東日本大震災復興への提言 持続可能な経済社会の構築 風見正三他
「東日本大震災復興への提言」 持続可能な経済社会の構築
伊藤滋/奥野正寛・他 2011/07 東京大学出版会 単行本 362p
Vol.3 No.0443★★★☆☆
1)本書全体を通して見ると、採り上げられたトピックスは広範囲にわたり、各提言が必ずしも整合的なあるいは統一的なアプローチや理念に基づいているとはいえないかもしれません。pii「はしがき」
2)この本には50人の「アカデミック」な「提言」が乗っている。出版されたのは7月だが、それぞれ書かれたのは震災後の1~2カ月後のことなので、混乱がそのまま反映されている。
3)正直いって、この手のオムニバス形式の本は苦手である。誰かお気に入りの作家が書いているとか、とりあえず一つのテーマについて各方面の意見を知りたいとか言う場合は、それなりに興味深いのではあるが、どうも混乱はそのまま散乱するし、結局はよくわからん、という結論に達することが多い。
4)良く見ると、持続可能な「経済社会」の構築、となっている。それぞれ「経済」の専門家たちの提言となっているのだ。持続可能なエネルギーとか、持続可能な資源とは言うが、持続可能な「経済社会」とは、ふむ~、なんかちょっと修飾矛盾な感じがする。熱い氷とか、冷たい火、などと言った落ち着かなさを感じる。
5)トップを飾るのは風見正三。当ブログとしては「コミュニティビジネス入門 地域市民の社会的事業」を読んだきりだが、被災地にある大学の教員でもあるので、いつか縁があったら、話をしてみたい、とは思っていた。
6)読者の方々には、震災復興という大きなテーマに対して多面的な視点からアプローチするという本書の特徴を、ご理解いただきながらお読みいただければ幸いです。pii「同上」
7)確かにこの手の本の読み方はむずかしい。なにかヒントがないかな、と気軽に読むにはいいかもしれないが、これこそ直ぐに役だつ、という即効性のある説得力のある提言を見つけることは難しい。
8)とくに、緊急な状況にある被災地において、網羅的にこの本を読める人は少ないだろう。
9)書き手側としては、とにかくこの段階で、このような本に、こう書いておいた、というアリバイ証明にはなるだろう。
10)私自身は、断片的な知識のモザイク状態のこの一冊を、真面目に読みこむ気にはなれなかった。
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