停電・震災に備えるPC管理術 データ/ネットワークを守る安心環境を構築せよ 橋本和則
「停電・震災に備えるPC管理術」 データ/ネットワークを守る安心環境を構築せよ
橋本和則 2011/07 技術評論社 単行本 255p
No.0412★★★★☆
1)震災後、なにはともあれ家路を急いだのは、自宅が火事になっていないか、という心配だった。一足先に帰った奥さんから「家は大丈夫だが、家の中はめっちゃくちゃ」という断片的なメールを受け取ってからは、今度はパソコンまわりが心配になった。
2)震災時は、留守だったので、パソコンまわりの電源は切断されていた。あとは、物理的な損害の確認だ。
3)実際には、一言で言って大丈夫だった。かなり机などは動いていたが、パソコンデスクの足元のキャリーが震動を吸収し、パソコンそのものに損害はなかった。
4)そもそも、私の場合は、ノートパソコン派なので、仮に在宅でパソコンを使用していたとしても、バッテリーで駆動しているので、数十分~数時間かけて作業を終了することは可能であった。
5)停電・震災時、守るべきは「データ」です。PCは買い直せば再入手できます。アプリケーションやOSも入れ直せば元に戻りますが、いくら対価を払っても再入手できないのが「データ」です。p14
6)どこまでのデータを守るか、必要とするか、が問題となるが、私の場合、公の業務データは、基本的にはクラウド環境の中で常時バックアップが取られることになっており、震災後に業務を再開することは、特に問題なかった。
7)そのためには常時オンラインで作業する必要があり、もしホスト局が震災で破壊されれば、完全にアウトである。しかし、私の業務のホスト局は、基本的にバックアップシステムが完備されている、と理解している。
8)メールなども、プロバイダにバックアップを残しており、複数のメールソフトで見ることができるので、ノートPCのみならず、スマートフォンでも見ることができる。両方ともアウトになれば、仕方がない。
9)震災時において、無事PC本体を持ちだせるとは限りません。(略)そこで活用したいのがスマートフォン/スレートPC(iPhone/iPad/Andoroidなど)です。p20
10)スマートフォンは同型機種を2台持っているが、これもまたいざという時のためのバックアップのためである。平時は8円運用なので、2台でも月に16円しかかからない。
11)震災時には、電源が失われ、固定電話環境が失われ、通信回路が失われた。電源が回復するまで4日半かかり、固定電話は1週間通じなかった。光ファイバー回線はさらに復旧まで数日の時間を要した。
12)震災後、すぐにやったことは、スマートフォンに何時もは外しているsimを入れて、正常に使えるようにしたことだ。いつもは家庭内WiFiに繋いで使っていたが、家庭内WiFiが断線してしまったので、ケータイのモバイル環境で通信を試みた。
13)震災後数日はモバイル環境も安定していなかったが、やがて安定した。余震は続いており、実際に停電もしたし、計画停電の可能性もあったので、スマートフォンのモバイルWiFi環境は、震災後3ヵ月使用した。6000円*3ヵ月=18000円は、大きな出費だったが、あとで被災地割引が適用されたし、実際の通信が確保された、という意味では、必要経費だったと割り切れる。
14)インタ―ネット回線は停電・震災の状況把握のほか、連絡や作業の続行などを考えても欠かせないものですが、そんなときに役立つのが「モバイルルーター」です。p22
15)まったくそう思う。ノートPCが普及し、オフラインソフトで業務を推進したころは、客先でのモバイル環境の構築が叫ばれたが、ノートPCの紛失によるセキュリティの低下や、業務がオンライン環境化してきて、ふたたびオフィスに戻ってきてしまっていた。
16)今後は、客先でのモバイル環境構築というだけではなく、オフィスにおいても、停電などによる固定環境が失われた時には、バックアップ体制としてのモバイル環境を構築しておくことは絶対条件となるだろう。
17)停電時には当たり前ですが「屋内コンセント」が使えません。そんな場合に活躍するのが「USB出力付きポータブルバッテリー」です。USB出力により、モバイルルーター、スマートフォン、携帯電話などの充電に活用できます。p63
18)この商品は数千円と安価なので、一つは欲しいところだが、実際に利用価値があるかどうかは不明。常に充電しておく必要があるし、数日間~以上の停電が続いた場合、1~2回の充電でフル放電してしまうようでは、本当の意味で役立たない。
19)私の場合は、ベーシックハイブリット車から100Vの電源を取りだすシステムを構築したので、車が失われない限り、こちらのほうが便利で安心。例えば、パソコン本体の充電もできるし、プリンターなども使えるはず。ただし、家庭内LAN環境が失われてしまうので、ダイレクトに繋いでの印刷、ということになるだろう。
20)停電時であっても確実に作業したいという場合には、蓄電に頼らず電源出力ができる「発電機」を導入するのがよいでしょう。p75
21)HONDAのエネポはカセットコンロ用のボンベで発電できるようだ。これはお手軽だし、カセットボンベなら取扱も簡単だが、本体が10万もするので、はて、非常時のためのバックアップとしてこれを揃えるのは、私の場合は現実的ではない。
22)その他、この本には、それぞれの環境に合わせて役に立ちそうなアイディアがいっぱい詰まっている。停電・震災時には、まずは命を守るのが先決だが、その次にPC廻りが気になる、という人ならば、この本のなかから、いくつも名案を見つけることができるだろう。
| 固定リンク
「37)3.11天地人」カテゴリの記事
- 東日本大震災全記録 被災地からの報告 河北新報出版センター(2011.10.07)
- 反欲望の時代へ 大震災の惨禍を越えて 山折哲雄/赤坂憲雄(2011.10.07)
- 3・11その日を忘れない。―歴史上の大津波、未来への道しるべ<2> 飯沼勇義(2011.10.06)
- 方丈記 鴨長明 現代語訳付き <2>(2011.10.05)
- 「スマート日本」宣言 経済復興のためのエネルギー政策 村上憲郎/福井エドワード(2011.10.04)
コメント