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2011/07/10

漁師さんの森づくり 森は海の恋人 畠山重篤/杉山佳奈代

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「漁師さんの森づくり」 森は海の恋人
畠山重篤/杉山佳奈代 2000/11 講談社 単行本 173p
Vol.3 No.0353 ★★★★★

1)「森は海の恋人」の続編。著者の洒脱な文章と、杉山佳奈代のイラストが素晴らしい。前編イラスト付き、文章にはすべてルビがふってある。小学校中学年でも十分理解できる。しかし、書かれている内容は高等だ。こういう本を読んで、漁師さんにすぐなることはできないまでも、研究者などになることはできるかもしれない。おさかなクンなんかも、こういう本で育ったのかなぁ、と思ったりする。

2)カキの養殖は、海にいかだをうかべますから、津波がくるとひとたまりもありません。長いロープにぶらさがっているカキはグルグルまきになってしまい、こすれておちてしまいます。いかだもどこに流れていくのか、止めようもありません。津波は養殖業者の強敵なのです。

 昭和35年(1960)、三陸地方はチリ地震津波におそわれました。はるか太平洋をはさんだ南米のチリで起こった地震によって、巨大な津波が発生したのです。p69「チリ地震津波」

3)昨夜、とある会合で、南三陸町の中学校のA校長先生のお話を聞いた。沿岸部で商店を営んでいた老いた両親をランクルで救いだし、渋滞した道路の、反対車線を走り抜いて、辛うじて助かった人である。天皇皇后ご夫妻が慰問に訪れた時には、説明役をした人でもある。(この時、聞いた話は、また別な機会にまとめてメモすることにする)。

4)この校長先生は、小学校2年の時にチリ津波地震も体験している、ということで、シロートで大変失礼だとは思ったが、チリ地震津波と今回の津波は、例えて言えば、どのくらいの大きさでしたか、と聞いてみた。
 彼がいうには、「5倍」ということだった。
 チリ地震津波は高さ5メートル。今回は25メートルだった。だが、高さは五倍だが、縦横高さが5倍だから、5×5×5=125で、125倍くらいの威力だった、と表現されておられた。

5)今後の「森は海の恋人」運動はどうなってしまうのだろう。

6)昭和40年代から農業は、科学肥料、農薬、除草剤の時代に入っていたのです。
 わたしは、アメリカのレイチェル=カーソンという人が「沈黙の春」という本を書いたことを思い出していました。
p88

7)体験学習に来る子供達からお礼の手紙がくるという。

8)感想文には
「わたしたちは、体験学習のいったつぎの日から、朝シャンで使うシャンプーの量を半分にしました。お母さんと台所やおふろ、洗たくなどで使う洗剤の量を注意しようと、話し合いました。お父さんには、農薬、除草剤の量をすこし減らしてもらうようにおねがいしました。」
と書かれてありました。
p132

9)上に書いたA校長先生に、「復興と言っても、何を意味するかわかりませんが、とりあえず皆が平和に暮らすには何年かかりますか?」とぶしつけな質問をした。
 先生は、「5年はかかるでしょう」といい、「10年はかかるでしょう」と言いなおし、「20年はかかるだろうな」と言いなおした。彼は、これから「エコタウンとして再生していくプロジェクトに関心がある」と言っていた。

10)森は海の恋人。そして、海は森の恋人なのだ。これから、沿岸部の静かな生命力の回復を祈りたい。

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