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2011/08/04

「原子力事故」自衛マニュアル緊急改訂版 ”その時”すべきこと、絶対してはいけないこと 桜井淳

【送料無料】「原子力事故」自衛マニュアル緊急改訂版
「『原子力事故』自衛マニュアル」 緊急改訂版 その時”すべきこと、絶対してはいけないこと
事故・災害と生活を考える会(著)/桜井淳(監修) 2011/04 青春出版社 新書 171p
Vol.3 No.0384★★★★☆

1)この本3.11直後の4月に発行されたものだが、1999/12に発行されていたものを加筆修正したものであり、脱稿したのは3月24日あたりと思われる。したがって、今回の東電原発事故をレベル5のままにしているなど、十分に今回の事故状況が反映されていない。場合によっては、恣意的に読み換えなければならない部分も多い。

2)財団法人日本科学技術振興財団を通じて「はかるくん」という小型のサーベイメータを無料で貸与してくれます。p85「放射線が出ているかどうか見分ける方法は? 専用の測定器が必要だが、貸し出しをしているところも」

3)簡易放射線測定器「はかるくん」はネットですぐ見つかった。ただし、現在は、学校関係など団体のみ申し込めるようだ。

4) 
1)胎児への影響は、子どもと同じかそれ以上
2)妊婦に対しては、子どもと同じ扱いをする。
 p109「母親が被爆すると、胎児にも影響がでるのか 子どもと同様、妊婦も厳重に防御が必要」

5)この本に書いてあることは、3.11以降すでに五か月近く経過しようとしており、アトランダムな形ではあるが、すでに一般の常識になりつつあることが多い。あるいは、こんなトンデモナイことが、常識になってしまった3.11ショックの罪は大きい。

6)
1)すぐに全身を水と石けんで洗う。
2)傷口があれば、特にていねいに洗
 p114「汚染地帯を移動した後は、まず何をすべきか すみやかに身体を洗う」

7)考えてみれば、この科学の粋を究めた技術に対する防衛策は、きわめて原初的な対処しかないことが悲しい。

8)
1)ヨード剤は、放射能を浴びた直後に飲む
2)ヨード剤は、40歳未満の被爆者が対象 
p123「ヨード剤はどういうタイミングで飲めばいいのか 被爆直後に飲むのがポイント」

9)今回、このようなヨード剤は一般住民に適用されたのだろうか。放射性物質の放出さえ秘密裏に行われてしまったのだが、ヨード剤を飲んだりするタイミングは完全に失われてしまったのではなかったか。

10)大陸と日本は近いイメージがありますが、それでも相当の距離があります。たとえば韓国の霊光原発から福岡までは200キロもあります。あるいは広島までは、300キロです。
 これだけ距離があると、放射性物質がかなり大量に放出されたとしても、時間がかかり、拡散して薄くなります。
p167「もし、すぐ近くの国で大事故が起きたら、日本はどうなるか 一刻を争うような大きな影響はない」

11)この本は、「脱原発」と行った看板を大きく振りかざしている本ではない。したがって、すでに常識になりつつある3.11後の惨状についてさえ認識不足のところが多い。少なくとも、200キロや300キロでも、放射性物質は飛ぶ。そして「拡散」するから恐ろしい。「一刻も争うような」情報開示が必要だったのだ。農産物や牛肉、主食たる米の被害状況など、もっともっと早く当事者はその危険性を指摘すべきだった。

12)韓国の原発が事故を起こした時のことを想定している場合だろうか。日本の事故がすでに隣国に迷惑をかけつつあるのである。今回は、他国を含め、人々の心情をこそ優先して、どんどん情報開示すべきである。

13)福島第一原発事故では、原賠法の規定で、政府が東京電力に賠償措置額1200億円を上限に保険金を支払うことになります。それを超えた金額は、一義的には東京電力が負担することになっています。(中略)
 今回の事故は、住民や企業への損害賠償、原発の廃炉などの費用が数兆円規模になると見られています。
p169「原子力事故が起きたとき、国民への補償制度はあるのか 1200億円が限度。それ以上は・・・・」

14)この賠償法は、今回国会と通過してより現実的に改められたようだが、現在の被害状況をみていると、数兆円などという規模ではどうも終わりそうにない。政府が払おうと、東電が払おうと、結局は、国民がひとりひとりツケを回されて払うことになるのである。やっぱり、原発はだめだなぁ。

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