原発廃炉に向けて 福島原発同時多発事故の原因と影響を総合的に考える エントロピー学会
「原発廃炉に向けて」 福島原発同時多発事故の原因と影響を総合的に考える
エントロピー学会 2011/08 日本評論社 単行本 238p
Vol.3 No.0447★★★★★
1)3.11を受けて4月27日に行われたエントロピー学会のシンポジウムの収録が基本となってできた一冊。トップバッターの広瀬隆の講義がするどくえぐる。
2)4号機の主任生計者が田中三彦さんです。田中さんは私の親友です。田中さんは日立を退社して、原子炉の危険性を技術面から語り続けています。p8「津波にも地震にも弱かった福島第一原発」
3)当ブログでは田中三彦訳は「量子の公案」(1987)、「スピリチュアル・マシーン」(2001)、「感じる脳」(2005)、などを読んできた。彼はもともと原発の人であった。
4)ちょうどその夜(3月13日)、私の友人のフォトジャーナリスト広河隆一さんが病院から電話をかけてきて「大変だ、俺たちが持っていった放射線計測器の針が振り切れた。チェルノブイリよりすごいぞ」というのです。3.4キロも離れているところまで放射性物質が飛んできているのです。p32「福島の事故が生んでしまった大量の放射能被曝者」
5)私はどうも長い間、この広瀬隆と広河隆一の違いがよくわからないできた。まるで、村上春樹と村瀬春樹を長い間混同していたのと同じような現象だった(笑)。
6)図表22は京都大学の小出裕章さんがジョン・ゴフマンの資料をグラフにしたものですが、このグラフのとおり、子どもたちがいちばん危ないわけです。p32「子どもたちや妊婦を被曝から守れ」
7)先日、小出裕章講演会「3.11から始まったこと」に参加してきた。
8)上杉(隆)さんや孫正義さんたちが今手を組んでいろんなかたちで、単なる市民運動でない多彩な活動をしていることに期待しています。p38「原発を止めても電力の心配はいらない」
9)当ブログにおける上杉隆の評価は高くない。また最近はメガソーラーで物議を醸している孫正義についても、よくわからないところがあるので、必ずしもお気に入りではない。しかし、この期に及んで何かをしようとする姿勢はまなばなくてはならない。
10)原発は全部止めてもまったく問題ないのです。停電は起こりません。図表25は元慶応大学の藤田祐幸さんが描いた1965年~2007年までの日本の発電設備容量を示したグラフです。p39「同上」
11)藤田祐幸「もう原発にはだまされない」は読みやすく、分かりやすく、説得力があった。これらの人々は、いわゆる「脱原発ネットワーク」で強く繋がっているようである。
12)菅井益朗「飯館村の放射能汚染調査に参加して」p143もなかなか興味深かった。先日読んだ飯館村村長・菅野典雄「美しい村に放射能が降った」も、息を飲むような臨場感でいっぱいだった。
13)室戸武「原発廃炉の経済学」p157も生々しい。地球温暖化問題のキャンペーンは、もともとが原発推進が根っこにあったという指摘などは、ほんとに何を信じたらいいのだ、と思わせる。
14)原発推進派からの石川迪夫「原子炉解体 廃炉への道」を読むにつけても、原発廃炉はただ事ではなく、莫大な時間と経費を必要とする。
15)いずれにせよ、よくもわるくも、私などの50歳以上の年配男は、生きている限りは一生、この原発問題からは目を話すことはできないのだ、と覚悟するしかない。
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