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2011/08/25

太陽光発電システムの不具合事例ファイル PVRessQ!からの現地調査報告 加藤和彦 

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「太陽光発電システムの不具合事例ファイル」 PVRessQ!からの現地調査報告
加藤和彦 2010/07 日刊工業新聞社 単行本 143p
Vol.3 No.0427★★★★☆

1)初期投資の回収も難しそうな太陽光発電だが、メンテナンスフリーと言われているランニングコストはどのくらいかかるものか。故障や修理は必要ないのか。

2)このような簡単な不具合なのにもかかわらず、太陽電池メーカや施工業者はきちんと点検に来ることもせずにパワーコンディショナの交換を勧め、また、自分自身もそれを即座に発見することができなかったという現実を目の当たりにして、わたし自身がそれまで信じていた「太陽光システムはメンテナンス・フリー」という謳い文句に大きな疑問を持ったのです。また、それと同時に「太陽光発電システムの不具合に困っていたり、あるいは、故障や不具合が起きていることに気づかずにいる方がこのおばあさん以外にもまだおられるのではないか」とも想像しました。p2「はじめに」

3)実際に設置してみなければわからないこともあるだろうし、メーカーや、製品個別の問題、業者の問題があるだろう。今回のような地震などの場合の対策など、メンテナンスを含む長期のランニングコストが、どうも見えていない。

4)太陽光発電システムが、いまいち人気が伸びないのは、このような総体としてのシステムに多くの不備を抱えており、一般ユーザーはそこのところを鋭く見抜いているからでもあるのではないだろうか。

5)著者はPVRessQ!という仕組みを立ち上げた。

6)わたしたちは4年ほど前から「PVRessQ!」という活動を進めています。これは「太陽光発電(PV)に、信頼できる(Reliable)、安全で(Safe)、持続可能な(Sustainable)品質(Quality)をもたせたい(!)という願いを込めたもので、具体的な活動内容は、現地調査による太陽光発電システムの故障・不具合の実体把握とそれにもとづく実用的な現地での不具合点検方法の考案です。

 いまのところ、このPVRessQ!は国家プロジェクトでもなく組織的な研究活動でもありません。わたしと所外の何人かの有志によって、細々と行っているものですが、少しでも多くの方にこの問題の重要性を理解していただき、活動の輪を広げ、いつか太陽光発電システムを長時間にわたって安心して利用していくための保守点検技術(ハードウェア)とその社会制度(ソフトウェア)を実現したいと願っています。p3同上

7)この本は3.11以前の昨年春にでた本でもあり、今回成立した「電力買い取り法案」が具体化する前の調査である。今後の太陽光発電を考えるなら、一般ユーザーとしては、このような活動は当然あることを前提として導入するので、いまだに明確になっていない、というのは不安材料ではある。

8)いままでは、国の方針が原発ありきで、代替エネルギー問題に本腰をいれてこなかったことのツケが廻ってきているのだ。

9)実際に、この本ではひとつひとつの事例を、カラー写真を交えて、その不具合と修理事例を列挙しているが、専門家ならず、ましてや技術屋でもない人間には、なかなか興味さえわかず、理解も進まない。

10)「設置しておわり」という感のある現在の太陽光発電システム普及のありかたを、「設置してからがはじまり」という考え方に転換していく必要があると思います。p143「おわりに」

11)それはまったくその通りだろう。どのような商品であっても、契約して納品してしまったら終わり、というシステムでは、社会的インフラとして、ながく信頼できるものにはならない。

12)最近の家電品なども、不具合を見つけて家電店に聞いても、修理するより、新しいものを購入したほうがいいですよ、と言われることが多い。たしかにそういう場合もあるが、本当に簡単な修理の場合もある。それなのにいちいち新しいシステムに買い替えるなど、太陽光発電の場合はできない。ほとんどの人にとって、一生で一回の買い物、ということで終わるだろう。それだけ、高額な買い物だ。

13)一般ユーザーも、自衛しなければいけない。

・信頼できるメーカー、工事業者を選ぼう。

・メンテナンスが難しくない商品を選ぼう。

・メンテナンスしやすい形状に設置しよう。

・多少の不具合なら、自分でもチェックできるようになろう。

・永く信頼できるメンテナンス業者と懇意になっておこう。

・ユーザーのネットワークを広げ、情報交換しよう。

・定期的に点検する心構えを作っておこう。

・小さな修理は自分でもできるようになろう。

14)脱原発を決定したドイツでは、製品を設置することではなく、システムを長期にわたって導入するインフラが整備されつつあるという。

15)ドイツのビジネスモデルでは、「システム・インテグレーター」が重要な役割を担う。その機能は、製品の卸(ディストリビューター)、プロジェクトの設計(プロジェクト・デベロッパー)、装置の設置(インストアラー)といった内容--より具体的には、コンサルティング、太陽電池やその周辺機器の選定と購入、大規模発電用の土地探し、システムの提案・設計・設置・管理・保証などだ。1社でこれらすべてを担うこともあれば、複数社が分担することもある。「プロが教える太陽電池のすべてがわかる本」p58「日本とドイツのビジネスモデルの違い」

16)日本においても、原発にばかり巨大投資をしないで、もうすこし大きな枠組みで持続可能な代替エネルギーに投資をする必要が、本当に来ているのだ。そこが改善されれが、太陽光発電は、脱原発のトップランナーになるに違いない。

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