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2011/07/31

福島原発人災記 安全神話を騙った人々 川村湊

【送料無料】福島原発人災記
「福島原発人災記」安全神話を騙った人々
川村湊 2011/04 現代書館 単行本 220p
Vol.3 No.0377 ★★★★★

1)必ずしも原発の専門家でも、サイエンスライターでもない著者が、3.11以降、自らの蔵書が書庫の崩壊ということで読めなくなったことを機会に、ネット上で情報を集めて日記風にまとめたもの。

2)3月11日から始まり、3月25日まで綴られている。約二週間だが、激動の二週間だったといえる。出版されたのは4月。実にあわただしい仕事であっただろう。いずこが正しく、いずこが拙速だったかは、パラパラ読みには分からない。

3)しかし、地震や津波、原発事故に対して、ひとりの人間として立ち向かうことはなかなかむずかしく、無力感が漂うが、少なくも、ネットを使って、個人でも、この程度の情報が集められるのだ、という実によい見本だと思う。

4)インターネットの情報(ウワサ)など、絶対信じてはいけません、なんて論調もあるが、これだけ信憑性のある本に仕上がったのは、著者のセンスによるところもあり、また、著者自身が恥じているがコピペに近い、原典の多用によるところが大きい。

5)日本の支配層は、なぜ、それほどまでに原子力政策(原発政策)を推し進めようとするのだろうか。いったい、いつ、誰が、戦後の日本社会において「原子力」を持ち出したのだろうか。広瀬隆はずばり2人の人間の名前をあげている。正力松太郎と中曽根康弘である。

 この読売新聞社の社長で第3次鳩山内閣で科学技術庁長官を務めた男と、第71~73代総理大臣を務めた男の2人が、日本の原子力国策を生み出した張本人といわれるのである(すなわち、いわゆる日本の原子力の”父”だ)。p163「2011年3月23日」

6)こまかいところをほっくり返すのは当ブログの得意とするところではないが、身に降る「放射性物質」は払わにゃらならぬ。これほどまでに身に迫る危険が押し寄せているかぎり、この原子力行政とやらをもうすこし追求していかなければならない。

7)著者はよくやったと思う。一人でネット情報を組みあげるだけで、これだけの世界が浮きあがってくるのだ。3月26日以降も彼の日記を読んでみたくなるところだが、それは国民(ネット市民)ひとりひとりが、自分でできる範囲のことだろう。

8)当ブログは、そういいつつも、いまだにネット情報を第一義としては考えていない。公立図書館の一般開架棚にあるような本が、一番、コモンセンスとして馴染んでくると思っている。だから、ネットサーフィンして自らの思想体系を作り上げようとは思わないし、できない。

9)書籍に寄る限り、一歩も二歩も遅れてしまうのだが、それでも、再読可能であり、一般に流布している印刷物を底本としておくことで、自らの堅固性が保たれるのではないか、という期待を持っている。

10)この期に及んでも、電力会社というスポンサーや、経済産業省、文部科学省、内閣府といった行政の威光が怖いのだろうか。今回の原発震災は、東電だけに責任があるのではない。電気事業連合会に所属する電力会社全体に共同責任(共犯関係!)があるのだ。その落とし前は、彼ら全員にとってもらわなければならないのである。p213「2011年3月25日」

11)当ブログもそう思う。

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