« プロが教える太陽電池のすべてがわかる本 最新の太陽電池技術を基礎から学んでみよう! 太和田善久 | トップページ | 放射線・放射能がよくわかる本 多田順一郎 »

2011/08/21

基本を知る放射能と放射線 藤高和信

【送料無料】基本を知る放射能と放射線
「基本を知る放射能と放射線」
藤高和信 2011/07 誠文堂新光社 単行本 143p
No.0414★★★★☆

1)3.11以降、この手の本はたくさんでているに違いない。当ブログでも何冊か手にとってみたが、大体似たような内容で、分かる所は分かるが、分からないところは、いつまで経っても分からない、というのが本音。

2)この本は「JAXA宇宙放射線被曝管理分科会委員」という肩書を持つ人の本であるだけに、推進派とも脱原発派ともとれない、ニュートラルな表現が続く。

3)ただ、本体としては、見開きページで、横書き左半分が文章で語られ、右半分が図解やイラストとなっており、前ページ、オレンジと黒の二色刷りなので、とっつきやすく、読み切りやすい。どうかしたら、小学生だって読めてしまう。

4)1986年4月26日のソビエト連邦(現ウクライナ)のチェルノブイリ事故は原子炉暴走型の爆発で、その規模は広島型原爆の600倍程度でした。実験する予定だったレベルで実験できず、低いレベルで実験を行ったのが原因とされてます。

 事故処理者は合計で80万人、移住させられた者は40万人という説もあります。また多くの者がガンと白血病に苦しんでいるといいます。死者数はまだはっきりしません。

 この事故は福島第一原子力発電所の事故と同じレベル7です。現在も、原発から北東に向かって約350kmの範囲内でにはホットスポットとよばれる放射能高濃度汚染地域が点在し、農業や畜産が全面的に禁止されています。

 世界中の眼を向けさせた大事故でしたが、これらから教訓を得なければなりません。p45「チェルノブイリ、スリーマイル島原発事故」

5)チェルノブイリもまた、直下型地震が原因だったとする説もあり、いまだに死者の数も確定できないなどという。世界中、なぜにこれほどまでに、原発のこととなると、情報が十分に公開されないのか。教訓を得ようとしても、十分に公開されていないので、得ることのできない教訓がたくさんある。

6)原子力と宇宙の研究はともに時代の先端に位置するものです。広大なインフラストラクチャーを備え、その各成分がつつがなく動くこと、これが保証されないと動きません。皆さんはその全貌をつかみ、それを遠くに眺めながら、そのほんの一部分の課題とも真面目に取り組んでください。p142「あとがき」

7)なにも「時代の先端」に位置するのは原子力や宇宙の研究ばかりではあるまい。コンピュータを中心と知る情報工学にともなうインフラの変貌や、内的宇宙である意識の研究は、脳科学の発展とともなって、「人間とはなにか」という先端の研究ということができる。

8)そもそも、「時代の先端」である、という傲慢な考え方が、科学や原子力の盲信と暴走を生んだのであり、すくなくとも今回の原発事故を踏まえて、「原子力研究」は時代の「最後端」に廻って、すこしおとなしくしてもらいたい。

9)本書では、皆さんに幅広い分野を紹介するため、モニタリングの方法や、加速器までをカバーしました。また、温泉における放射線についても取り上げました。放射能や放射線について考え、正しく理解し、これからについてじっくり考えていきましょう。
 皆さんの未来の活動に期待します。
藤高和信 p142「あとがき」

10)現場の現役の人間が、「自分たち」で起してしまった事故の後始末も満足にしないで、未来の「皆さん」に期待されてもこまる。もっともっと徹底的な「猛省」が望まれる。すくなくとも、この本では「猛省」の姿勢が見えない。きれいごとを言いつつ、後始末は、未来人への「丸投げ」ですか。

11)他人に正しい理解を強要する前に、まずは自分の「理解」を総点検する必要があるのではないだろうか。

|

« プロが教える太陽電池のすべてがわかる本 最新の太陽電池技術を基礎から学んでみよう! 太和田善久 | トップページ | 放射線・放射能がよくわかる本 多田順一郎 »

37)3.11天地人」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« プロが教える太陽電池のすべてがわかる本 最新の太陽電池技術を基礎から学んでみよう! 太和田善久 | トップページ | 放射線・放射能がよくわかる本 多田順一郎 »