3.11後の放射能「安全」報道を読み解く 社会情報リテラシー実践講座 影浦峡
「3.11後の放射能『安全』報道を読み解く」 社会情報リテラシー実践講座
影浦峡 2011/07 現代企画室 単行本 193p
Vol.3 No.0437★★★★★
1)この本は読むタイミングによっては、評価は大きく分かれる。とにかく早く急いで結論を知りたいのであれば、この本はまどろっこしい。だが、さまざまな意見を聞いて、情報の荒波に疲れてしまった後に、その情報をひとつひとつ整理するプラットフォームが欲しいのなら、この本は、適格といえる。
2)3.11以後、とにかく情報が限られていた。情報が限られていたというより、得なければならない情報が多すぎた。新聞、雑誌、週刊誌と言った情報は途絶え、テレビ、ラジオの情報もままならない。ケータイ、メールやツイッターと言ったネット情報も、いまひとつ信ぴょう性がないまま、数週間が経過した。
3)そもそも全体像が見えなかった。原発事故などは現在進行中であり、各人各様の意見を言うため、何が本当なのか、分かっている人は、ほとんどいなかった、とさえいえる。
4)3.11以後、まずは「てんでんこ」で、自分の身柄の安全を確保した。次に家族、その次、親族や知人。まずは地震・津波からの身の安全を確認したあとは、住居の確認だった。壁にひびが入ったなんてのは序の口で、完全に流出したとの情報がどんどん入ってきた。
5)この時点では、原発事故は気にはなったが、まずは後回しだった。自分は80キロ圏に住んではいるが、ここよりさらに原発に近い人々も多くいる。もっと遠くにいる人々も、第一次産業においてはすでに風評被害を受けていた。
6)数カ月が経過し、書店や図書館がボツボツと復活し始めたのをきっかけに読書生活が戻ってきた。最初は「原発事故」を直視することができなかった。優先順位としてては、原発がトップに来ることはなかった。原発の情報など、専門家か、それが第一義的に大事だ、と思える人にまかせることにした。
7)そうこうしているうちに、やっぱり原発や放射線を整理しようと思い始まった。私の場合は、そんな気分になったのは、なでしこジャパンがワールドカップで優勝してからだから、7月の中旬、震災後4カ月も経過してからだった。
8)それから、借り出しできるところから順番に3~40冊目を通してみた。原発関連リスト、放射線関連リスト、それぞれに、断片的な知識と、さまざまな意見があることを教えてくれた。リクエストしていてもまだ来ない本がまだまだあるし、関連で読み込まなければならない本が今後もでてくるだろう。
9)しかし3.11を「読み解く」とすれば、放射線問題だけに関わっているわけにはいかない。そろそろ、全体を整理して、当ブログなりに原発・放射線関連の「3.11地の巻」の中間報告を出しておかなければいけない。そういうタイミングでこの本を読むとするなら、なかなか素晴らしい視点を与えてくれるのがこの本である。
10)情報の整理はともかくとして、ではそれに対して「自分は何ができるのか」、「何をすべきなのか」と問うてみる。ガイガーカウンターなどで放射線量に敏感になる。放射線測定室を活用する。太陽光発電で自前のエネルギー問題を考える。などなどの方向性はでてきた。
11)ガイガーカウンターについては、すでに知人のもので周囲を計測して、公の発表との違いについては、把握した。個人的には、まもなく発売されるE社のものが安価でよさそうなので、購入予定。
12)内部被曝に関しては、知人たちによる「みんなの放射線測定室」運営に期待している。こういう動きにどのように参加できていくのか、検討中。
13)太陽光発電については、数社の見積をとりつけているところ。テレビ会社系列の企画による国内メーカーのCISパネルがいいのではないか、と思案中。
14)本書は、2011月のブログ上で公開した一連の「社会情報リテラシー講座」を全面的に改稿し、一冊にまとめたものです。p178「あとがき」2011/05/29
15)社会情報は時々刻々と変化しつづけている。
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