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2011/07/05

コヨーテ老人とともに アメリカインディアンの旅物語 ジェイム・デ アングロ / 山尾 三省

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「コヨーテ老人とともに」アメリカインディアンの旅物語 (世界傑作童話シリーズ)
ジェイム・デ アングロ (著), 山尾 三省 (翻訳) 1992/06 福音館書店 単行本 403p
Vol.3 No.0345★★★☆☆

1)1953年に英文の原著がでて、1970年頃に三省がアメリカ大使館から借りて読み、1992年になって、三省の手によって訳出された一冊。

2)三省追っかけの中で出会った本だが、これはむしろ、福音館書店の世界傑作童話シリーズの中の一冊として読むべき本であろう。

3)文中に、実在する地名としてのシャスタ山がたびたびでてくるのが、興味深い。

4)文章とともに、たくさん挟まれているジェイム・デ アングロの、線画がなんともいい。的確にしてスッキリ。この線画があったればこそのこの童話あり。

5)三省関連リストの中には、翻訳モノは4冊しかなく、他の3冊はインド関連であってみれば、「アメリカ嫌い」の三省が訳出したネイティブアメリカンの唯一の本となる。「友人」宮内勝典にエールを送る意味でも「リトル・トリ―」に触れることの多い三省だが、当ブログが現在まで感知したところ、アメリカに渡ったのはゲーリー・スナイダーとの対談の時の一回しかない。

6)このお話は作者のジェイム・デ アングロの創作ではあるが、動物や植物たちを見る目が、まさに三省が晩年に強調した「アニミズム」に通じるものがある。この本をすでに1970年頃から英文で読んで感動した三省には、もともとこのような「源郷」があったのだろう。

7)「わぁ、知ってる。自分の子どもたちをみんな死なせてしまって、シャスタ山で狩りをしているあのオソロシトカゲ、でしょ。子どもをみんな亡くしたせいで、陰気で獰猛な人になってしまったんだわ。父さんがその物語をしてくれたことがある」p147

8)「母さん、おれはシャスタ山で狩りをしてたんだ。母さんが呼んでいるのを聞いて、すぐにそのまま来たんだぜ」p153

9)そして東の方のはるかかなたに、シャスタ山が見えてきました。それは、ひとつだけ独立してそそり立った美しい山でした。非常に高く、頂は雪におおわれていました。p231

10)鹿の腱の長いひもをよじって、その一方を自分の腰おびに結び、もう一方をシャスタ山に結びつけておいて、トカゲのところへもどっていった。p320

11)なぜか気になるシャスタ山。カリフォルニアのインディアン(ネイティブ・アメリカン)について語ったということだから、シャスタ山がでてくることは当然のことなのか。

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