原発・大震災サバイバルブック 週刊朝日臨時増刊
「原発・大震災サバイバルブック 」
週刊朝日臨時増刊 2011/5/25 朝日新聞 不定期刊 p143
Vol.3 No.0368 ★★★★☆
1)5月25日号ということだが、発売されたのは5月13日。おおよそ震災後2カ月の緊急出版。「完全保存版」の文字が躍る。臨時増刊号だが、平綴じで、写真やイラストも多い。
2)本当に「完全保存」するかどうかはともかく、当時の一般的な認識を判断するうえでは参考になる。
3)もっとも、被災地においては、図書館、書店、コンビニが壊滅していたため、被災地でこの本を読んだ人はごくごく少ないだろう。
4)ただ、マスメディアは、こういう企画をしなければいけないのだろうから、まあ、しょうがない。
5)ツイッターは被災地でも威力を発揮したようだ。仙台市に住む男性会社員(30代)も地震発生直後、会社の同僚との連絡に使ったようだ。p74「通信回線がつながりにくい場合はどうやって連絡をとればいいのか」
6)被災直後より前、まずは普段からの心構えが必要だ。ざっと考えてみると、わが家の防災準備は、まずまずの60点ラインは行っていたのではないだろうか。災害ダイヤル171も申し合わせていたし、地震直後に、ほんの一言だがケータイで連絡もとった。メールでの最小限の家族連絡もできた。
7)しかし、その後の連絡は、困難を極めた。それは回線の状態と電池(バッテリー)の状態による。携帯ラジオ、ワンセグも役だった。隣の家の屋根に乗っている太陽発電システムも役だった。
8)自宅を建築したのも、阪神淡路大震災後の翌年だったので、耐震には特に気を使った。最小限のコアな部分においては、わが家はサバイバルできた、と言える。ただ、それは運が良かった面が大きい。
7)沿岸部に行くこともあるし、家族がバラバラに存在している時もある。都市部の混乱に巻き込まれることだって予想されうる。今回はその規模の割合においては、まずまずの結果だったが、いつ何時、今回、多くの被災した人々と同じ立場なるのか、分かったものではない。
8)ツイッターは確かに役だった。震災前からスマートフォンを3台用意し、家族と連絡網を作り始めていたこともラッキーだった。安否を心配してくれる友人が多数あったので、いちいち報告するより、ツイッターで同報通信できることもメリットあった。
9)約一カ月間は、ツイッターの威力を大いに活用させてもらった。情報源は多いほどいい。
10)被災地では地元のFMラジオ局の情報が、非常に役に立つ。p78「災害時にラジオは役に立ったのか」
11)携帯ラジオ、ワンセグ(テレビ)、災害FM、まずはこの辺の活用が基本。メールやケータイ、ネットなどのインフラは、個人ではどうにもならないほど使い物にならなかった。
12)しかし次第に復活した。時間が経過して見れば、まずまず、なんとか復帰したということになる。
13)我が家では、一番あってよかったと思うのは、石油ストーブ。普段はファンヒーターを使っているのだが、一台だけ石油ストーブを残しておいた。暖房、調理、夜間の明かりとして、大いに役だった。灯油はポリ缶での保存だったが、節約して使ったので、まずは間にあった。
14)あればよかったと思うのは、やはり太陽発電(プラス蓄電池)と、予備のガソリン。でも、これだって、節約して使えば、準備していたものでなんとか切り抜けることができた。
15)仙台市の災害対策本部によると、市内に設けられた避難所には普段から水や食料は備蓄されているという。p84「自治体指定の避難所は本当に安全なのか」
16)わが家でも、一晩避難所にお世話になった。しかし翌日は我が家に帰った。状況にもよるが、とにかく自立自活へ早期に復活できることが基本であろう。この避難所の開設においては、学校や地域町内会や行政の、それぞれの思いから、必ずしも意思疎通がうまく行く場合だけじゃない、ということも体験した。
17)家庭でつくった電力が余ったときには電力会社が電力を買い取る制度が2009年11月から始まった(1キロワット=42円)ことや、国などの補助があって導入は急激に伸びている。p132「太陽光発電を導入して損しないのか」
18)太陽光発電システムの普及は遅すぎる。これはあきらかに電力行政が間違っている。東電事故や地球温暖化の面から考えても、もっともっと早く着手すべきであった。
19)水道水をくんで置いておけば、放射線の影響は減らせるのか。「水道水をくみ置きすると、本来、雑菌の繁殖を抑えるために入っている塩素が抜けてしまう。そのため、おなかを壊すといった別の健康被害の可能性が出てきます」(厚労省水道課)p38「放射能に汚染された水道水はどう飲んだらいいのか」
20)我が家では水道は止まらなかったので、その分はとても助かった。特にトイレが問題なく使えたのがよかった。キャンプ用の水タンクや、ペットボトル類の水類も最小限ではあったが備蓄しておいて助かった。非常時の為に、震災後、風呂桶を食器並みに消毒して水を満タンにして備蓄したが、それを使うことはなかった。
21)安価なものなら2万円台から見つかるが、果たしてポータブル放射線計測機はどの程度信頼できるのか。p40「市販の放射線計測器は本当に信用できるのか」
22)計測してみると、我が家は0.11シーベルト前後。高すぎるということはなさそうだが、行政が発表している平均値よりは高い。今後の変化も気になる。近くのホームセンターでは、5万弱でガイガーカウンターを売っている。こんなものを個人で買わなければならないなんて、なんて不幸なことだろう、と思う。
23)ネットで検索してみると、家庭にある部品で、割と簡単にガイガーカウンターが自作できるらしい。ただしい数値は出ないが、放射性物質とはどういうものなのか、という認識度は高まるだろう。一回自作してみたい。
24)約7%から約23%へと加入者が増えていた「地震保険」の支払額もかつてないほど巨額なものとなりそうだ。p106「地震保険、建物共済は、本当に頼りになるのか」
25)地震保険については損保TM社の「超保険」が最強であろう。2000万の建物なら2000万まで補償を受けることができる。代理店の規模にもよるが、気仙沼の損保代理店などでは、一代理店で20億円ほどの支払いをしている。内陸部でも、この程度の支払いをしている代理店も多い。
26)この本、震災直後の混乱がありありと感じられるが、多くの要素があるこの3.11サバイバルを多角的にチェックするには役に立つ。
27)自戒を込めて、今後、一番大切なことは何か、と考えてみる。実際にはどのような境遇になるかわからない。まず一番大事なことは、どんなダメージを受けようと、まずは普段から「死」を含めて、どんなことであっても、天が与えることは全て受入れる覚悟をしておくことだろう。
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