月が経過した。沿岸部の人々はどうしているだろう。そういう心配の中で、この本は出版された。
3)3月11日、東北地方太平洋沖地震が起きました。支社行方不明者あわsてえ27759人(4月19日現在)という大惨事です。地震の直接的被害だけではありません。原子力発電所の被害による放射能の拡散という深刻な問題まで発生してしまったのです。
三陸沿岸を襲った大津波により、河口に位置していた施設が被害を受け、母は帰らぬ人となってしまいました。父が創業したカキ養殖場も、全部流されてしまいました。
呆然と、海を見つめる毎日でしたが、
「鉄の魔法で、海を元気にしらんや」
という母の声をききました。
その声に押され、第一歩をふみだしたところです。
2011年4月 畠山重篤 p221「あとがき」
4)本書は「森は海の恋人」の中のキーワードである、森、川、海を繋ぐ、「鉄」が主テーマとなっている。今後、気仙沼湾の牡蠣養殖は、どのような再生の道筋をたどることになるのか、心をこめて、見守りたい。
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