よくわかる太陽電池 斎藤勝裕
「よくわかる太陽電池」 入門ビジュアルテクノロジ-
斎藤勝裕 2009/02 日本実業出版社 単行本 174p
Vol.3 No.0383★★☆☆☆
1)よくわかる、といわれながら、よくわからない。この本、つまりは、よくわかるシリーズの中に加えられた一冊で、よくわかりにくいものを「よくわかるシリーズ」として刊行しているらしい。
2)たしかに二色刷りのイラストを多用し、ホントに分かろうとすれば、分かるようにできているのだろうが、原発のそのシステムに似て、もう、最初から分かろうというモチベーションが湧かない(スミマセン)。
3)しかし、例えば車であるとか、パソコンであったりしても、同じことなのではないだろうか。エンドユーザーたる私たちは、その仕組みはほとんど解明しようがない、というのが本当のところだろう。
4)昔のゲルマニウムラジオや真空管アンプなどであるなら、すこしケのある人なら、すぐ自作したくなっただろう。自作することによって、部品の特性が分かり、途中で失敗しながら、結局は全体を理解し、すこし自分なりに改良を加えたりして、お気に入りの一品を作り上げたはずである。
5)しかし、っ現在のパソコンも自作とはいうものの、10個くらいのパーツを汲みあげるだけのブロック工作になっており、ひとつひとつの整合性を縦横気にしながら組み立てれば使えるようなもので、決して、その仕組みを完全に理解したわけでもなく、自分でよくわかったわけでもないはずだ。
6)車に至っては、現在において自作する人などいないだろう。自作しても公道を走れるようにな代物を作ることは、ほぼ不可能だ。
7)したがって、この本のように、太陽電池について「よくわかる」ようにならなかったとしても、あえて自己嫌悪に陥らないことにする。要は、車やパソコンと同じように、その商品やシステムを自分なりに把握して、自分の生活に組み込めればそれでいいのだ。
8)と、そこまで割り切ってしまうと、この本はほとんど読むところがない。なるほど~、技術革新されているのね~、程度で終わってしまう。
9)この本では太陽電池、という言葉が使われているが、当ブログでは太陽光発電、という言葉を採用する。意味はほとんど同じなのであろうが、「電池」というと乾電池を思い出し、さも蓄電池とセットになっているイメージがある。
10)現在の太陽光発電の欠点は、蓄電が出来ず、また余った電力をコントロールできない、というところだ。
11)わが家が真剣に太陽光発電を検討したのは、今から15年前、阪神淡路大震災の翌年であった。古い旧宅と取り壊して改築することになり、マイホームの設計にとりかかった。震災の直後であったので、住宅メーカーも耐震構造を常に気にしていたし、私たちも見栄えよりも中味を真剣に考えた。
12)構造的には、ほとんど満足できるものであった。今回のマグニチュード9の巨大地震においても、地盤や地域による違いもあったのだろうが、ほとんど被害はなかった。正確に言えばあったのだが、近隣の似たようような住宅に比べると被害は確かにすくなかった。
13)あの当時、太陽光発電を真剣に考えた。安い物ではなかったが、住宅ローンの一部に組み込んでしまえば、なんとかその負担は圧縮できたはずだ。
14)当時は、たしかシャープあたりが技術的に世界一で、システム的には300万円くらいした(今とあまり変わらない)。すでに当時でも補助金制度があって、申し込めば100万円くらい補助されたはず。差額200万円。
15)40前後の、働き盛りとは言え、二人の育ちざかりの子供たちを抱えながら、借金額を200万円増やすのは、なかなか考えものであった。考えてみれば乗用車が一台増えたようなものだし、耐用年数は20年とも30年とも言われたわけだから、まったく採用できない、というものでもなかった。
16)しかし、熟慮の末、結局、太陽光発電にしなかったのは、当時はまだまだ現実味が薄かったからである。
17)まず、一般の電力は導入しなければならなかった。そしてさらに、太陽光パネルを屋根に乗せたとしても、その電力のメーターなどは別途設置しなければならなかった。そして、自宅内の回線であろうと、太陽光で発電してものは、別の配線を使って使用せよ、というものだった。余った電力を電力会社で買い取るなんてシステムは夢のような話だった。
18)仮に太陽光発電で100%が賄えたと仮定しよう。わが家の平均電力使用量は、家族の増減や季節で安定しないが、ほぼ一万数千円というところ。あれから15年が経過したわけだから、12カ月*15年*1万数千円≒200万円、ということになり、見事減価償却はした、ということになる。
19)しかし、現実には、太陽パネルだけでは電力は賄えなかったわけだし、この15年間で停電したのは、今回の3.11を含めてわずかに2回。このために別電力システムを予備として作っておく、というのは、個人の一般家庭ではあまりにもムダであったということになる。
20)しかしながら、5~6年前から、余った電力を電力会社が買い取ってくれるシステムができ、夜間の為に蓄電するシステムもできつつあるように聞く今日、もう一度、真剣に自分のライフスタイルに組み込めるかどうか考える時期が来ているように思う。
21)今回、3.11の大震災で、わが家も4日半の停電に見舞われた。電気が来なけりゃ来ないで、なんとかサバイバルしていくしかないのだが、その間、4年ほど前に太陽光発電を始めた隣の家に助けられた。
22)隣家では、停電していても、テレビを見、ご飯を炊き、シャワーを浴びていた。私は、ケータイに充電してもらったくらいではあるのだが、あの4日半、隣家がうらやましかったのは確かだ。
23)引き続き、太陽光発電をフォローしてみよう。
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