超巨大地震に迫る 日本列島で何が起きているのか 大木聖子他
「超巨大地震に迫る」 日本列島で何が起きているのか
大木聖子/纐纈一起 2011/06 日本放送出版協会 新書 205p
Vol.3 No.0441★★★★★
1)地震関連リスト
「彩雲 虹の都 あるいは 地震の予兆?」 2006.12.15当ブログ日記
「モンゴル帝国と長いその後」興亡の世界史(第09巻)杉山正明 2008/02 講談社
「NHKスペシャル MEGAQUAKE 巨大地震」―あなたの大切な人を守り抜くために!NHKスペシャル取材班 (編集), 2010/02 主婦と生活社ライフプラス編集部
「超巨大地震に迫る」 日本列島で何が起きているのか 大木聖子他 2011/06 日本放送出版協会
「原子炉時限爆弾」 大地震におびえる日本列島 広瀬隆 2010/08 ダイヤモンド社
「東日本本大震災緊急シンポジウム」iTunes U by 関西大学社会安全学部 2011/03/30講演 2011/8/31公開
「地震関連リスト」を作ろうと思った。ところがふりかえってみても、ほとんど、地震を単独のテーマとして書いてある本はほぼ皆無である。「地震+津波」あるいは「地震→津波」としてセットになっており、3.11においては、「津波」は絶対外せないもののようだ。しかしながら、「津波→地震」というふりかえり作業も必要なはずであり、今のところ、当ブログの読書としては、この本が唯一の3.11以降の「地震」主テーマ本である。
2)図書館に行ったら、入口付近のお勧め本コーナーの分類がされていた。
地震・津波
原発・放射能
防災・備え
まちづくり・環境
生活情報・相談
の5つ。
3)当ブログの分類に近い部分も多い。
3.11天の巻 地震・津波 → 防災・備え & まちづくり・環境
3.11地の巻 原発・放射能 → 生活情報・相談
3.11人の巻 ? → ?
4)しかし、どうも、「人の巻」のおさまりが悪い。「人の巻」ということで、当ブログは何を言いたいのか・・・・・?
5)あるいは、図書館は、当ブログが「人の巻」の部分で言わんとしようとしていることをフォローアップしていないのではないか。
6)3.11人の巻 → 防災・備え & まちづくり・環境 & 生活情報・相談 と見ることもできないこともない。でも、それでは、当ブログとしては不満足である。
7)死。生きるとは何か、死ぬとは何か。この突き詰めこそ、当ブログが「3.11人の巻」で求めようとするテーマであるが、かと言って、その突き詰めはこれからの作業になる。
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8)本書が地震というものを理解するのを助けることで、日本人が地震を正しく恐れられるようになることを切に願う。奪われた多くの命、たくさんの被災者の大切な思い出や故郷への想い、それらを地震の科学に携わる者として守ることができなかった無念を込めて本書を綴っていきたい。p21「ドキュメント3.11」
9)著者たちは地震の研究者たちであり、当然、正確な地震予知を期待される立場にある。しかし、それは達成されていない。あるいは、「正確な地震予知」はほぼ不可能なのである。
10)好きなことを続けてきた挙句、連日人様に罵倒され、憔悴しきって言葉もなく帰宅する自分の姿を見せ続けていたことを、このとき初めて申し訳なく思った。p204大木「あとがきにかえて」
11)基本的に、自然界は、人智を超えているのである。人智を超えているがゆえに、自然は神秘としてとらえられ、神としてさえ崇められるのである。科学は自然界のメカニズムをたくさん解明した。これからも期待され続けている。しかし、解明しつくされるということはない。すくなくとも、地震発生の完全把握はいかな研究者の最先端でも無理なのである。
12)それから1年後の3月11日、テレビに映し出された三陸の惨状に私は言葉を失った。あの子たちは生きてくれているだろうか。一人ひとりの名前をインターネットで検索しながら、自問を繰り返した。私は、いつか君たちが津波にあったときに絶対に生き延びられるように、と思って講義をしただろうか。結局私だって、巨大津波が来襲することを現実的に考えていなかったのではないか。自分の不甲斐なさに愕然とした。p202大木「同上」
13)備えや防災は必要であるが、自然界はそれを超える。
14)日本では地震が起きることなど誰でも知っているのに、いまだ対策のとられていない家屋や家具が無数に存在していることがそのいい証拠だ。つまり、「気づき」を与えることで防災へのアクションに結びつくという考えは、完全ではないにしろ、棄却されなければならない。p150「防災----正しく恐れる」
15)備えや防災を超えたところにあるものを、人間として全うに見詰めること、そこにこそ、当ブログの「3.11人の巻」があるようだ。
16)3月11日の地震で東京では全壊家屋も半壊家屋もほとんどなかったが、多くの児童の保護者が会社や外出先から帰宅できない事態が発生した。交通機関がストップし、道路は大渋滞を起こし、いわゆる帰宅難民が大量に発生した。電話等での連絡がとれず、中には深夜まで帰宅できないケースも多く見られた。p175「同上」
17)震源地のほど近くに生活していた私などは、あまり首都圏のことなどに想いを馳せなかったが、今回の震災では、さまざまな影響がでた。この帰宅難民というのも、実に新しい災害の形態であろうと思う。
18)現象面ばかりに振り回される人間界ではあるが、津波→地震、という根源への探究が必要である。その点、この本は、3.11以降に発行されている本としては、貴重な一冊となる。
19)しかしまた、地震→自然→地球→宇宙、という大いなるものへの回帰の道をも見詰めつづけていく必要がある。そしてまた、そのプロセスに対峙する、人間という存在、私という意識をこそも、解明していく必要があるのだ。
20)当ブログ「3.11人の巻」が今後現出してくるとすれば、そこにこそテーマを絞りこむ必要がある。
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