大津波襲来 石巻地方の記録 特別報道写真集 石巻かほく
「大津波襲来」 石巻地方の記録 特別報道写真集
三陸河北新報社(石巻かほく) 2011/05 A4 p92
Vol.3 No.0420★★★★☆
1)そもそも、地震直後には、外にでることもなかったし、ガソリン不足で遠出することもできなかった。書店も図書館も壊滅していたので、このような写真集を目にすることはすくなかった。また見る気にもなれなかった。
2)この写真集は、通常のマスメディアによる好奇心あふれるカメラマンたちによってできているわけではない。地元新聞の、さらに子会社による、地域密着による小部数発行の地域新聞社による記録である。
3)自ら愛するこの地方の発展繁栄を支援してきたはずの、地元ジャーナリストたちによるこの記録には、深いため息が込められている。愛する地元の、この惨状を見詰めることは、外にいる人間には計り知れないものだろう。直視したくない事実。しかしまた、直視しなければ、そこから前には進めない。
4)こういう形で愛する地方の「記録」を遺さなければならなかった当事者の方々の胸のうちをお察しします。
5)当ブログでは、3.11を「天地人」の三要素で見ることにしている。
6)「3.11天の巻」は、地震と津波、に集約される。だが、地震と、津波は、一連なりのものではない。地震は、常に、地球上、どこでも発生し得る。そして、直前まで、ほとんど予測がつかない。それに比して、津波は、沿岸部から数キロメートルという範囲に限られている。地震があって、それからわずかではあるが、タイムラグがある。そして、曖昧なものとは言え、周期性が認められている。
7)津波の被害は甚大だが、実は、その被害は、場合によっては拡大し、場合によっては縮小し得る、という性格を持っている。3.11という巨大災害の中に閉じ込めてしまわないで、ここは地震と津波をしっかり別物として区分けして、今後、じっくり考えていきたい、と思う。
8)当ブログにおける「3.11地の巻」は、原発と放射線、の問題としている。原発は、国家なり大資本なりの巨大権力が動かしている限り、一般人にはいかんともしがたいブラックスボックスである。うかがい知れない闇の中にあると言ってもいい。
9)それに比して、放射線問題は、とにかく一般市民といえど、身に降る死の灰は払わにゃならない。とにかく逃げまどいつつも、どこまで逃げるのか、どう逃げるのか、逃げずに済むにはどうすればいいか、を考えなくてはいけない。サバイバルしなければならないのである。
10)原発の是非はともかくとして、3.11以降、現代人として日本列島で生かされていくには、放射線と同居していくしかなくなったのである。東電原発から80キロ圏内にいて、さて、私はどのような生活スタイルをつくって行けばいいのか。作っていけるのか。どこまでが活動領域なのか。友人、知人、親戚、身内は、一体、どの辺あたりで暮らせばいいのか。とにかく、その辺を見極めなくてはならない。
11)当ブログにおける「3.11人の巻」は、まだ、しっかりとまとまってはいない。あまりにスピリチュアリティに偏った抽象性の高いものであっても意味ないし、数が多くなってもまとまらない。現在のところは、二つに絞るとすれば、「太陽光発電」と「エコシティ」ということになろうか。
12)持続可能な代替エネルギーとしては、原発に代わるものとしては、たくさんのことが言われているが、一個人として考えてみた場合、なんとか実用に成り得るものとしては、太陽光発電が、もっとも至近距離にあるだろう、と思える。エネルギー問題を、他人任せにして、ないものねだりをしながら、人の悪口をつぶやき続けることもできる。しかし、それでは何もはじまらないし、あまり充実感が湧いてこない。
13)象徴的な意味においても、人としてこの地球上に生きる上では、太陽光発電は、極めてシンボリックな存在に成り得ると思う。ひとりひとりが実際に具体的に、何に取り組めばいいのか。そこのところのメルクマールとなるだろう。
14)3.11直前においての、当ブログのテーマは、エコビレッジだった。規模としては、極めて小さなものだが、個人や少人数のグループが取り組めるものとしては、エコビレッジという名称が最も適していた。しかし、3.11後においては、ビレッジ単位をはるかに超える形で、地域を造り変える必要がでてきた。どう変えるのか。そこに、大きなビジョンが示されなければならない。
15)エコシティ、とは、今まだ出来上がったコンセプトではない。しかし、これからの地球と人類の未来を見据えた形で、人間たちが生きていく暮らしをしっかりと作っていかなければならない。ひとりひとりのエコライフは、エコビレッジからエコシティへと拡大し、さらには、地球全体のエコロジカルなシンフォニーに溶け込こませていく必要があるのだ。
16)地震、津波、原発、放射線、太陽光発電、エコシティ。この6つのキーワードで、まずは、この3.11以後を見詰めていきたい、と思っている。。
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