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2011/09/20

暴走する原発 チェルノブイリから福島へこれから起こる本当のこと 広河隆一

【送料無料】暴走する原発
「暴走する原発」 チェルノブイリから福島へ これから起こる本当のこと
広河隆一 2011/05 小学館 単行本 223p
Vol.3 No.0470★★★★★

1)現「DAYS JAPAN」編集長、フォトジャーナリスト、広河隆一の震災後の単行本。と言っても、刊行されたのは震災後一カ月程度の段階であり、情報も十分でなく、また単行本を書けるほどの余裕もなかったはずだ。

2)本書は、巻頭の50ページと、巻末の20ページほどが書き下ろされているが、中味は、著者が1996年に出した「チェルノブイリの真実」の一部が加筆訂正されたものである。

3)著者の最近著は「福島 原発と人びと」(岩波書店2011/08 )である。合わせて読む必要があろう。

4)14日夜、東京電力は電話で枝野幸男官房長官と海江田万里産経相に「全員撤退したい」と申し入れたが、両氏は拒否。15日の午後4時、首相は清水正孝東電社長を呼び、「撤退はありえない」と通告した。この日文科省は浪江町で汚染が拡大しているという報告をしている。p37「チェルノブイリから福島へ」

5)東電の作業員たちが全員撤退したとしたら、一体どうなってしまっていたのだろう。少なくとも、原発から80キロ圏の私が、今、こうしてここでブログを書いている、なんてことはあり得なかったかもしれない。私も何処かへ「撤退」しなければいけなかっただろう。だけど、何処へ?

6)震災直後、停電のなか、ニュース源はほとんどがNHKラジオだった。テレビもネットも壊滅していた。停電は3月16日なって終わったが、この間に大変な放射性物質がばらまかれていたことになる。

7)震災後、原発に異常があると知って、情報は不足していたが、まずは、水道が動いているうちに飲料水を確保した。出来るだけ外出を控え、「屋内退避」を心掛けた。やむを得ず外出する時は、マスクをした。

8)それが本当に正しかったかどうかは、いまだに分からないが、それでも、まずはそう行動するしかなかった。自主判断だった。

9)メディアはなぜに原発産業にひざまずき、屈服するのか。大株主であり、大広告主だからか。電力会社の宣伝をになう電気事業連合会が、「朝日ニュースター」への私(広河隆一)と広瀬隆氏の起用に抗議してスポンサーを降りたことも、メディアと原発の関係を表わしている。p45「同上」

10)巻末で広瀬隆が「特別寄稿 広河隆一氏に期待する」(4月27日記)を寄せている。

11)その10日後の3月23日、彼が主宰する「DAYS JAPAN」の講演会が早稲田奉仕園で開かれ、彼(広河隆一)の現地報告と、私(広瀬隆)が福島第一原発の事故解析をおこなった。その時、私が聴衆に行ったのは、「広河隆一と広瀬隆が揃って話をするということは、日本にとって最悪の事態ですよ」という言葉であった。p221広瀬隆「特別寄稿 広河隆一氏に期待する」

12)私はこの二人を、ひとりの人物であると長いこと混同していた。たしかにこの二人は、日本における「反原発」の最右翼だろう。

13)福島原発事故の後、私たちが従来のエネルギーに対する考え方を変え、政策転換することなしに、「国民の福祉」や「経済の安定」や「危機管理」のスローガンを出しても空虚である。p201「おわりに、そして、福島へ」

14)3.11直後は、原発事故よりむしろ津波被害に目が行っていて、福島のことなど考える余裕はなかった。そちらはそちらでなんとかやってくれ、という気持ちが強かった。しかし、震災後半年が経過して見れば、地震・津波被害の上の、さらに原発・放射線の恐怖が、重く、のしかかる。3.11とはかくも膨大で、今後の地球の未来を決定づけるような出来事である。

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